388 / 439
第387話 工程能力は複数ロットで確認しよう
しおりを挟む
今日は王都で話題の店で修行したシェフが、ステラに開いたというレストランにオーリスと一緒に来ている。
まあ、クリオの店で修行した奴なんだけどね。
店主の名前はマグナ。
宮廷料理人だったクリオが王都で独立して店を構えたのだが、そこはかなりの評判となっている。
オーリスと一緒に王都に行った時は毎回顔を出しているが、いつでも行列が出来ていて順番を飛ばして店内に案内されるのが心苦しい。
貴族だからというわけではなく、クリオとその妻のセリカが結婚出来たのは俺のお陰だからというわけだ。
王都から逃げたしたクリオを追いかけて、セリカがステラまでやってきた時の話である。
でも、あの時はシルビアの活躍が大きいと思うけど。
そんなクリオとの繋がりがあって、クリオの味をステラでも味わえるとなれば、一度は行ってみようと思っていたのである。
オーリスは単に美味しいものが食べたいからという理由だ。
店内に入るとそこはほぼ満席で、自分達がテーブルについたことで、後ろの客は空くのを待つことになった。
注文した肉と野菜のスープが来たので、早速一口食べてみる。
「ん?」
口の中に広がる違和感。
オーリスの方を見た。
「なんか違いますわね。塩味が少し強いように感じますわ」
オーリスの言うように、違和感の正体は塩味の濃さの違いだった。
だが、それは料理では大きな意味を持つ。
俺とオーリスが一呼吸おいて、口直しにワインを飲もうとしたとき、隣のテーブルの子供が大きな声を出す。
「パパと食べた時の味と違う!」
その声に店中の視線が集まる。
見れば母親と男の子の二人が食事をしている。
子供は正直だなと俺は苦笑した。
が、すぐにそうしていられなくなる。
厨房からマグナと思われる料理人が出てきたのだ。
「子供に俺の料理の味がわかるもんか!俺は王都のクリオ師匠の元で修行して、師匠直々に認めてもらったんだ!大体、師匠の料理を食べたことあるのか?」
「あるよ。パパとママと王都で何回も食べたことあるから」
男の子が反論する。
「じゃあ記憶違いだな。ここの店はみんな師匠と同じ味が味わえるといってくれるんだ。子供にゃあわからねえよ」
マグナは聞く耳を持たない。
それを見ていたオーリスが、テーブルの下で俺の足を軽く蹴る。
なんとかしろの合図だな。
俺はやれやれと頭をかくと口を開いた。
「いいや、その子のいう通り、これはクリオの味じゃないよ」
「誰だ、てめえ」
「オーリスの夫だと言えばいいかな?」
マグナは街の実力者であるオーリスを見て、乱暴な口調を改めた。
「そんなに味が違うと言われても納得出来ませんよ。それに、スキルで毎回食材や調味料の分量は正確に同じですからね」
「わかった。明日またこの場所に集まりましょう。その時、本物のクリオの味を見せてあげますよ」
マグナ、母子とそう約束して、俺とオーリスは店を出た。
その足でシャレードのところに向かう。
「久しぶりだな。こっちのギルドに転職するきになったか?」
シャレードはまだ俺を引き抜くことを諦めていない。
俺はそれを否定して、ここに来た用件を伝える。
「天然の塩が欲しい。出来れば王都に卸しているのと同じやつで」
「ああ、それなら丁度今あるが、塩なら自分で用意出来るだろ?」
「いや、それじゃあ駄目なんだ。成分が違うからね」
「成分?」
「そう。シャレード、じつはステラに出来た新しいレストランで、王都のクリオの店と同じ味が味わえるって評判の店を知ってる?」
「ああ。うちのギルドから材料仕入れてもらってるからな」
「さっきまでその店にいたんだけど、クリオの料理とは味が違うんだ。で、その味の違いをわからせるために塩が必要なんだよ」
俺はシャレードとオーリスに今回の味の違いを説明する。
「まず、マグナの店で使っている塩は俺のスキルで作り出した純度100%の塩だ。だけど、一般的に使われているのは塩浜で作られた海水由来の塩になる。こっちは純度は精々80%程度で、しかもミネラルが豊富に含まれている。まあ、20%の違いの殆どがミネラルだね。マグナはスキルで塩を計測しているから分量を間違うことは無い。だけど、使っている塩の純度が違うのを見落としているんだよ」
「それでマグナの料理はクリオと比べて塩味が濃いように感じたのですわね」
「そういうこと。同じ分量で料理が出来るって事に慢心したんだろうな。それに、クリオの店で修業していた時は同じ塩を使っていたはずだから、同じ味を再現できたとしても他の店でやったらどうなるかっていうのを確認するべきだったんだろうな」
これは工程能力の調査でも同じことがいえる。
マグナがクリオに認められたのは、マグナの調理能力のバラツキでしかない。
いうなれば段取り替えが無い状態でのバラツキの確認をしただけである。
工程能力の調査をする際には、最低でも数度の段取り替えを行い、出来れば材料や作業者も変更したうえで、その中から任意の製品を選び出して調査するべきなのだ。
簡単に数値で比較できる工業製品と違い、料理ともなると隣にクリオがいない環境では、その違いに気付きにくいってのはあるだろうけどな。
だが、それが免罪符になるわけではない。
店の売りがクリオと同じ味ってなっているからな。
「で、アルトは塩を手に入れただけでクリオと同じ味が出せるのか?」
シャレードが怪訝な顔をする。
「そこは大丈夫。クリオに作り方を教えてもらっているから」
作業標準書があるので問題ない。
作業の急所として、味の調整も入っているから完璧だ。
じゃあ、自分でクリオの味を再現したらと言われるとそうなのだが、自分で料理するのって後片付けも含めて面倒じゃない?
