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第262話 鳥ってどうして狙ったように製品に糞をするの?

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「鳩?」

 冒険者ギルドの中に鳩がいた。
 迷って入ってきたのだろうか?

「伝書鳩でもないし、野生の鳩ね」

 シルビアが説明してくれる。
 この世界でも鳩は存在して、伝達手段として活用されているのだ。
 今回のやつは違うみたいだけど。

「野宿の時にはよく食べたわよ。ちょっと臭いけどね」

 と付け加えてくる。
 俺は鳩を食べた経験はないが、鳥の糞には散々悩まされた経験がある。
 製品を外に出しておくと、すぐに糞を落としてくるのだ。
 製品以外には、空箱の中にもよく糞をされたな。
 知り合いの鉄工所の社長は、改造したトイガンで、工業用ベアリングを撃ち出して、工場内に入ってきた鳥を退治していた。
 勿論合法の範囲内の威力なのだが、鳩の頭が吹っ飛んでいたので、ファンタジー的な力が加わったのだろう。
 不良品を納入したら、腹いせに警察に届け出ます。
 異世界に転生しちゃっているけど。
 まあ、鳩に限ったことじゃ無いんだけど、鳥の糞害は品質管理を悩ませてくれる。

「うわ、料理の上に鳩の糞が!」

 鳩は食堂の方に飛んでいき、食事をしていた冒険者の料理の上に糞をした。
 冒険者ギルドの中で武器を抜くのは御法度なので、鳩に手出しを出来ないのを知っているかのようだ。
 憎々しい。

「アルト、なんとかしなさいよ」

 シルビアに言われるが、鳥の対策って蓋をするくらいしか無いんだよね。
 どこかの国じゃないけど、偉い人が鳥を絶滅させよとか指令を出すなら別だけど。
 その結果、イナゴが増えて穀物の収穫に影響が出たんだっけ?
 生態系を壊すのも危ないな。

「なんとかって言われても、窓を締め切るしか無いですよ」

「あんたの温度管理スキルを使えばいいじゃない」

「休みがなくなります」

 あ、そういえばオッティが作ったエアコンがあったな。
 あれを導入すればなんとかなるかな。
 前世では、コンタミがうるさくない製品を作っている職場では、窓やシャッターを開けたまま仕事をしていたな。
 鳥や虫が入ってきて、製品に糞や羽根、死骸が混入するなんて日常茶飯事だった。
 空調をなかなかつけてくれなかったんだよね。
 経費にうるさすぎだよ。

 対策としてエアコンの導入を提案したけど、費用対効果が釣り合わないので却下された。
 出勤日はスキルを使って冒険者ギルドを冷やす、エアコン部長の職に任命されたけど、給料が上がらないのは納得できない。

 そういえば、前世では外国人労働者が沢山いて、外国の言葉でこれは何て言うのって訊くのが楽しかったんだけど、ベトナム人の女性に鳩はベトナム語で何て言うのって訊くと、みんな笑って誤魔化すだけだったんだよね。
 ひょっとしたら、ベトナム人ははとを見たら笑う習慣があるのかもしれないね。
 時々セクハラって言われたけど、意味がわからないよ。


※作者の独り言
鳥をこの世から絶滅させたい。
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