冒険者ギルド品質管理部 ~生まれ変わっても品管だけは嫌だと言ったのに~

犬野純

文字の大きさ
328 / 439

第327話 就職戦線異常しかなし!

しおりを挟む
 本日はグレイスとオッティがステラにやってきている。
 いつものティーノの店での食事会だ。

「第35回転生者会議を始めます」

 俺がワインを飲んでいると、グレイスが突然そんなことを言い出した。

「第35回?」

 俺は怪訝そうにグレイスを見た。

「初めて聞いたぞ」

 オッティがそう言う。
 俺も初めて聞いた。

「こういうのはノリが大切よ」

 グレイスはしれっと言い切った。
 まあそうですね。

「で、今回は転生悪役令嬢の定番、銀行を導入しようよ。『ヤリたいからヤッちゃった。仏壇返しだ!』って奴ね」

 鼻息の荒いグレイス。

「ちょっと違うんじゃないかな?」

 仏壇返しって相撲の決り手だよね?
 だよね?
 違う方だとまた運営に怒られちゃう。

「銀行つくってどうするんだ?」

 オッティの質問に、グレイスは待ってましたとばかりに答える。

「将来性はあるけど、お金がない若者に融資をして、領地を発展させるのよ」

「そうは言うけど、信用調査のノウハウもないのに、そんな事出来るわけないだろ」

 オッティが鼻で笑った。
 まあ、俺も同意見だな。

「銀行なんて作っても、上司のパワハラで社員が寄り付かないと思うが。ガラスの灰皿で殴られても大丈夫な人材を見つけないとな」

「オッティ、それは保険会社だよ」

 俺は念のため訂正をしておいた。
 ※事実に基づいたフィクションです!
 上司にガラスの灰皿で殴られて怪我をしても、保険適用になるのでみんなも入ろう生命保険。

「何よ、街金よりはマシでしょ」

 それはちょっと文字ではお伝え出来ない内容になるからな。
 上場していた大手ですらあれだったし。
 証券会社も証券取引所も、よく上場させたよね。
 まあ、証券会社なんてアレだから、似たようなもんだろうけど。
 ※事実かどうかはわかりませんが、フィクションです。

「確かに、街金だと債務者追い込んだのを武勇伝にしている所長とか大勢いたよな。社員が督促の電話かけたら債務者がそいつの親戚で、返済出来そうにもないってわかったら、親戚のお前が肩代わりしろとか、街金の社員が追い込まれた話は涙無しには聞けなかったぞ」

「オッティさん、その辺にしておいていただかないと……」

 ※事実ではありません、多分

「そうよね。駅前の地上げで――」

「言わせねーよ!」

 グレイスがとても危険なことを口走りそうになったのを止めた。
 本当に危ない。

「まあ、大手に入っても痴呆症の老人からお金を騙しとったりする組織だったりすると、大学で何を学んだかなんて関係ないわよね」

「金融系は大手も中小も割りときついよな。上司の不正を暴いて倍返しとか言ってられるのなんて、物語の中だけの話で、現実だと反社会的勢力に資金を流しているのを追求していたら消されたとかになるよな」

 オッティさん、それは『公権力横領捜査官 中坊林太郎』の話ですよね?
 実話じゃないですよね?

 そんな話題になってしまったので、銀行をつくる話は流れた。
 下を見ればキリがないが、意外とブラックじゃない(ホワイトとは言ってない)自動車業界は、就職するにはお勧めです。
 折角頂点にのぼり詰めても、楽器ケースの中に入って外国に亡命することになるかもしれませんが。


※作者の独り言
会社説明会で、そんなことは言わないよね。
あの会社のOBがニュースになるの多すぎ!
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。 享年は25歳。 周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。 25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜

束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。 そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。 だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。 マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。 全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。 それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。 マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。 自由だ。 魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。 マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。 これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...