そんなわけで翌日、オーリスと一緒に再びマグナの店を訪れる。
何故かシャレードも居る。
塩を無料で分けてもらったので、断りきれなかった。
いや、あちらはわざとそうしたんだよな。
塩の金くらい払えたのだが、頑として受け取らなかったのはシャレードだ。
「じゃあ、塩以外は店の食材を使わせてもらうよ」
「わかった。こちらも昨日と同じものを作るから、食べ比べてくれ」
マグナはそう言うと、早速昨日と同じものを作る。
二人の料理をテーブルに並べて、集まった人たちに食べ比べしてもらう。
「アルトの料理に比べると、マグナの料理は塩気が強いな」
シャレードの感想に一同が頷く。
「こっちがパパと食べた時の味だよ」
男の子が俺の料理を指差した。
「確かに、これは師匠の味です。しかし、どうして。自分の計量は完璧なはず」
マグナは俺に説明を求める。
「塩の違いだよ。今回俺が使ったのは王都でも流通しているものだ。マグナが使ったのはここステラでしか流通していない塩なんだよ。成分比率で20%ほどの差があるから、それが料理の味に出たんだ。同じ分量でいいというのは、同じロットの調味料を使った時だけの話だよ。調味料だけじゃない。食材もその時々で違うんだから、その差を見極める必要があるだろ。重量だけじゃないからね。大人はそれでもなにも言わずに食べていたが、子供は正直だったって事だな」
尚、ステラで流通している純度の高い塩は俺のスキルで作ったものだ。
魔王軍に包囲された時に作ったものが大量に余っているので、少しずつ市場に流している。
今回の原因の一端を担っているので、ちょっと言いづらい。
「そうですね。自分でも味見をしていて何か違うと感じていましたが、自分のスキルに絶対の自信があって、舌が師匠の味を忘れたと思い込んでいました。でも、どうしてアルトが師匠の味を再現できたのですか?」
「俺もクリオに料理を教わったからね」
正確にはクリオの料理を元に作業標準書を作ったのだけど。
「じゃあ、他の料理も再現出来るんですか!?」
「まあ、それなりに」
「兄さんと呼ばせてください!!」
まあ、兄弟子といえなくもないが……
「このままじゃ看板に偽りがあって、師匠の評判も落としてしまいます。是非、毎日指導してください!!」
「えー」
毎日というのに俺は難色を示したが、
「アルト、人助けの為ですわ」
オーリスは乗り気だ。
多分、毎日クリオの味を楽しめると思っているのだろう。
結局、オーリスがマグナの味方をしたので、毎日指導することになった。
さて、今回のお手柄の男の子に俺は微笑みかける。
「パパとの思い出をよく覚えていたね」
「うん。パパとママにはまた一緒に暮らしてもらいたい」
と男の子も笑顔になるが、母親の方は眉間にシワを寄せている。
「あんな、若い女と出ていった奴、二度と御免です」
うん、立ち入り難い話題だ。
※作者の独り言
久々の美味しんぼ風味。
製造への設備引き渡し前に、生産技術が調整した条件で生産すると、CPK1.67越えてくるのですが、実際の量産始まると1.33無かったりして、何度かひどい目に遇いました。
まあ、クリオの店で修行した奴なんだけどね。
店主の名前はマグナ。
宮廷料理人だったクリオが王都で独立して店を構えたのだが、そこはかなりの評判となっている。
オーリスと一緒に王都に行った時は毎回顔を出しているが、いつでも行列が出来ていて順番を飛ばして店内に案内されるのが心苦しい。
貴族だからというわけではなく、クリオとその妻のセリカが結婚出来たのは俺のお陰だからというわけだ。
王都から逃げたしたクリオを追いかけて、セリカがステラまでやってきた時の話である。
でも、あの時はシルビアの活躍が大きいと思うけど。
そんなクリオとの繋がりがあって、クリオの味をステラでも味わえるとなれば、一度は行ってみようと思っていたのである。
オーリスは単に美味しいものが食べたいからという理由だ。
店内に入るとそこはほぼ満席で、自分達がテーブルについたことで、後ろの客は空くのを待つことになった。
注文した肉と野菜のスープが来たので、早速一口食べてみる。
「ん?」
口の中に広がる違和感。
オーリスの方を見た。
「なんか違いますわね。塩味が少し強いように感じますわ」
オーリスの言うように、違和感の正体は塩味の濃さの違いだった。
