367 / 439
第366話 皿屋敷 前編
しおりを挟む
「ゴーストが住み着いた屋敷が売れないから何とかして欲しい?」
「ええ」
オーリスと家で夕食をとっていると、彼女はそうお願いしてきた。
なんでも、知り合いの貴族からいわくつきだと言われて、無償で譲ってもらった屋敷があるのだが、いわくつきの理由がゴーストが住み着いていることだとか。
「それは霊媒士とかその類いの人に頼むのがいいんじゃないかな」
食事をする手を止めてオーリスの方を見ると、少し不機嫌になったのがわかった。
地雷を踏んでしまったかと緊張が走る。
「勿論、既に何度か依頼をしております。それも高名な片ばかりを。それなのに、一度も成功しないのですわ。なんでも、ゴーストの未練が強くて、現世との繋がりを断ち切れないのだとか」
「高名な霊媒士でも、か」
さすがに、俺の考え付くことは、オーリスは先に試していた。
それが全て失敗となると、ゴーストはかなり手強そうだな。
「ただ、最後に依頼した霊媒士が言うには、ゴーストの願いを叶えてあげれば、満足して神の元へと旅立つ可能性もあると」
「つまり、ゴーストの願いを叶えて浄化するもよし。実力でゴーストを浄化するもよしと」
「ええ、我が夫には非常に期待しておりますわ」
そう言ってニコリと笑うオーリスに背筋が凍る思いがした。
二人で泪橋どころか、独りでチャンピオンベルト取ってこいと言っている気がしてなら無い。
そんなわけで、下調べをしたのち、俺たちはゴーストが住み着いたという屋敷の前にいた。
俺たちと言ったのは、パーティを組んでここにやってきたからである。
先頭に立った俺は、屋敷の門に取り付けられた南京錠を解錠すると、ゆっくりと門を開いた。
長い間開かれなかった鉄の門は、ギギギという音を立てて観音開きになる。
そして、一度仲間の方を振り返る。
「さあ、はじまるざますよ」
と俺。
「いくでがんす」
とプリオラ。
「フンガー」
とシルビア。
「マトモに始めなさいよ」
とオーリス。
今回はこの四人でゴーストの浄化を目指す。
「なんでこんな変な掛け声かけてから屋敷に入るのよ」
シルビアが不機嫌そうに俺に訊いてくる。
もちろんそれには深い訳がある、わけではない。
今回屋敷の情報を調べてわかったのは、ここの屋敷のメイドが主人が大切にしている皿を割ってしまい、激昂した主人がメイドを井戸に投げ込んで殺してしまったことがあったそうなのだ。
そんな話が、怪物世界の王女と王子が王位継承権を争っている漫画になったなと思い出し、それが怪物の王子が日本にやってくるアニメのパロディだったなとなり、そのアニメのオープニングのパロディをしていたのが幸せな星のオープニングという、異世界には全く関係ない情報である。
なお、今回割れた器でそばがきを作るという解決のしかたはないと先に言っておこう。
今回割れたのは皿であって、茶碗ではないのでね。
シルビアの質問を無視して、屋敷の敷地内へと足を踏み入れる。
ゴーストが現れるのは建物の中だというので、ここでは特に問題も無く進める。
しかし、手入れがされていない庭は荒れ放題で、雑草が元気に育っていた。
「手入れをするのにもお金がかかりますわね」
オーリスの眉間にシワが寄る。
屋敷の敷地面積はかなり広く、手入れをするとなるとそれなりの人手が必要になるな。
場所はステラの貴族地区なので、ゴーストさえいなくなれば買い手は見つかるだろうが、現状引き渡しなのか、ある程度見映えを整えてからなのかで金額は変わってくるな。
雑草を住みかとする虫たちに歓迎されながら、ドアの前までやってきた。
人が住まなくなってから時間が経っているので、ドアが朽ちているかと思ったがそうでもない。
「現状維持の魔法がかかっておりますから」
と、オーリスが教えてくれる。
便利な生活魔法だな。
「ただ、定期的に重ねがけしないと、その効果も消えてしまいますわ。魔法文明時代みたいに、永続する仕組みがありませんので」
そう付け加えた。
そろそろ重ねがけしないとまずいらしい。
「さあ、ドアを開けるよ。ここからは突然ゴーストが襲ってくるかもしれないから、みんな気をつけて」
そう注意喚起するが、今いるメンバーには不要かな。
オーリスも戦闘力は低いが、攻撃をかわすのは得意だ。
シルビアですらオーリスに攻撃を当てることは出来ないくらいに、その実力は高い。
過信して欲しくはないが。
奇襲される可能性もあるので、俺が先頭を切って中にはいる。
エントランスホールから二階に上がっていく階段の上に彼女はメイド服の格好で浮いていた。
今回の浄化対象の彼女が。
調査によれば、彼女の名前はキックス。
番町皿屋敷でも播州皿屋敷でも女の名前が「菊」だったなと思い出す。
「あなたたちは?やっぱりご主人様を殺したことで私を捕まえに来たの?あの後、私は自ら井戸に身を投げて命で罪を償ったというのに……」
背景がうっすらと透けて見える彼女は、俺たちにそう訊いてきた。
あれ?
