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第75話 シームパイプを作ろう
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さて、抵抗溶接が出来るのはわかった。
だが、それをどうやって活かすかという問題は残ったままだ。
抵抗溶接で云えば、電縫管を作るのがいいのかな。
電縫管って謂うのは、平板を丸めて溶接して作るパイプだ。
前世では色々なものに使われていたな。
コンプライアンスに引っ掛かる可能性があるので、具体的な事には言及できませんが、シームレスパイプよりも安いので、採用される部品は多かったはずだ。
前世のコンプライアンスを守る男、アルトです。
「パイプを作ろう」
「パイプ?」
ホーマーが不思議そうな顔をする。
パイプなんて一般的じゃないか。
有るとすれば、竹を使った物か、土管位なものだろう。
竹が在るか知らんけど。
鉄パイプはいいぞ。
足場を組むことから始まって、打撃武器、液体を流すのにも使える。
叩いてよし、刺してよしだ。
叩くのはヘルメット被った人達が、革命を叫びながらよくやったな。
刺すのは胸に七つの傷がある男が、ゴッドランドのマッドサージにやられていた。
注射針の太いやつだね。
「早速試してみようか」
俺は1ミリのシックネスゲージとΦ6のピンゲージを作り出した。
シックネスゲージにピンゲージを当てて、シックネスゲージを叩いて管状に整形していく。
そして、両端が接触した部分を、抵抗溶接するようにホーマーに指示した。
「行きます」
ホーマーがスキルで溶接すると、少々歪だが電縫管が完成した。
世界初のSTKMーEが誕生した瞬間である。
「これで何をするのよ、早く教えなさいよ」
シルビアも食いついてきた。
「この管を体に刺すと血が噴き出して止まらなくなるんだ。血液が流れているモンスターにはかなり有効だよ。先端を斜めにすれば刺さりやすいしね」
「暗殺者ギルドが喜びそうですわね」
「そうだね……」
オーリス、まさか世紀末救世主漫画の読者か?
一瞬でそんなことが考えつくなんて。
まあ、道具をどう使うかなんて使用者次第だな。
自動車で人を轢き殺す奴もいれば、救急車や消防車のように人を救う為の自動車もある。
そう考えたら、包丁だって作ることはできないしね。
「でだ、このパイプをきれいな円に仕上げる道具はこんなのが必要なんだが……」
俺はデボネアとホーマーにローラーの絵を描いて渡した。
造管は専門じゃないのでうろ覚えだが、成形と溶接と矯正でローラーを使っていた気がする。
「まあ、パイプじゃなければ鍋の把手なんかがあるかな。リベットいらなくなるよ」
それについてはエッセの工房の仕事を出してやればいいだろう。
エッセが出すかは相談してからになるけど。
「いや、まずはこのパイプを作りたいです。ドワーフの一族で誰も出来ないのなら、今まで俺のことを馬鹿にしていた連中を見返す事ができるので」
「そうか。わからないことがあったらまた連絡してくれ」
「はい」
こうしてホーマーのパイプ作りが始まった。
時々俺の所に薄板の注文が来る。
この世界では鋼材の板厚のばらつきが大きく、まだ確立できていないパイプ作りには向いていない。
なので、ゲージという精度がでている板を使ってトライしているのだ。
そうして一ヶ月が経った頃、ホーマーが訪ねてきた。
「レベルが上がったのですが、スキルはどう伸ばせば良いのか相談に来ました」
この頃になると、鍋の溶接や武器や防具の溶接の仕事も入ってきて、生活も安定してきた。
それでもパイプに拘る姿勢は大したものだ。
「どんなスキルがあるの?」
「アーク溶接、保護具作成、破壊検査、ロウ付けですね」
「アーク溶接の前に保護具作成は取得したほうがいいな。白内障になる危険性がある」
「白内障?」
「目が見えなくなると思って欲しい」
「危ないじゃないですか」
「そう、溶接は火傷の他にもそういう危険もある」
他にも溶接時の保護具を装着すると、夏場は脱水症状になったりするし、不人気な職場なんですよね。
無人化は品質の安定もあるけど、そうした人材不足を補う面もある。
「そう云う事なら保護具作成にします」
「それがいいと思うよ」
なお、軍手、革手袋、サングラス、手持ち面、溶接頭巾、手甲、前掛けを作ることができるそうです。
これで安心だね。
なお、弊社の作業着は化繊なので、溶接時には簡単に穴が空きます。
人に厳しい。
それから更に一ヶ月経った頃には、パイプの生産も安定して出来るようになった。
ボウガンのクオレルやそのまま投げるニードルナイフとして冒険者に人気だ。
時々仮面に黒尽くめの人たちがまとめ買いするそうだが、きっと彼らも冒険者に違いない。
マッドサージならレッドベレーだしね。
「アルトのお陰でここまで出来るようになりました。次はまた誰も見たことのない物を溶接で作りたいですね」
「バトルアックスとかメイスを溶接で作ってみるかい」
「はい。また指導お願いします」
次はアーク溶接だな。
最終的にはホーマーには全ての溶接技術を持ってもらって、人形遣いのルイージとして黄金で機関車を作ってもらいたい。
ダイヤを燃やして走るやつだ。
ところで、べドム水銀って金を溶かさないのだろうか?
