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第93話 MMRの魅力は読者投稿
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「これが試作品か」
俺はシルビアと一緒にギルド長に呼ばれて、執務室にいた。
この前思い付いたスタングレネードっぽいマジックアイテムの試作品が完成したと謂うのだ。
これを迷宮で試しに使ってみて、その効果を確認してほしいと言われた。
言い出したのは自分なので、当然引き受ける。
試作品は二個だ。
リレーのバトン位のサイズの筒である。
こいつに魔力を注ぎ込むと、5秒後に強い光と爆発音が出ると謂う。
効果は一瞬だが、これなら光に強いモンスターも音で怯ませる事が出来るはずだ。
「すぐに使ってみたいわね」
そう言うシルビアに俺は頷く。
被害が減らせるかもしれないアイテムだ。
早速使ってみることにした。
使用はトレインの発生が多い地下10階層に決めた。
ここで歯止め効果があるなら、販売に踏み切る事が出来る。
シルビアと一緒にモンスターを集めて、トレイン状態にした。
いよいよだな。
「対ショック・対閃光防御」
「何よ、それ」
「いや、なんとなく言わないといけない気がして」
強烈な光を出す兵器を使うときのお約束だ。
そして、魔力を注ぎ込んだ筒を足元に落とす。
待つこと5秒
耳を手で塞ぎ、音に備える。
――ズガガーン
轟音が辺りに響き渡る。
耳を塞いだ手の間からも、その音が侵入してきた。
背後での閃光は、俺達の進行方向を強く照らした。
俺達を追いかけてきた足音は、聞こえなくなる。
振り返ってみれば、目をつぶり耳を手で押さえるゴブリンやオーク。
虫系のモンスターもその場に立ち止まっていた。
「成功ね」
「これなら逃げる時間を稼げそうだな」
シルビアと視線を交わして頷く。
「さて、あとはこいつらを片付けないとね」
そう、このまま放置するのはよくないので、シルビアと二人で、残らず葬りさってやった。
そうして、報告の為冒険者ギルドへと戻る。
「効果はかなりあります。ただ、使い方を間違うと自分達の目と耳も使い物にならなくなるので、十分な指導が必要ですね」
ギルド長にはそう報告した。
対策でポカヨケを新規で設置したり、今までに無かった作業を追加した場合、作業者の習熟が必要である。
今回のマジックアイテムも、当然そうなってくる。
使ったはいいが、自分達も動けなくなったのでは意味がないからな。
必ず逃げながら使う必要がある。
サングラスでも有れば事情は変わってくるが、そんなもんはない……
いや、ホーマーが作ることができたかな?
どちらにせよ、一般的ではないな。
こうして、トレインを未然に防ぐマジックアイテムは「スタンフラッシュ」と謂う名前で発売された。
「これでひとつは問題が解決だな」
俺はそう思っていたが、シルビアの表情は険しい。
「どうしたの?」
「本当にこれで終わりかしら」
「どういう事だよ、キバヤシ?!」
「キバヤシ?」
つい、シルビアの事をキバヤシと呼んでしまったため、不思議そうな目で見られてしまった。
このシチュエーションなら、一度はそう言わなければと謂う義務感に駆られた結果だな。
「トレインを作る遺伝子を持ったモンスターが作られていたとしたら?」
険しい顔のシルビアが俺に言う。
遺伝子って概念あるのかよ!
「これを見てください」
いいタイミングで、手紙を持ったレオーネがやって来た。
お前はタナカかっ!
「こ、これは……」
その手紙には青いバラを発見したという冒険者の話が書いてあった。
「青いバラは自然界には存在しないの」
「それってどういう事だよ」
「遺伝子組み換え技術が確立されたっていう事よ!」
「な、何だってー!!」
「……起きなさい」
「ん?」
「起きなさいよ!」
気がつくと俺はシルビアに肩を揺すられていた。
「次の事故対策を何にするか、冒険者からの手紙で考えようって自分で言ったのに、寝るなんて酷いわよ」
「そうですよ。お姉様と私だけでやりますから、出ていってください」
そうだ、今はスタンフラッシュの成功で、次の対策に期待が集まっているので、冒険者から対策してもらいたい事故について、手紙をもらった中からどれにするかを選んでいる最中だった。
文字を読んでいて眠くなって、寝てしまったようだな。
あんな夢を見るとは、やはり迷宮事故対策調査班と謂う名前が悪い。
「次はこの迷宮盗賊対策ね」
シルビアはそう言うと、一通の手紙を手で掴んだ。
迷宮盗賊とはその名の通り、迷宮に巣くう盗賊だ。
冒険者の戦利品を横取りしたり、時には冒険者を誘拐したりする厄介者だ。
金で人質を解放してくれるので、重大事故にはならないのだが、いつか冒険者に大きな被害が出そうではある。
ヒヤリハット対策の観点から、見過ごすことは出来ないな。
「次回『迷宮盗賊退治』、君は刻の涙を見る」
「アルト、何を言ってるの?」
「……はい」
※作者の独り言
MMR今読み返しても面白いよね。
是非とも半人半豚を登場させてみたい。
俺はシルビアと一緒にギルド長に呼ばれて、執務室にいた。
この前思い付いたスタングレネードっぽいマジックアイテムの試作品が完成したと謂うのだ。
これを迷宮で試しに使ってみて、その効果を確認してほしいと言われた。
言い出したのは自分なので、当然引き受ける。
試作品は二個だ。
リレーのバトン位のサイズの筒である。
こいつに魔力を注ぎ込むと、5秒後に強い光と爆発音が出ると謂う。
効果は一瞬だが、これなら光に強いモンスターも音で怯ませる事が出来るはずだ。
「すぐに使ってみたいわね」
そう言うシルビアに俺は頷く。
被害が減らせるかもしれないアイテムだ。
早速使ってみることにした。
使用はトレインの発生が多い地下10階層に決めた。
ここで歯止め効果があるなら、販売に踏み切る事が出来る。
シルビアと一緒にモンスターを集めて、トレイン状態にした。
いよいよだな。
「対ショック・対閃光防御」
「何よ、それ」
「いや、なんとなく言わないといけない気がして」
強烈な光を出す兵器を使うときのお約束だ。
そして、魔力を注ぎ込んだ筒を足元に落とす。
待つこと5秒
耳を手で塞ぎ、音に備える。
――ズガガーン
轟音が辺りに響き渡る。
耳を塞いだ手の間からも、その音が侵入してきた。
背後での閃光は、俺達の進行方向を強く照らした。
俺達を追いかけてきた足音は、聞こえなくなる。
振り返ってみれば、目をつぶり耳を手で押さえるゴブリンやオーク。
虫系のモンスターもその場に立ち止まっていた。
「成功ね」
「これなら逃げる時間を稼げそうだな」
シルビアと視線を交わして頷く。
「さて、あとはこいつらを片付けないとね」
そう、このまま放置するのはよくないので、シルビアと二人で、残らず葬りさってやった。
そうして、報告の為冒険者ギルドへと戻る。
「効果はかなりあります。ただ、使い方を間違うと自分達の目と耳も使い物にならなくなるので、十分な指導が必要ですね」
ギルド長にはそう報告した。
対策でポカヨケを新規で設置したり、今までに無かった作業を追加した場合、作業者の習熟が必要である。
今回のマジックアイテムも、当然そうなってくる。
使ったはいいが、自分達も動けなくなったのでは意味がないからな。
必ず逃げながら使う必要がある。
サングラスでも有れば事情は変わってくるが、そんなもんはない……
いや、ホーマーが作ることができたかな?
どちらにせよ、一般的ではないな。
こうして、トレインを未然に防ぐマジックアイテムは「スタンフラッシュ」と謂う名前で発売された。
「これでひとつは問題が解決だな」
俺はそう思っていたが、シルビアの表情は険しい。
「どうしたの?」
「本当にこれで終わりかしら」
「どういう事だよ、キバヤシ?!」
「キバヤシ?」
つい、シルビアの事をキバヤシと呼んでしまったため、不思議そうな目で見られてしまった。
このシチュエーションなら、一度はそう言わなければと謂う義務感に駆られた結果だな。
「トレインを作る遺伝子を持ったモンスターが作られていたとしたら?」
険しい顔のシルビアが俺に言う。
遺伝子って概念あるのかよ!
「これを見てください」
いいタイミングで、手紙を持ったレオーネがやって来た。
お前はタナカかっ!
「こ、これは……」
その手紙には青いバラを発見したという冒険者の話が書いてあった。
「青いバラは自然界には存在しないの」
「それってどういう事だよ」
「遺伝子組み換え技術が確立されたっていう事よ!」
「な、何だってー!!」
「……起きなさい」
「ん?」
「起きなさいよ!」
気がつくと俺はシルビアに肩を揺すられていた。
「次の事故対策を何にするか、冒険者からの手紙で考えようって自分で言ったのに、寝るなんて酷いわよ」
「そうですよ。お姉様と私だけでやりますから、出ていってください」
そうだ、今はスタンフラッシュの成功で、次の対策に期待が集まっているので、冒険者から対策してもらいたい事故について、手紙をもらった中からどれにするかを選んでいる最中だった。
文字を読んでいて眠くなって、寝てしまったようだな。
あんな夢を見るとは、やはり迷宮事故対策調査班と謂う名前が悪い。
「次はこの迷宮盗賊対策ね」
シルビアはそう言うと、一通の手紙を手で掴んだ。
迷宮盗賊とはその名の通り、迷宮に巣くう盗賊だ。
冒険者の戦利品を横取りしたり、時には冒険者を誘拐したりする厄介者だ。
金で人質を解放してくれるので、重大事故にはならないのだが、いつか冒険者に大きな被害が出そうではある。
ヒヤリハット対策の観点から、見過ごすことは出来ないな。
「次回『迷宮盗賊退治』、君は刻の涙を見る」
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「……はい」
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MMR今読み返しても面白いよね。
是非とも半人半豚を登場させてみたい。
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