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第92話 トレイントレイン走って逃げる
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削りすぎたアルミでできた治具を、アルゴン溶接で盛って削り直す。
人の手で0.05ミリの精度を目指す作者がおくる、品質管理ファンタジー。
リアルの方がファンタジーになってきたのが心配。
それでは本編いってみましょう。
「迷宮でトレイン作ってみたらとんでもない事になったー」
どうも、ユーチューバー風にタイトルを叫んでみましたが、トレイン作ってみるととんでもない事になるのはわかりきっていることですね。
「叫ぶと必要以上にモンスターが集まってくるわよ」
シルビアに注意を受ける。
さて、俺とシルビアは今迷宮に来ている。
場所は迷宮の地下41階層だ。
ここまで来ればトレインを作っても被害を受ける冒険者はいない。
銀等級の冒険者パーティーですら、ここでは全滅の危険性がある。
なので、余程の美味しいクエストが無ければ、普段冒険者が足を踏み入れる事はないのだ。
なので、今この階層には俺とシルビアしかいない。
「それではトレイン発生の再現トライを開始します。さあ、始まるざますよ。いくでがんす。ふんがー」
「まともに始めなさいよ」
奇跡のコラボだな。
本家じゃないのが残念だけど。
ここからはトレインの発生の再現なので、モンスターにエンカウントしても、倒さずにうまく誘導していく予定だ。
「ワンダリング、ワンダリング」
「何よ、それ」
つい、前世でTRPGをプレイしていたときに、ワンダリングモンスターとのエンカウント判定をするときに口ずさんでいた変な節を、ここでも口にしてしまった。
シルビアは当然知らないので、怪訝そうにこちらを見ている。
「俺の故郷でモンスターを集める時のおまじないさ」
嘘ではない。
効き目も無いが。
「あら、本当に効果があるみたいね」
「ん?」
シルビアが指差した先にはハイオークが三体いた。
まさか、本当に効果あるの?
「向こうも気がついたようね。このままつれ回すわよ」
「おう」
ハイオークはオークの上位種で、かなり危険な存在だ。
オークを遥かに凌ぐ筋力と、そこそこの知性をかねそろえている。
群れで行動することが多く、銀等級の冒険者パーティーでも、全滅させられる危険がある。
浅い階層に出現する事は殆ど無いが、ごく稀に遭遇した運の悪い冒険者が被害を受けることもあるようだ。
そんなハイオークが出てきて、こちらを追いかけてくる。
俺たちはお魚咥えたどら猫じゃないぞ。
むこうは裸足で駆けてくるけどな。
「さあ、この調子でどんどん集めるわよ」
「これで十分に再現出来たんじゃないかな?」
「ここから、トレインの擦り付けまでが一連の流れよ」
「そうか」
勝てない敵から逃げるところからトレインが始まる。
逃げる事を禁止したら、それは死ねと謂うことと同じ事なので、それはできないだろう。
対処の仕方としては敵を散らすことかな。
それができれば苦労はしないが。
FTAでもモンスターの集まりすぎが事象としてあったな。
なにか、それを阻止する解決方法が見つかればよいが。
こんなとき、仲間が何かヒントになるようなセリフを言うものだが、シルビアは何か思いつかないだろうか?
「こんなとき、相手を一瞬でもいいから怯ませられれば、一気に引き離せるのにね」
「そうか」
安物の推理小説みたいな展開だな。
相手を怯ませるアイテムがあればいいんだよな。
痴漢撃退スプレーとか、スタングレネードみたいなやつが。
でも、ここでは唐辛子は高級品なので、出回っている量も少ない。
冒険者が使うにはコストが高いな。
スタングレネードなんて作れないだろうし。
逃げるときに引き離せれば、トレインの発生要因のひとつは潰せようなのだが、対策までたどり着かないのが残念だ。
「いい感じで集まってきたわね」
シルビアのその言葉で、俺の意識は現実に戻ってきた。
ハイオーク以外にも、危険なモンスターがトレインに加わっている。
合計で100体位のモンスタートレインが完成した。
単なる再現トライのはずだけど、これはかなり不味いんじゃないか?
「シルビア、これ不味くない?」
「不味いわね。10階層駆け上がる体力はある?」
そんな体力俺には無いぞ。
これ、アカンやつだ。
「君ひとりなら助かるかもしれない」
俺はシルビアにそう言ったが
「約束したじゃないか……死ぬときはいっしょに……と」
って返された。
感動的な気もするが、既視感が……
どこに堕ちたい?
