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第365話 QCサークル大会開催
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そろそろ偉い人が発作のようにQCサークルとか言い出しそうなので、戦々恐々としております。
それでは本編いってみましょう。
「はあ……」
俺の隣で大きなため息をついたのは、最愛の妻であるオーリスだ。
妻にため息を出させるとは、俺は夫失格だな。
これはいけない。
さて、オーリスは何故ため息をついてしまったのだろうか?
「オーリス、ため息をつくと幸せが逃げていくというが、何か幸せが豚に乗って少年院から脱走するような事があったの?」
オーリスは眉間にシワを寄せて、こちらを見る。
「実は二人で苦しみ二人で歯を食いしばって泪橋を逆にわたっていこうと約束したアルトに相談がありますの」
真剣なまなざしのオーリス。
結婚した時に泪橋を渡るほど困ってはいなかったが、そんな約束したっけ?
思い出せずに、明後日の方を向いて考える。
いや、ここは明日を見据えて、そうであったとするべきだな。
ん、明後日?明日?
考えているとコーヒーの尾藤が、いや、微糖が欲しくなるから、今はオーリスの話を聞こう。
「何でも相談して」
「実はわたくしの運営する冒険者ギルドには、アルトのやっているような相談窓口がないので、問題が発生した時に解決するのが自分達となりますの。それで、解決を諦める冒険者が多くてそれをどうしたらよいかと」
オーリスの冒険者ギルドに登録している冒険者たちは、問題が発生すると自分達でそれを解決しなければならない。
まあ、俺がアドバイスをすることで、自分達で考えるのを阻害しているという事はあるかもしれないが、解決のきっかけすらつかめないと、それをそのままにしてしまうだろうな。
慢性不良の放置と一緒だ。
自分達で考えて解決させるにはか
放置してしまうのは、それでも何とかなるからという側面もある。
慢性不良が出ていても、良品も出来るから放置になるんだよな。
良品が一個も出来なければ、納入出来ないのでもっと焦るはずだ。
そうなると、やるべきことは自主的に解決していくのを促すか。
どこかで聞いた気がするな。
「QCサークル大会を開こうか」
「QCサークル大会?」
聞きなれない言葉にオーリスはおうむ返しに訊いてきた。
QCサークルは小集団活動で、自主的な改善を目的としている。
大きな予算を使う事は出来ないが、現場レベルで出来る改善をしていくのだ。
そして、それはなにも作業現場だけではない。
間接部門もそのツールを使って改善することは可能だ。
勿論、冒険者だって。
今まで俺がやってきた事だって、基本的には品質管理ツールの応用だからな。
で、そんなQCサークルだが、前世で大規模な発表会があった。
会社予選があり、その後県予選があって、最終的には全国大会となる。
一つ一つを勝ち抜くというやりがい()があって、活動に熱が入るわけだ。
自分は入熱量を間違えて、途中で割れてしまいましたが。
「前に話したかもしれないけど、QCサークルはボトムアップ活動なんだ。自主的に改善をする事になっている。だけど、人間そこまで真面目なのは殆どいなくて、自主的な活動はそのうちされなくなってしまうんだ。だから、成果を発表する大会を開いて、そのモチベーションを維持させてあげればいいと思うんだ。優勝者には賞金を出したりとかね」
俺の話を聞いたオーリスは、表情がパッと明るくなる。
やっぱりオーリスにはそういう顔をしていてもらいたい。
「それは名案ですわね。早速細かい規定を考えないと」
こうして、QCサークル大会が開催されることが発表された。
参加費さえ払えば誰でも参加できる。
QCサークル活動がわからない人向けに、俺が一度講習を行い、その後活動期間となるので、大会は半年後の日程となった。
そして半年後。
コロシアムに観客が大勢押し寄せていた。
中心部に作られた台の上にオーリスがマイクを持って立っている。
マイクといっても魔道具であり、魔法によって声を拡声させるものだ。
「地上最強の改善を見たいかーーーーッ」
「「オーーーーーーー!!!!」」
オーリスの問いに、割れんばかりの歓声が応える。
「わたくしもですわ。わたくしもですわ、皆様」
「全サークル入場です!!!!」
司会のコールでサークルの入場が開始された。
「竜殺しは生きていた!!更なる研鑽をつみ人間凶器が甦った!!サークル名『シルビアと愉快な仲間たち』」
「QC活動は既に我々が完成させている。サークル名『ライスシャワー』」
「見つけ次第改善してやる。サークル名『五輪の華』」
「冒険者の改善なら我々の歴史が物を言う。サークル名『ジャガーのシャーマン』」
「真の改善を知らしめたいサークル名『剣豪ミーシャ』」
「バラツキなら3σだが、実際は全数検査だ。サークル名『紅の鉄拳』」
「流出対策は完璧だ。サークル名『フェアリーズ』」
「全QC7つ道具のベスト・ディフェンスは私の中にある。サークル名『ローリング』」
「改善なら絶対負けん。迷宮冒険者の改善見せたる。サークル名『ガンダーラ』」
「ルールの無い現場を改善したいからQCサークルを始めた。サークル名『クリーク・フィールズ』」
「QCの本場は今や王都にある。俺を驚かせる奴は居ないのか!!!サークル名『シルバー・セラフ』」
「デカアァァァァァいッ!説明不要。メンバー240人。サークル名『リーガル・アント』」
※小集団活動じゃないのかというツッコミは無しでお願いします。
とまあ、こんな感じで参加サークルが紹介されていき、全部が入場すると会場のボルテージは最高潮に達した。
はて?