ご主人様を殺したのを命で償っただと。
事前調査の結果では、大切にしていた皿を割られた主人が、キックスを殺して井戸に投げ捨てたはずだったが、自ら井戸に身を投げたのか。
その後主人が頭部をこのゴーストに割れた皿で叩かれて死んだので、殺したとはその事を言っているのかな。
記憶が混乱しているのだろうか?
「捕まえに来た訳じゃない。ちょっとその話を聞かせて欲しい。そうすれば君の望みを叶えてあげられるかもしれないから」
交渉の結果、事件当日の事をキックスが語ってくれることとなった。
「あの日、ご主人様とそのお客様のお食事を準備しているときに、手が滑って大切なお皿を割ってしまったのです。不注意でお皿を割ってしまった私が悪いのもわかりますが、あまりにもガミガミと怒るご主人様に、私の方も我慢の限界が来ました。気がついたら割れた皿でご主人様の頭部を殴打しておりました。血を流して倒れるのをみて、いよいよ取り返しのつかないことをしてしまったと気づき、どうせ衛兵に捕まって処刑されるくらいならと井戸に身を投げたのです。ただ、最期にどうしてもご主人様に謝りたくて、こうしてここに縛り付けられております」
彼女の語ったこれが真相だ。
「なあオーリス、こいつ――」
「それは駄目ですわ」
俺の言いたいことを察して、オーリスは俺がそれ以上言うのを止めた。
「単にチート能力でこのゴーストを倒してしまったら、この小説の存在価値など無くなりますわ」
「そうね」
シルビアとプリオラも同意して頷いている。
そうだったな。
つい、作業者が不良を出したときの言い訳を思い出して、かっとなってしまった。
尚、このような気分になった作業者の言い訳ベストスリーは
・「俺の国では良品」
・「後工程で検査しているだろ」
・「品管が暇そうだったので仕事を作ってやった」
だ。
その時手元に鈍器がなくて本当に良かった。
「キックス、謝るにしても再発しない対策を考えてからにしようか」
「はい」
俺の言葉に彼女が頷いた。
※作者の独り言
不良を出し後の言い訳に殺意を覚える事ってありますよね。
「ええ」
オーリスと家で夕食をとっていると、彼女はそうお願いしてきた。
なんでも、知り合いの貴族からいわくつきだと言われて、無償で譲ってもらった屋敷があるのだが、いわくつきの理由がゴーストが住み着いていることだとか。
「それは霊媒士とかその類いの人に頼むのがいいんじゃないかな」
食事をする手を止めてオーリスの方を見ると、少し不機嫌になったのがわかった。
地雷を踏んでしまったかと緊張が走る。
「勿論、既に何度か依頼をしております。それも高名な片ばかりを。それなのに、一度も成功しないのですわ。なんでも、ゴーストの未練が強くて、現世との繋がりを断ち切れないのだとか」
「高名な霊媒士でも、か」
さすがに、俺の考え付くことは、オーリスは先に試していた。
それが全て失敗となると、ゴーストはかなり手強そうだな。
「ただ、最後に依頼した霊媒士が言うには、ゴーストの願いを叶えてあげれば、満足して神の元へと旅立つ可能性もあると」
「つまり、ゴーストの願いを叶えて浄化するもよし。実力でゴーストを浄化するもよしと」
「ええ、我が夫には非常に期待しておりますわ」
そう言ってニコリと笑うオーリスに背筋が凍る思いがした。
二人で泪橋どころか、独りでチャンピオンベルト取ってこいと言っている気がしてなら無い。
そんなわけで、下調べをしたのち、俺たちはゴーストが住み着いたという屋敷の前にいた。
俺たちと言ったのは、パーティを組んでここにやってきたからである。
先頭に立った俺は、屋敷の門に取り付けられた南京錠を解錠すると、ゆっくりと門を開いた。
長い間開かれなかった鉄の門は、ギギギという音を立てて観音開きになる。
そして、一度仲間の方を振り返る。
「さあ、はじまるざますよ」
と俺。
「いくでがんす」
とプリオラ。
「フンガー」
とシルビア。
「マトモに始めなさいよ」
とオーリス。
今回はこの四人でゴーストの浄化を目指す。
「なんでこんな変な掛け声かけてから屋敷に入るのよ」
シルビアが不機嫌そうに俺に訊いてくる。
もちろんそれには深い訳がある、わけではない。
今回屋敷の情報を調べてわかったのは、ここの屋敷のメイドが主人が大切にしている皿を割ってしまい、激昂した主人がメイドを井戸に投げ込んで殺してしまったことがあったそうなのだ。
そんな話が、怪物世界の王女と王子が王位継承権を争っている漫画になったなと思い出し、それが怪物の王子が日本にやってくるアニメのパロディだったなとなり、そのアニメのオープニングのパロディをしていたのが幸せな星のオープニングという、異世界には全く関係ない情報である。
なお、今回割れた器でそばがきを作るという解決のしかたはないと先に言っておこう。
今回割れたのは皿であって、茶碗ではないのでね。
シルビアの質問を無視して、屋敷の敷地内へと足を踏み入れる。
ゴーストが現れるのは建物の中だというので、ここでは特に問題も無く進める。
しかし、手入れがされていない庭は荒れ放題で、雑草が元気に育っていた。
「手入れをするのにもお金がかかりますわね」
オーリスの眉間にシワが寄る。
屋敷の敷地面積はかなり広く、手入れをするとなるとそれなりの人手が必要になるな。
場所はステラの貴族地区なので、ゴーストさえいなくなれば買い手は見つかるだろうが、現状引き渡しなのか、ある程度見映えを整えてからなのかで金額は変わってくるな。
雑草を住みかとする虫たちに歓迎されながら、ドアの前までやってきた。
人が住まなくなってから時間が経っているので、ドアが朽ちているかと思ったがそうでもない。
「現状維持の魔法がかかっておりますから」
と、オーリスが教えてくれる。
便利な生活魔法だな。
「ただ、定期的に重ねがけしないと、その効果も消えてしまいますわ。魔法文明時代みたいに、永続する仕組みがありませんので」
そう付け加えた。
そろそろ重ねがけしないとまずいらしい。
「さあ、ドアを開けるよ。ここからは突然ゴーストが襲ってくるかもしれないから、みんな気をつけて」
そう注意喚起するが、今いるメンバーには不要かな。
オーリスも戦闘力は低いが、攻撃をかわすのは得意だ。
シルビアですらオーリスに攻撃を当てることは出来ないくらいに、その実力は高い。
過信して欲しくはないが。
奇襲される可能性もあるので、俺が先頭を切って中にはいる。
エントランスホールから二階に上がっていく階段の上に彼女はメイド服の格好で浮いていた。
今回の浄化対象の彼女が。
調査によれば、彼女の名前はキックス。
番町皿屋敷でも播州皿屋敷でも女の名前が「菊」だったなと思い出す。
「あなたたちは?やっぱりご主人様を殺したことで私を捕まえに来たの?あの後、私は自ら井戸に身を投げて命で罪を償ったというのに……」
背景がうっすらと透けて見える彼女は、俺たちにそう訊いてきた。
あれ?
ご主人様を殺したのを命で償っただと。
事前調査の結果では、大切にしていた皿を割られた主人が、キックスを殺して井戸に投げ捨てたはずだったが、自ら井戸に身を投げたのか。
その後主人が頭部をこのゴーストに割れた皿で叩かれて死んだので、殺したとはその事を言っているのかな。
記憶が混乱しているのだろうか?
「捕まえに来た訳じゃない。ちょっとその話を聞かせて欲しい。そうすれば君の望みを叶えてあげられるかもしれないから」
交渉の結果、事件当日の事をキックスが語ってくれることとなった。
「あの日、ご主人様とそのお客様のお食事を準備しているときに、手が滑って大切なお皿を割ってしまったのです。不注意でお皿を割ってしまった私が悪いのもわかりますが、あまりにもガミガミと怒るご主人様に、私の方も我慢の限界が来ました。気がついたら割れた皿でご主人様の頭部を殴打しておりました。血を流して倒れるのをみて、いよいよ取り返しのつかないことをしてしまったと気づき、どうせ衛兵に捕まって処刑されるくらいならと井戸に身を投げたのです。ただ、最期にどうしてもご主人様に謝りたくて、こうしてここに縛り付けられております」
彼女の語ったこれが真相だ。
「なあオーリス、こいつ――」
「それは駄目ですわ」
俺の言いたいことを察して、オーリスは俺がそれ以上言うのを止めた。
「単にチート能力でこのゴーストを倒してしまったら、この小説の存在価値など無くなりますわ」
「そうね」
シルビアとプリオラも同意して頷いている。
そうだったな。
つい、作業者が不良を出したときの言い訳を思い出して、かっとなってしまった。
尚、このような気分になった作業者の言い訳ベストスリーは
・「俺の国では良品」
・「後工程で検査しているだろ」
・「品管が暇そうだったので仕事を作ってやった」
だ。
その時手元に鈍器がなくて本当に良かった。
「キックス、謝るにしても再発しない対策を考えてからにしようか」
「はい」
俺の言葉に彼女が頷いた。
※作者の独り言
不良を出し後の言い訳に殺意を覚える事ってありますよね。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜
束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。
そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。
だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。
マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。
全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。
それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。
マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。
自由だ。
魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。
マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。
これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる