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第101話 転生悪役令嬢の思いつき
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「――やあ」
俺が冒険者ギルドの相談窓口にいると、やってきたのはオッティこと水島だった。
フォルテ公爵のところで色々と生産ラインを作っていたはずだったが、どうしてこんなところにいるのだろうか?
「どうした、水……オッティ」
「実は公爵の企みが国にばれて、国軍が攻めてきたんだよ。それであっという間に滅ぼされてな。試作機の搭乗型ゴーレムで公爵が出撃したけど、結局やられてしまったよ。公爵の『イプサムが量産の暁には王国なぞあっという間に叩いてみせるわ』っていうセリフをお前にも聞かせたかったな」
「あ、それはちょっと聞きたかった」
その場に居たら「悲しいけどこれ戦争なのよね」って言いたかったな。
「まあ、生産ラインにあれだけちょっかい出されていたんだ。国にばれているとは思っていたよ。俺がやりたかった事とは違うから、あの生産ラインについては悔しくないけどね」
「なんの生産ラインだったんだよ」
「大規模鋳造ラインだな。発動機の開発が間に合えば、初期の戦車くらいは作れたかもしれない」
「大砲がないから溶接いらないものな」
戦車が直線的なデザインをしているのは、相手に撃たれた衝撃で外装を留めているビスが外れて、車内を飛び回って乗員を殺傷するから、溶接で外装を接続できるように直線的にしているのだ。
ホーマーがいれば溶接可能だろうけど、フォルテ公爵の領地には溶接スキルを持ったドワーフがいなかったのだろうな。
「よく生き残れたな」
俺は水島が死ななくてよかったと思っている。
が、当然お尋ね者になっているんだろうな。
こちらまで手配書は来ていないけど。
公爵よりも、水島がいることの方が国にとっては脅威だと思う。
「きな臭い動きは察知していたからな。俺は戦力にはならないから、戦場に連れ出されることは無かったので、公都陥落前に逃げ出したって訳さ」
成程な。
戦うスキルが無かったことで、生き残る事ができたという訳か。
「で、お前がここに来たのは逃亡の相談か?」
「ああ。だけどそれは俺じゃない」
そういえば、後ろにもう一人フードを深くかぶった奴がいるな。
体のラインが服で見分けにくいが、どうやら女性っぽい。
しかし、今までさんざんこちらに嫌がらせをしてきたのに、よく顔を出せたもんだな。
「あまり人に話を聞かれたくないんだが」
「じゃあ、応接室に行こうか」
俺はオッティともう一人を応接室に案内した。
「ここならいいだろう」
俺がソファーに座ってそういうと、オッティと一緒にいた女性がフードを取った。
綺麗な輝く長い銀髪に、少々きつい目つき。
すっと通った鼻筋に真っ赤な唇。
顔の肉の付き方から推測するに、ほっそりとした体形なのだろう。
ファンタジーのお姫様って感じだな。
「誰?」
俺は失礼だと思いながらもオッティに訊いた。
「フォルテ公爵の娘のグレイスだ」
オッティが紹介すると、彼女は俺に頭を下げた。
「これが俺の前世の同僚のアルトだ」
「おい、それを言っちゃうのかよ」
オッティが俺の素性を彼女にぶっちゃけたので俺は焦った。
「私も転生者ですから」
彼女から意外な告白があった。
「マジで?!」
思わずぞんざいな口調になってしまった。
「ええ。令和元年に子供を助けるためにトラックの前に飛び出したら死んでしまい、気が付いたらこの世界に。なので、お二人と同じ世界線ではないかと思います」
「王道だなー。そして世界線も同じか」
「前世の記憶を取り戻したのは、王都の貴族学校で私のいじめを学友に糾弾される場面でしたわ。そのせいで学校を追放されたのですが、そのおかげでお父様の反乱の時は王都におらずに、こうして逃げおおせたと」
「俺が逃走している途中で出会って、そのままこうしてステラまで逃げてきたって訳だ」
三人目の転生者は悪役令嬢か。
「で、俺に相談ってのはなんだ?一緒に逃げるのは無理だぞ」
「それはいい。俺はこのまま隣国に行こうと思っているんだが、彼女を連れて安全に行ける自信がない。彼女の面倒をみてくれないか」
「手配書が回ってきたらどうにもならないだろうが」
「それは多分大丈夫だ。ここに来る途中にグレイスの馬車を盗賊に襲われたように偽装した。というか、盗賊に襲われて殺された商隊があったので、そこで馬車も一緒に燃やしてきた。女性の遺体もあったからグレイスの服を着せて一緒に焼いたので、国の方はグレイスが死亡したと判断するだろう。DNA鑑定なんてないしな」
「そういうことか」
「おジャマさせていただきます。この町に住まわせて頂きたいんです。きれいだし、時計塔もステキだし」
涙をためた上目遣いで訴えられる。
涙目で女性にお願いされると弱い。
どれくらい弱いかと言うと、婚活サイトで知り合った女性が、「お父さんが病気なんです」って言って100万円を要求してきたら払っちゃうくらいだ。
そうか、病気のお父さんはいなかったんだ……
嫌なことを思い出してしまった。
というか、時計台は無いし、お前はどこかの魔女か。
それなら黒猫を連れてこい。
冗談言えるなら余裕あるんじゃないの?