QCサークルの大会で何故これほどまでに盛り上がるのだろうか。
しかも、同じ会社の応援団でもない彼らが。
そんな疑問を自分の席に戻ってきたオーリスに訊いてみた。
「皆様、優勝サークルを予想して賭けていらっしゃいますので」
と、明快な答えが返ってきた。
オーリスの運営する冒険者ギルドが胴元となって、優勝者を当てる賭けをしていたのだ。
そりゃあ、熱くもなりますね。
「冒険者のボトムアップと寺銭による収入。まさに一石二鳥ですわ。流石、わたくしの夫は良い案を思い付くものですわね」
いや、オーリスにQCサークル大会の提案はしたが、賭場の開帳までは提案してないぞ。
「半年に一度の開催をして、QCサークルの講習でもお金を取れば、確実に利益を産んでいきますわね」
オーリスの瞳のなかにお金の記号が浮かんでいるように思える。
まあ、これで冒険者の改善が進むなら、それでもいいかなと自分を納得させた。
※作者の独り言
QCサークル大会に出た事ないので、こんな感じかなと想像で書きました。
苦情は受け付けません。
あと、紹介を考えるのが途中で辛くなりました。
あしたのジョーは良く知りません。
それでは本編いってみましょう。
「はあ……」
俺の隣で大きなため息をついたのは、最愛の妻であるオーリスだ。
妻にため息を出させるとは、俺は夫失格だな。
これはいけない。
さて、オーリスは何故ため息をついてしまったのだろうか?
「オーリス、ため息をつくと幸せが逃げていくというが、何か幸せが豚に乗って少年院から脱走するような事があったの?」
オーリスは眉間にシワを寄せて、こちらを見る。
「実は二人で苦しみ二人で歯を食いしばって泪橋を逆にわたっていこうと約束したアルトに相談がありますの」
真剣なまなざしのオーリス。
結婚した時に泪橋を渡るほど困ってはいなかったが、そんな約束したっけ?
思い出せずに、明後日の方を向いて考える。
いや、ここは明日を見据えて、そうであったとするべきだな。
ん、明後日?明日?