だが、それは料理では大きな意味を持つ。
俺とオーリスが一呼吸おいて、口直しにワインを飲もうとしたとき、隣のテーブルの子供が大きな声を出す。
「パパと食べた時の味と違う!」
その声に店中の視線が集まる。
見れば母親と男の子の二人が食事をしている。
子供は正直だなと俺は苦笑した。
が、すぐにそうしていられなくなる。
厨房からマグナと思われる料理人が出てきたのだ。
「子供に俺の料理の味がわかるもんか!俺は王都のクリオ師匠の元で修行して、師匠直々に認めてもらったんだ!大体、師匠の料理を食べたことあるのか?」
「あるよ。パパとママと王都で何回も食べたことあるから」
男の子が反論する。
「じゃあ記憶違いだな。ここの店はみんな師匠と同じ味が味わえるといってくれるんだ。子供にゃあわからねえよ」
マグナは聞く耳を持たない。
それを見ていたオーリスが、テーブルの下で俺の足を軽く蹴る。
なんとかしろの合図だな。
俺はやれやれと頭をかくと口を開いた。
「いいや、その子のいう通り、これはクリオの味じゃないよ」
「誰だ、てめえ」
「オーリスの夫だと言えばいいかな?」
マグナは街の実力者であるオーリスを見て、乱暴な口調を改めた。
「そんなに味が違うと言われても納得出来ませんよ。それに、スキルで毎回食材や調味料の分量は正確に同じですからね」
「わかった。明日またこの場所に集まりましょう。その時、本物のクリオの味を見せてあげますよ」
マグナ、母子とそう約束して、俺とオーリスは店を出た。
その足でシャレードのところに向かう。
「久しぶりだな。こっちのギルドに転職するきになったか?」
シャレードはまだ俺を引き抜くことを諦めていない。
俺はそれを否定して、ここに来た用件を伝える。
「天然の塩が欲しい。出来れば王都に卸しているのと同じやつで」
「ああ、それなら丁度今あるが、塩なら自分で用意出来るだろ?」
「いや、それじゃあ駄目なんだ。成分が違うからね」
「成分?」
「そう。シャレード、じつはステラに出来た新しいレストランで、王都のクリオの店と同じ味が味わえるって評判の店を知ってる?」
「ああ。うちのギルドから材料仕入れてもらってるからな」
「さっきまでその店にいたんだけど、クリオの料理とは味が違うんだ。で、その味の違いをわからせるために塩が必要なんだよ」
俺はシャレードとオーリスに今回の味の違いを説明する。
「まず、マグナの店で使っている塩は俺のスキルで作り出した純度100%の塩だ。だけど、一般的に使われているのは塩浜で作られた海水由来の塩になる。こっちは純度は精々80%程度で、しかもミネラルが豊富に含まれている。まあ、20%の違いの殆どがミネラルだね。マグナはスキルで塩を計測しているから分量を間違うことは無い。だけど、使っている塩の純度が違うのを見落としているんだよ」
「それでマグナの料理はクリオと比べて塩味が濃いように感じたのですわね」
「そういうこと。同じ分量で料理が出来るって事に慢心したんだろうな。それに、クリオの店で修業していた時は同じ塩を使っていたはずだから、同じ味を再現できたとしても他の店でやったらどうなるかっていうのを確認するべきだったんだろうな」
これは工程能力の調査でも同じことがいえる。
マグナがクリオに認められたのは、マグナの調理能力のバラツキでしかない。
いうなれば段取り替えが無い状態でのバラツキの確認をしただけである。
工程能力の調査をする際には、最低でも数度の段取り替えを行い、出来れば材料や作業者も変更したうえで、その中から任意の製品を選び出して調査するべきなのだ。
簡単に数値で比較できる工業製品と違い、料理ともなると隣にクリオがいない環境では、その違いに気付きにくいってのはあるだろうけどな。
だが、それが免罪符になるわけではない。
店の売りがクリオと同じ味ってなっているからな。
「で、アルトは塩を手に入れただけでクリオと同じ味が出せるのか?」
シャレードが怪訝な顔をする。
「そこは大丈夫。クリオに作り方を教えてもらっているから」
作業標準書があるので問題ない。
作業の急所として、味の調整も入っているから完璧だ。
じゃあ、自分でクリオの味を再現したらと言われるとそうなのだが、自分で料理するのって後片付けも含めて面倒じゃない?
