規約違反少女がマッチングアプリで無法すぎる!

アメノヒセカイ

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3章 任された仕事が難題すぎる!12~23話

エピソード3 スイーツパーティ

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 土曜日の昼過ぎ。
 マッチングアプリ主催のスイーツパーティ会場へカズサとキリは来た。
 どうやら、カップルゾーンと出会いを求める人たちが集まるマッチングゾーンがあるらしい。
「当然私たちはマッチングだけど。カズサ、本当にアプリ始めたんだ」
「いいでしょ、別に」
 カズサはアプリの会員ではないが、アプリの代表であるシュイロの力で特別に参加しているお試し状態である。
 特例であるため口外禁止である。
「今度似たようなイベントがあったら、今度こそはカップルゾーンにね」
「私は無理に恋人を作るつもりはないけど?」
「私が取り敢えず誰でもいいから彼氏ほしいみたいな」
 カップルへのサービスも行っているところはアプリの特徴の一つだ。
 カズサとキリはマッチングゾーンへ。
 入場料とスイーツ代を支払う。
 スイーツはチケット制になっており、カウンターでも買い足すことができる。
 各出店によって量を調節することで、ひとつに付きチケット一枚となっている。
 また特定の人と盛り上がる場合は、それぞれのチケットを計二枚用意することで、スペシャルなメニューを頼むことができるようになっている。
 とはいえ、マッチングゾーンにはカップルジュースのレベルのものは置いていないが。
「うわ、広い」
 リアクションが大きいキリに対して。
「おお」
 リアクションの小さいカズサ。
 スイーツが並んでいて、人が集まっていることに感動はしているが。
 カズサは準備を手伝っているのもあって驚きが小さくなってしまった。
「スイーツパーティということは、サラダを取り分けることで点数稼ぎをするという私の技が披露できないということ。このままでは敗北は必須、……」
 ズーンっと重い空気が伝わる。
 キリの落ち込みは冗談だろうと思うが。
「私は甘いスイーツが食べられるから来てる。できれば、いい人が見つかるといいけど」
 カズサはスイーツ漁りを始めた。
 カズサは本音では異性との出会いを増やしたいのだろうと、カズサから参加することを聞いてキリは思っていた。
 カズサは、異性を見向きもせずに、スイーツをトレイから零れ落ちそうなほど抱えている。
「美味しそう、あれもこれも。お金が足りないかも」
 立食スペースもあるが、カズサは椅子に座った。
 それも長く座っていてもいいように、クッションが敷いてあるところだ。
「やっぱり美味しい。これだけで十分来た意味があるかも」
 カズサはリスのように頬を膨らませて幸せそうに食べ進める。
 キリからすれば異性と接してほしいと思ってしまうが、とびきりの笑顔を見てしまえば何も言えない。
「私は恋愛するために来てるからね」
 キリがカズサから目を離そうとしたときだった。
 背の低い男の子がカズサの隣のテーブルに座る。
「なんて美味しそうな、甘々な」
 その男の子もトレイ限界までスイーツを乗せていた。
 一口頬張ると、表情を緩ませる。
「美味しい。これだけで来た意味がある!」
 一口、また一口と食べ進める。
「バームクーヘンの香ばしさはどこから?」
 男の子はカズサを。
「シナモンの爽やかな香りはどこ?」
 カズサは男の子を。
 二人の視線がぴたりと合う。
 瞬間、二人の間に緊張と雷に打たれ電流が流れるような感覚が襲う。
「いや、僕も、その、バームクーヘン食べようかなって」
 震えた声。
「私、ドーナッツ食べたいなって」
 弱々しい声。
 互いが互いの状況と反応が面白くて、つい微笑んでしまう。
 その様子を見ていたキリは。
「私も気合い入れて運命の人を探そうかな」
 キリはカズサの元から離れる。
 続いて、キリは立食スペースにやって来た。
「で、どうしてここにいるの? もしかして私は本命ではないのかなって、眠れなくてクマができちゃって。もうあなたが結婚するしかないのに」
 異様に髪の長い女性が言う。
 相手の男性は足をがくがく震えさせて涙目になっていた。
「俺、君のこともう会わないつもりだったし、ブロックしたじゃないか」
「え? 聞いてないよ。聞いてないなら無効だよ、私あなたの好みに飾るから、ここから出てショッピングでもしましょう」
 髪の長い女性からドス黒い靄が広がっている気がした。
 ゾッとしたキリはその場から慌てて離れた。
「あ、お姉さん一人ですか?」
 気が付けばフルーツジュースの専門店に来ていた。
 そこで店の前にある看板を眺めている男性に話しかけられる。
「そうですけど?」
「綺麗だなって思ったので話しかけました。良かったら一緒にジュース飲みながら話しませんか? もちろん、好きな飲み物奢りますよ?」
 爽やかな声だった。
「スイカジュースで」
 キリが言う。
 嬉しそうな男性の表情と、小さくガッツポーズする様子が見えた。
 その様子が少年らしく、可愛らしい。
「カズサは大丈夫だから、私もちゃんと」
 キリはジュースを持ってテーブルに着いた。
 甘酸っぱい期待のなかに、淡くなっていくあの頃を置き去りにして。

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