「アルト、プリオラに使った爆発する壁があったでしょ。あれをもう一度やりなさいよ」
「あれか」
シルビアに言われて、思い出した。
あれとは魔法で作る土壁にピクリン酸を混ぜたやつだ。
走りながら魔法を使う事は普通の魔法使いには出来ない。
が、ギルド長のつてで詠唱最中に激しい動きをしても、魔法を発動出来る魔法使いを紹介してもらって、作業標準書を作ってある。
こんなこともあろうかと、って真田さんか!
「土壁よいでよ!」
俺達とモンスターの間に土壁が出来る。
モンスター達はそのまま土壁にぶつかり、ピクリン酸がその衝撃で爆発する。
今回は手加減なしの量を出していたので、トレインは消滅した。
流石は軍事用として使われた火薬だ。
そんなもんが会社にあって、管理している棚はバールのようなもので破壊できるとあっては、危険きわまりないな。
前世の話だけど。
「追いかけていた連中はみんな片付いたわね。これがいつでも出来たらいいんだけど」
「威力を抑えて、その代わり強力な閃光が出たらいいのかな」
スタングレネードが無いと言ったが、サイノスが作っていたライトのマジックアイテムがあったな。
あれの光量を増やして、ついでに爆発音が出るようにすれば、モンスターが怯むんじゃないかな。
そのアイデアをシルビアに話したら賛成してくれた。
問題はカレンとサイノスが王都にいることだな。
「戻って、イガラシじゃなかった、ギルド長に付与魔術が使える人物を紹介してもらえばいいか」
「そうね」
FTAの事象全てについて対策が出来た訳ではないが、今日はこれくらいでいいだろう。
対策書だと、全てについて対策が終わらないと許してもらえないんだけどな。
でも、現実的に無理だよね。
FTAとかFMEAを真面目にやったら、とてもじゃないが今の値段で製品を供給することなんて出来ないんだから。
軽自動車が二千万円したら、誰が買うと謂うのだって事だ。
重保以外の不良流出は多めに見てほしい。
ね?ねっ?
こうしてMMRの記念すべき第一回目の調査は終わった。
品質管理レベル29
スキル
作業標準書
作業標準書(改)
温度測定
硬度測定
三次元測定
重量測定
照度測定
投影機測定 new!
ノギス測定
輪郭測定
マクロ試験
塩水噴霧試験
振動試験
引張試験
電子顕微鏡
温度管理
照度管理
レントゲン検査
蛍光X線分析
シックネスゲージ作成
ネジゲージ作成
ピンゲージ作成
ブロックゲージ作成
溶接ゲージ作成
リングゲージ作成
ゲージR&R
品質偽装
リコール
人の手で0.05ミリの精度を目指す作者がおくる、品質管理ファンタジー。
リアルの方がファンタジーになってきたのが心配。
それでは本編いってみましょう。
「迷宮でトレイン作ってみたらとんでもない事になったー」
どうも、ユーチューバー風にタイトルを叫んでみましたが、トレイン作ってみるととんでもない事になるのはわかりきっていることですね。
「叫ぶと必要以上にモンスターが集まってくるわよ」
シルビアに注意を受ける。
さて、俺とシルビアは今迷宮に来ている。
場所は迷宮の地下41階層だ。
ここまで来ればトレインを作っても被害を受ける冒険者はいない。
銀等級の冒険者パーティーですら、ここでは全滅の危険性がある。
なので、余程の美味しいクエストが無ければ、普段冒険者が足を踏み入れる事はないのだ。
なので、今この階層には俺とシルビアしかいない。
「それではトレイン発生の再現トライを開始します。さあ、始まるざますよ。いくでがんす。ふんがー」
「まともに始めなさいよ」
奇跡のコラボだな。
本家じゃないのが残念だけど。
ここからはトレインの発生の再現なので、モンスターにエンカウントしても、倒さずにうまく誘導していく予定だ。
「ワンダリング、ワンダリング」
「何よ、それ」
つい、前世でTRPGをプレイしていたときに、ワンダリングモンスターとのエンカウント判定をするときに口ずさんでいた変な節を、ここでも口にしてしまった。
シルビアは当然知らないので、怪訝そうにこちらを見ている。
「俺の故郷でモンスターを集める時のおまじないさ」
嘘ではない。
効き目も無いが。
「あら、本当に効果があるみたいね」
「ん?」
シルビアが指差した先にはハイオークが三体いた。
まさか、本当に効果あるの?
「向こうも気がついたようね。このままつれ回すわよ」
「おう」
ハイオークはオークの上位種で、かなり危険な存在だ。
オークを遥かに凌ぐ筋力と、そこそこの知性をかねそろえている。
群れで行動することが多く、銀等級の冒険者パーティーでも、全滅させられる危険がある。
浅い階層に出現する事は殆ど無いが、ごく稀に遭遇した運の悪い冒険者が被害を受けることもあるようだ。
そんなハイオークが出てきて、こちらを追いかけてくる。
俺たちはお魚咥えたどら猫じゃないぞ。
むこうは裸足で駆けてくるけどな。
「さあ、この調子でどんどん集めるわよ」
「これで十分に再現出来たんじゃないかな?」
「ここから、トレインの擦り付けまでが一連の流れよ」
「そうか」
勝てない敵から逃げるところからトレインが始まる。
逃げる事を禁止したら、それは死ねと謂うことと同じ事なので、それはできないだろう。
対処の仕方としては敵を散らすことかな。
それができれば苦労はしないが。
FTAでもモンスターの集まりすぎが事象としてあったな。
なにか、それを阻止する解決方法が見つかればよいが。
こんなとき、仲間が何かヒントになるようなセリフを言うものだが、シルビアは何か思いつかないだろうか?
「こんなとき、相手を一瞬でもいいから怯ませられれば、一気に引き離せるのにね」
「そうか」
安物の推理小説みたいな展開だな。
相手を怯ませるアイテムがあればいいんだよな。
痴漢撃退スプレーとか、スタングレネードみたいなやつが。
でも、ここでは唐辛子は高級品なので、出回っている量も少ない。
冒険者が使うにはコストが高いな。
スタングレネードなんて作れないだろうし。
逃げるときに引き離せれば、トレインの発生要因のひとつは潰せようなのだが、対策までたどり着かないのが残念だ。
「いい感じで集まってきたわね」
シルビアのその言葉で、俺の意識は現実に戻ってきた。
ハイオーク以外にも、危険なモンスターがトレインに加わっている。
合計で100体位のモンスタートレインが完成した。
単なる再現トライのはずだけど、これはかなり不味いんじゃないか?
「シルビア、これ不味くない?」
「不味いわね。10階層駆け上がる体力はある?」
そんな体力俺には無いぞ。
これ、アカンやつだ。
「君ひとりなら助かるかもしれない」
俺はシルビアにそう言ったが
「約束したじゃないか……死ぬときはいっしょに……と」
って返された。
感動的な気もするが、既視感が……
どこに堕ちたい?
「アルト、プリオラに使った爆発する壁があったでしょ。あれをもう一度やりなさいよ」
「あれか」
シルビアに言われて、思い出した。
あれとは魔法で作る土壁にピクリン酸を混ぜたやつだ。
走りながら魔法を使う事は普通の魔法使いには出来ない。
が、ギルド長のつてで詠唱最中に激しい動きをしても、魔法を発動出来る魔法使いを紹介してもらって、作業標準書を作ってある。
こんなこともあろうかと、って真田さんか!
「土壁よいでよ!」
俺達とモンスターの間に土壁が出来る。
モンスター達はそのまま土壁にぶつかり、ピクリン酸がその衝撃で爆発する。
今回は手加減なしの量を出していたので、トレインは消滅した。
流石は軍事用として使われた火薬だ。
そんなもんが会社にあって、管理している棚はバールのようなもので破壊できるとあっては、危険きわまりないな。
前世の話だけど。
「追いかけていた連中はみんな片付いたわね。これがいつでも出来たらいいんだけど」
「威力を抑えて、その代わり強力な閃光が出たらいいのかな」
スタングレネードが無いと言ったが、サイノスが作っていたライトのマジックアイテムがあったな。
あれの光量を増やして、ついでに爆発音が出るようにすれば、モンスターが怯むんじゃないかな。
そのアイデアをシルビアに話したら賛成してくれた。
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「戻って、イガラシじゃなかった、ギルド長に付与魔術が使える人物を紹介してもらえばいいか」
「そうね」
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対策書だと、全てについて対策が終わらないと許してもらえないんだけどな。
でも、現実的に無理だよね。
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ね?ねっ?
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