そんなわけで翌日、オーリスと一緒に再びマグナの店を訪れる。
何故かシャレードも居る。
塩を無料で分けてもらったので、断りきれなかった。
いや、あちらはわざとそうしたんだよな。
塩の金くらい払えたのだが、頑として受け取らなかったのはシャレードだ。
「じゃあ、塩以外は店の食材を使わせてもらうよ」
「わかった。こちらも昨日と同じものを作るから、食べ比べてくれ」
マグナはそう言うと、早速昨日と同じものを作る。
二人の料理をテーブルに並べて、集まった人たちに食べ比べしてもらう。
「アルトの料理に比べると、マグナの料理は塩気が強いな」
シャレードの感想に一同が頷く。
「こっちがパパと食べた時の味だよ」
男の子が俺の料理を指差した。
「確かに、これは師匠の味です。しかし、どうして。自分の計量は完璧なはず」
マグナは俺に説明を求める。
「塩の違いだよ。今回俺が使ったのは王都でも流通しているものだ。マグナが使ったのはここステラでしか流通していない塩なんだよ。成分比率で20%ほどの差があるから、それが料理の味に出たんだ。同じ分量でいいというのは、同じロットの調味料を使った時だけの話だよ。調味料だけじゃない。食材もその時々で違うんだから、その差を見極める必要があるだろ。重量だけじゃないからね。大人はそれでもなにも言わずに食べていたが、子供は正直だったって事だな」
尚、ステラで流通している純度の高い塩は俺のスキルで作ったものだ。
魔王軍に包囲された時に作ったものが大量に余っているので、少しずつ市場に流している。
今回の原因の一端を担っているので、ちょっと言いづらい。
「そうですね。自分でも味見をしていて何か違うと感じていましたが、自分のスキルに絶対の自信があって、舌が師匠の味を忘れたと思い込んでいました。でも、どうしてアルトが師匠の味を再現できたのですか?」
「俺もクリオに料理を教わったからね」
正確にはクリオの料理を元に作業標準書を作ったのだけど。
「じゃあ、他の料理も再現出来るんですか!?」
「まあ、それなりに」
「兄さんと呼ばせてください!!」
まあ、兄弟子といえなくもないが……
「このままじゃ看板に偽りがあって、師匠の評判も落としてしまいます。是非、毎日指導してください!!」
「えー」
毎日というのに俺は難色を示したが、
「アルト、人助けの為ですわ」
オーリスは乗り気だ。
多分、毎日クリオの味を楽しめると思っているのだろう。
結局、オーリスがマグナの味方をしたので、毎日指導することになった。
さて、今回のお手柄の男の子に俺は微笑みかける。
「パパとの思い出をよく覚えていたね」
「うん。パパとママにはまた一緒に暮らしてもらいたい」
と男の子も笑顔になるが、母親の方は眉間にシワを寄せている。
「あんな、若い女と出ていった奴、二度と御免です」
うん、立ち入り難い話題だ。
※作者の独り言
久々の美味しんぼ風味。
製造への設備引き渡し前に、生産技術が調整した条件で生産すると、CPK1.67越えてくるのですが、実際の量産始まると1.33無かったりして、何度かひどい目に遇いました。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜
束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。
そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。
だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。
マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。
全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。
それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。
マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。
自由だ。
魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。
マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。
これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる