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第115話 用語解説18

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品質管理部なら知っていて当然な単語を解説



・抜き勾配

 製品を金型から抜くための勾配、角度のこと。
 垂直に近いほど製品が抜けにくい。
 無理に抜こうとするとかじりが発生する。
 ただし、部品図や製品図には記事として抜き勾配が書いてある程度で、製図はまっすぐで描かれている。
 なので、注意しないと抜き勾配を考慮しない後工程の治具を作ってしまうことも。
 まあ、いつものことなので、是非とも反省してください。
 稼働側については何とかなる場合もあるけど、固定側だと厳しいんじゃないかな。
 抜き勾配のことを考えないで設計するなら、3Dプリンタ前提の工程にして欲しいですね。


・体制監査

 客先または自社の要求する体制が整っているかの監査。
 客先の監査の場合、その会社の文化を押し付けられる。
 その結果当社のISOのマニュアルは、○○社の場合というような前書きが沢山ある。
 K3とか、号試とか、PT2とか、生試とか呼び方が違い過ぎだ。
 要求事項もばらばらで、管理コストだけが膨れ上がっていくのは辛い。
 そして社内は品証、品管以外は非協力的なのも困る。
 製造の係長が監査当日にとんずらしたのは流石に客も苦笑いしていました。
 まあ、品管の課長もとんずらする会社ですので、他部署の批判だけとはいきませんけどね。
 おっと、解説じゃなくて愚痴になってる。


・トレーサビリティ

 工場においては生産ロットの所在確認の意味で使われている。
 不具合が発生した場合に、範囲の特定ができるかどうかということである。
 測定器においては、「不確かさがすべて表記された切れ目のない比較の連鎖によって、決められた基準に結びつけられ得る測定結果または標準の値の性質。基準は通常、国家標準または、国際標準」と定義されている。(JIS Z8103:2000計測用語より引用とウィキペディアから引用)
 測定器の校正が国家標準、国際標準に即しているかどうかであり、自主校正ではこの部分がクリアーできない。
 JCSSに校正事業者として認定されればその限りではないとは思いますが。
 そんなわけで、誰ともわからない人から、校正証明書もないようなノギスをもらっても、それで測定した結果は品質記録として残すべきではない。
 というか、そもそも測定すべきではない。
 ところが、大手の測定器メーカーでも、あれやこれはそういったものに対応していなかったりして、どうしたらいいんだろうかということもありますね。
 何とかしてください。


・裏リコール

 リコールの届け出をしないリコール。
 そんなことはないとは思いますが、都市伝説として語られる。
 たぶんツチノコみたいなもんだよ。
 ないよ。
 絶対にないよ。


・浸炭

 炭素を鉄に浸透させる工法。
 焼入れの前工程として行う。
 炭素がないと焼き入れができないので。
 いわゆる鉄、SS400のことを「なま」と呼びますが、これは焼入れができない「なまくら」の略です。
 つまり、鉄は焼入れができない。
 それを可能にするのが浸炭です。
 今なら最初から鋼を使えよって思いますけどね。
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