※作者の独り言
抵抗溶接で日用品なら缶詰でもいいじゃんと思いましたが、缶詰のことをよく知らないので。製缶の工場も見学してみたいですね。
だが、それをどうやって活かすかという問題は残ったままだ。
抵抗溶接で云えば、電縫管を作るのがいいのかな。
電縫管って謂うのは、平板を丸めて溶接して作るパイプだ。
前世では色々なものに使われていたな。
コンプライアンスに引っ掛かる可能性があるので、具体的な事には言及できませんが、シームレスパイプよりも安いので、採用される部品は多かったはずだ。
前世のコンプライアンスを守る男、アルトです。
「パイプを作ろう」
「パイプ?」
ホーマーが不思議そうな顔をする。
パイプなんて一般的じゃないか。
有るとすれば、竹を使った物か、土管位なものだろう。
竹が在るか知らんけど。
鉄パイプはいいぞ。
足場を組むことから始まって、打撃武器、液体を流すのにも使える。
叩いてよし、刺してよしだ。
叩くのはヘルメット被った人達が、革命を叫びながらよくやったな。
刺すのは胸に七つの傷がある男が、ゴッドランドのマッドサージにやられていた。
注射針の太いやつだね。
「早速試してみようか」
俺は1ミリのシックネスゲージとΦ6のピンゲージを作り出した。
シックネスゲージにピンゲージを当てて、シックネスゲージを叩いて管状に整形していく。
そして、両端が接触した部分を、抵抗溶接するようにホーマーに指示した。
「行きます」
ホーマーがスキルで溶接すると、少々歪だが電縫管が完成した。
世界初のSTKMーEが誕生した瞬間である。
「これで何をするのよ、早く教えなさいよ」
シルビアも食いついてきた。
「この管を体に刺すと血が噴き出して止まらなくなるんだ。血液が流れているモンスターにはかなり有効だよ。先端を斜めにすれば刺さりやすいしね」
「暗殺者ギルドが喜びそうですわね」
「そうだね……」
オーリス、まさか世紀末救世主漫画の読者か?
一瞬でそんなことが考えつくなんて。
まあ、道具をどう使うかなんて使用者次第だな。
自動車で人を轢き殺す奴もいれば、救急車や消防車のように人を救う為の自動車もある。
そう考えたら、包丁だって作ることはできないしね。
「でだ、このパイプをきれいな円に仕上げる道具はこんなのが必要なんだが……」
俺はデボネアとホーマーにローラーの絵を描いて渡した。
造管は専門じゃないのでうろ覚えだが、成形と溶接と矯正でローラーを使っていた気がする。
「まあ、パイプじゃなければ鍋の把手なんかがあるかな。リベットいらなくなるよ」
それについてはエッセの工房の仕事を出してやればいいだろう。
エッセが出すかは相談してからになるけど。
「いや、まずはこのパイプを作りたいです。ドワーフの一族で誰も出来ないのなら、今まで俺のことを馬鹿にしていた連中を見返す事ができるので」
「そうか。わからないことがあったらまた連絡してくれ」
「はい」
こうしてホーマーのパイプ作りが始まった。
時々俺の所に薄板の注文が来る。
この世界では鋼材の板厚のばらつきが大きく、まだ確立できていないパイプ作りには向いていない。
なので、ゲージという精度がでている板を使ってトライしているのだ。
そうして一ヶ月が経った頃、ホーマーが訪ねてきた。
「レベルが上がったのですが、スキルはどう伸ばせば良いのか相談に来ました」
この頃になると、鍋の溶接や武器や防具の溶接の仕事も入ってきて、生活も安定してきた。
それでもパイプに拘る姿勢は大したものだ。
「どんなスキルがあるの?」
「アーク溶接、保護具作成、破壊検査、ロウ付けですね」
「アーク溶接の前に保護具作成は取得したほうがいいな。白内障になる危険性がある」
「白内障?」
「目が見えなくなると思って欲しい」
「危ないじゃないですか」
「そう、溶接は火傷の他にもそういう危険もある」
他にも溶接時の保護具を装着すると、夏場は脱水症状になったりするし、不人気な職場なんですよね。
無人化は品質の安定もあるけど、そうした人材不足を補う面もある。
「そう云う事なら保護具作成にします」
「それがいいと思うよ」
なお、軍手、革手袋、サングラス、手持ち面、溶接頭巾、手甲、前掛けを作ることができるそうです。
これで安心だね。
なお、弊社の作業着は化繊なので、溶接時には簡単に穴が空きます。
人に厳しい。
それから更に一ヶ月経った頃には、パイプの生産も安定して出来るようになった。
ボウガンのクオレルやそのまま投げるニードルナイフとして冒険者に人気だ。
時々仮面に黒尽くめの人たちがまとめ買いするそうだが、きっと彼らも冒険者に違いない。
マッドサージならレッドベレーだしね。
「アルトのお陰でここまで出来るようになりました。次はまた誰も見たことのない物を溶接で作りたいですね」
「バトルアックスとかメイスを溶接で作ってみるかい」
「はい。また指導お願いします」
次はアーク溶接だな。
最終的にはホーマーには全ての溶接技術を持ってもらって、人形遣いのルイージとして黄金で機関車を作ってもらいたい。
ダイヤを燃やして走るやつだ。
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