考えているとコーヒーの尾藤が、いや、微糖が欲しくなるから、今はオーリスの話を聞こう。
「何でも相談して」
「実はわたくしの運営する冒険者ギルドには、アルトのやっているような相談窓口がないので、問題が発生した時に解決するのが自分達となりますの。それで、解決を諦める冒険者が多くてそれをどうしたらよいかと」
オーリスの冒険者ギルドに登録している冒険者たちは、問題が発生すると自分達でそれを解決しなければならない。
まあ、俺がアドバイスをすることで、自分達で考えるのを阻害しているという事はあるかもしれないが、解決のきっかけすらつかめないと、それをそのままにしてしまうだろうな。
慢性不良の放置と一緒だ。
自分達で考えて解決させるにはか
放置してしまうのは、それでも何とかなるからという側面もある。
慢性不良が出ていても、良品も出来るから放置になるんだよな。
良品が一個も出来なければ、納入出来ないのでもっと焦るはずだ。
そうなると、やるべきことは自主的に解決していくのを促すか。
どこかで聞いた気がするな。
「QCサークル大会を開こうか」
「QCサークル大会?」
聞きなれない言葉にオーリスはおうむ返しに訊いてきた。
QCサークルは小集団活動で、自主的な改善を目的としている。
大きな予算を使う事は出来ないが、現場レベルで出来る改善をしていくのだ。
そして、それはなにも作業現場だけではない。
間接部門もそのツールを使って改善することは可能だ。
勿論、冒険者だって。
今まで俺がやってきた事だって、基本的には品質管理ツールの応用だからな。
で、そんなQCサークルだが、前世で大規模な発表会があった。
会社予選があり、その後県予選があって、最終的には全国大会となる。
一つ一つを勝ち抜くというやりがい()があって、活動に熱が入るわけだ。
自分は入熱量を間違えて、途中で割れてしまいましたが。
「前に話したかもしれないけど、QCサークルはボトムアップ活動なんだ。自主的に改善をする事になっている。だけど、人間そこまで真面目なのは殆どいなくて、自主的な活動はそのうちされなくなってしまうんだ。だから、成果を発表する大会を開いて、そのモチベーションを維持させてあげればいいと思うんだ。優勝者には賞金を出したりとかね」
俺の話を聞いたオーリスは、表情がパッと明るくなる。
やっぱりオーリスにはそういう顔をしていてもらいたい。
「それは名案ですわね。早速細かい規定を考えないと」
こうして、QCサークル大会が開催されることが発表された。
参加費さえ払えば誰でも参加できる。
QCサークル活動がわからない人向けに、俺が一度講習を行い、その後活動期間となるので、大会は半年後の日程となった。
そして半年後。
コロシアムに観客が大勢押し寄せていた。
中心部に作られた台の上にオーリスがマイクを持って立っている。
マイクといっても魔道具であり、魔法によって声を拡声させるものだ。
「地上最強の改善を見たいかーーーーッ」
「「オーーーーーーー!!!!」」
オーリスの問いに、割れんばかりの歓声が応える。
「わたくしもですわ。わたくしもですわ、皆様」
「全サークル入場です!!!!」
司会のコールでサークルの入場が開始された。
「竜殺しは生きていた!!更なる研鑽をつみ人間凶器が甦った!!サークル名『シルビアと愉快な仲間たち』」
「QC活動は既に我々が完成させている。サークル名『ライスシャワー』」
「見つけ次第改善してやる。サークル名『五輪の華』」
「冒険者の改善なら我々の歴史が物を言う。サークル名『ジャガーのシャーマン』」
「真の改善を知らしめたいサークル名『剣豪ミーシャ』」
「バラツキなら3σだが、実際は全数検査だ。サークル名『紅の鉄拳』」
「流出対策は完璧だ。サークル名『フェアリーズ』」
「全QC7つ道具のベスト・ディフェンスは私の中にある。サークル名『ローリング』」
「改善なら絶対負けん。迷宮冒険者の改善見せたる。サークル名『ガンダーラ』」
「ルールの無い現場を改善したいからQCサークルを始めた。サークル名『クリーク・フィールズ』」
「QCの本場は今や王都にある。俺を驚かせる奴は居ないのか!!!サークル名『シルバー・セラフ』」
「デカアァァァァァいッ!説明不要。メンバー240人。サークル名『リーガル・アント』」
※小集団活動じゃないのかというツッコミは無しでお願いします。
とまあ、こんな感じで参加サークルが紹介されていき、全部が入場すると会場のボルテージは最高潮に達した。
はて?
QCサークルの大会で何故これほどまでに盛り上がるのだろうか。
しかも、同じ会社の応援団でもない彼らが。
そんな疑問を自分の席に戻ってきたオーリスに訊いてみた。
「皆様、優勝サークルを予想して賭けていらっしゃいますので」
と、明快な答えが返ってきた。
オーリスの運営する冒険者ギルドが胴元となって、優勝者を当てる賭けをしていたのだ。
そりゃあ、熱くもなりますね。
「冒険者のボトムアップと寺銭による収入。まさに一石二鳥ですわ。流石、わたくしの夫は良い案を思い付くものですわね」
いや、オーリスにQCサークル大会の提案はしたが、賭場の開帳までは提案してないぞ。
「半年に一度の開催をして、QCサークルの講習でもお金を取れば、確実に利益を産んでいきますわね」
オーリスの瞳のなかにお金の記号が浮かんでいるように思える。
まあ、これで冒険者の改善が進むなら、それでもいいかなと自分を納得させた。
※作者の独り言
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あと、紹介を考えるのが途中で辛くなりました。
あしたのジョーは良く知りません。
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