「まあ、遠い親戚とか言う事にすればいいか。一緒に住むわけじゃないし。で、これからどうやって生きていくんだ?」
「どうやってとは?」
質問に質問で返された。
「生きていくためには働かないといけないだろ。公爵家の仕送りも無いのにどうするんだ?」
「そこは前世の知識を使って化粧品を販売したり」
「「やめておけ!!」」
化粧品の販売という言葉に即座に俺と水島が反応する。
「何故?」
「化粧品は外観がうるさい。容器に少し傷があるくらいでクレームが来るぞ」
「そうなの?」
「ああ、化粧品を使っても綺麗にならないような奴に限ってクレームを入れてくる」
※個人の感想です。
「でも異世界だし」
「クレームを入れてくる心の汚い人間はどこにでもいる」
※個人の感想です。
「売れ行きがよいと、突然受注数が増えて、ラインの増設も間に合わずに、夜中まで生産させられるぞ。1直で」
水島も意見を言う。
そう、午後5時に0時まで残業とか言われても困る。
機械も負荷が高くなって壊れやすくなる。
化粧品の容器の仕事なんて酷かったな。
みんなすっぴんでいいじゃないか。
俺はそういうジャンルのビデオが好きだぞ。
※個人の感想です。
「ノークレーム、ノーリターンの約束をしてくれたお客だけに売ります」
「「そうしておけ!!」」
こうして水島からグレイスを預かり、水島はそのまま隣国へと向かった。
生きていればまた会う事もあるだろう。
俺はグレイスを女性が一人でも泊まれる宿に案内して、翌日商売について打ち合わせしようと約束をして別れた。
化粧品の容器の仕事だけはやめておけ!!
※個人の感想です。
※作者の独り言
外観部品って面倒ですよね。
外観部品の検査員を一般部品の検査にまわしたら、過剰品質になって殆ど外観不良って判定されてしまいました。
化粧品はそれだけ気を使った製品を出荷しているので、女性には紀霊になってもらいたいものです。
って、袁術配下の将軍やんけ。
俺が冒険者ギルドの相談窓口にいると、やってきたのはオッティこと水島だった。
フォルテ公爵のところで色々と生産ラインを作っていたはずだったが、どうしてこんなところにいるのだろうか?
「どうした、水……オッティ」
「実は公爵の企みが国にばれて、国軍が攻めてきたんだよ。それであっという間に滅ぼされてな。試作機の搭乗型ゴーレムで公爵が出撃したけど、結局やられてしまったよ。公爵の『イプサムが量産の暁には王国なぞあっという間に叩いてみせるわ』っていうセリフをお前にも聞かせたかったな」
「あ、それはちょっと聞きたかった」
その場に居たら「悲しいけどこれ戦争なのよね」って言いたかったな。
「まあ、生産ラインにあれだけちょっかい出されていたんだ。国にばれているとは思っていたよ。俺がやりたかった事とは違うから、あの生産ラインについては悔しくないけどね」
「なんの生産ラインだったんだよ」
「大規模鋳造ラインだな。発動機の開発が間に合えば、初期の戦車くらいは作れたかもしれない」
「大砲がないから溶接いらないものな」
戦車が直線的なデザインをしているのは、相手に撃たれた衝撃で外装を留めているビスが外れて、車内を飛び回って乗員を殺傷するから、溶接で外装を接続できるように直線的にしているのだ。
ホーマーがいれば溶接可能だろうけど、フォルテ公爵の領地には溶接スキルを持ったドワーフがいなかったのだろうな。
「よく生き残れたな」
俺は水島が死ななくてよかったと思っている。
が、当然お尋ね者になっているんだろうな。
こちらまで手配書は来ていないけど。
公爵よりも、水島がいることの方が国にとっては脅威だと思う。
「きな臭い動きは察知していたからな。俺は戦力にはならないから、戦場に連れ出されることは無かったので、公都陥落前に逃げ出したって訳さ」
成程な。
戦うスキルが無かったことで、生き残る事ができたという訳か。
「で、お前がここに来たのは逃亡の相談か?」
「ああ。だけどそれは俺じゃない」
そういえば、後ろにもう一人フードを深くかぶった奴がいるな。
体のラインが服で見分けにくいが、どうやら女性っぽい。
しかし、今までさんざんこちらに嫌がらせをしてきたのに、よく顔を出せたもんだな。
「あまり人に話を聞かれたくないんだが」
「じゃあ、応接室に行こうか」
俺はオッティともう一人を応接室に案内した。
「ここならいいだろう」
俺がソファーに座ってそういうと、オッティと一緒にいた女性がフードを取った。
綺麗な輝く長い銀髪に、少々きつい目つき。
すっと通った鼻筋に真っ赤な唇。
顔の肉の付き方から推測するに、ほっそりとした体形なのだろう。
ファンタジーのお姫様って感じだな。
「誰?」
俺は失礼だと思いながらもオッティに訊いた。
「フォルテ公爵の娘のグレイスだ」
オッティが紹介すると、彼女は俺に頭を下げた。
「これが俺の前世の同僚のアルトだ」
「おい、それを言っちゃうのかよ」
オッティが俺の素性を彼女にぶっちゃけたので俺は焦った。
「私も転生者ですから」
彼女から意外な告白があった。
「マジで?!」
思わずぞんざいな口調になってしまった。
「ええ。令和元年に子供を助けるためにトラックの前に飛び出したら死んでしまい、気が付いたらこの世界に。なので、お二人と同じ世界線ではないかと思います」
「王道だなー。そして世界線も同じか」
「前世の記憶を取り戻したのは、王都の貴族学校で私のいじめを学友に糾弾される場面でしたわ。そのせいで学校を追放されたのですが、そのおかげでお父様の反乱の時は王都におらずに、こうして逃げおおせたと」
「俺が逃走している途中で出会って、そのままこうしてステラまで逃げてきたって訳だ」
三人目の転生者は悪役令嬢か。
「で、俺に相談ってのはなんだ?一緒に逃げるのは無理だぞ」
「それはいい。俺はこのまま隣国に行こうと思っているんだが、彼女を連れて安全に行ける自信がない。彼女の面倒をみてくれないか」
「手配書が回ってきたらどうにもならないだろうが」
「それは多分大丈夫だ。ここに来る途中にグレイスの馬車を盗賊に襲われたように偽装した。というか、盗賊に襲われて殺された商隊があったので、そこで馬車も一緒に燃やしてきた。女性の遺体もあったからグレイスの服を着せて一緒に焼いたので、国の方はグレイスが死亡したと判断するだろう。DNA鑑定なんてないしな」
「そういうことか」
「おジャマさせていただきます。この町に住まわせて頂きたいんです。きれいだし、時計塔もステキだし」
涙をためた上目遣いで訴えられる。
涙目で女性にお願いされると弱い。
どれくらい弱いかと言うと、婚活サイトで知り合った女性が、「お父さんが病気なんです」って言って100万円を要求してきたら払っちゃうくらいだ。
そうか、病気のお父さんはいなかったんだ……
嫌なことを思い出してしまった。
というか、時計台は無いし、お前はどこかの魔女か。
それなら黒猫を連れてこい。
冗談言えるなら余裕あるんじゃないの?
「まあ、遠い親戚とか言う事にすればいいか。一緒に住むわけじゃないし。で、これからどうやって生きていくんだ?」
「どうやってとは?」
質問に質問で返された。
「生きていくためには働かないといけないだろ。公爵家の仕送りも無いのにどうするんだ?」
「そこは前世の知識を使って化粧品を販売したり」
「「やめておけ!!」」
化粧品の販売という言葉に即座に俺と水島が反応する。
「何故?」
「化粧品は外観がうるさい。容器に少し傷があるくらいでクレームが来るぞ」
「そうなの?」
「ああ、化粧品を使っても綺麗にならないような奴に限ってクレームを入れてくる」
※個人の感想です。
「でも異世界だし」
「クレームを入れてくる心の汚い人間はどこにでもいる」
※個人の感想です。
「売れ行きがよいと、突然受注数が増えて、ラインの増設も間に合わずに、夜中まで生産させられるぞ。1直で」
水島も意見を言う。
そう、午後5時に0時まで残業とか言われても困る。
機械も負荷が高くなって壊れやすくなる。
化粧品の容器の仕事なんて酷かったな。
みんなすっぴんでいいじゃないか。
俺はそういうジャンルのビデオが好きだぞ。
※個人の感想です。
「ノークレーム、ノーリターンの約束をしてくれたお客だけに売ります」
「「そうしておけ!!」」
こうして水島からグレイスを預かり、水島はそのまま隣国へと向かった。
生きていればまた会う事もあるだろう。
俺はグレイスを女性が一人でも泊まれる宿に案内して、翌日商売について打ち合わせしようと約束をして別れた。
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