20 / 168
3章 任された仕事が難題すぎる!12~23話
エピソード3 スイーツパーティ
しおりを挟む
土曜日の昼過ぎ。
マッチングアプリ主催のスイーツパーティ会場へカズサとキリは来た。
どうやら、カップルゾーンと出会いを求める人たちが集まるマッチングゾーンがあるらしい。
「当然私たちはマッチングだけど。カズサ、本当にアプリ始めたんだ」
「いいでしょ、別に」
カズサはアプリの会員ではないが、アプリの代表であるシュイロの力で特別に参加しているお試し状態である。
特例であるため口外禁止である。
「今度似たようなイベントがあったら、今度こそはカップルゾーンにね」
「私は無理に恋人を作るつもりはないけど?」
「私が取り敢えず誰でもいいから彼氏ほしいみたいな」
カップルへのサービスも行っているところはアプリの特徴の一つだ。
カズサとキリはマッチングゾーンへ。
入場料とスイーツ代を支払う。
スイーツはチケット制になっており、カウンターでも買い足すことができる。
各出店によって量を調節することで、ひとつに付きチケット一枚となっている。
また特定の人と盛り上がる場合は、それぞれのチケットを計二枚用意することで、スペシャルなメニューを頼むことができるようになっている。
とはいえ、マッチングゾーンにはカップルジュースのレベルのものは置いていないが。
「うわ、広い」
リアクションが大きいキリに対して。
「おお」
リアクションの小さいカズサ。
スイーツが並んでいて、人が集まっていることに感動はしているが。
カズサは準備を手伝っているのもあって驚きが小さくなってしまった。
「スイーツパーティということは、サラダを取り分けることで点数稼ぎをするという私の技が披露できないということ。このままでは敗北は必須、……」
ズーンっと重い空気が伝わる。
キリの落ち込みは冗談だろうと思うが。
「私は甘いスイーツが食べられるから来てる。できれば、いい人が見つかるといいけど」
カズサはスイーツ漁りを始めた。
カズサは本音では異性との出会いを増やしたいのだろうと、カズサから参加することを聞いてキリは思っていた。
カズサは、異性を見向きもせずに、スイーツをトレイから零れ落ちそうなほど抱えている。
「美味しそう、あれもこれも。お金が足りないかも」
立食スペースもあるが、カズサは椅子に座った。
それも長く座っていてもいいように、クッションが敷いてあるところだ。
「やっぱり美味しい。これだけで十分来た意味があるかも」
カズサはリスのように頬を膨らませて幸せそうに食べ進める。
キリからすれば異性と接してほしいと思ってしまうが、とびきりの笑顔を見てしまえば何も言えない。
「私は恋愛するために来てるからね」
キリがカズサから目を離そうとしたときだった。
背の低い男の子がカズサの隣のテーブルに座る。
「なんて美味しそうな、甘々な」
その男の子もトレイ限界までスイーツを乗せていた。
一口頬張ると、表情を緩ませる。
「美味しい。これだけで来た意味がある!」
一口、また一口と食べ進める。
「バームクーヘンの香ばしさはどこから?」
男の子はカズサを。
「シナモンの爽やかな香りはどこ?」
カズサは男の子を。
二人の視線がぴたりと合う。
瞬間、二人の間に緊張と雷に打たれ電流が流れるような感覚が襲う。
「いや、僕も、その、バームクーヘン食べようかなって」
震えた声。
「私、ドーナッツ食べたいなって」
弱々しい声。
互いが互いの状況と反応が面白くて、つい微笑んでしまう。
その様子を見ていたキリは。
「私も気合い入れて運命の人を探そうかな」
キリはカズサの元から離れる。
続いて、キリは立食スペースにやって来た。
「で、どうしてここにいるの? もしかして私は本命ではないのかなって、眠れなくてクマができちゃって。もうあなたが結婚するしかないのに」
異様に髪の長い女性が言う。
相手の男性は足をがくがく震えさせて涙目になっていた。
「俺、君のこともう会わないつもりだったし、ブロックしたじゃないか」
「え? 聞いてないよ。聞いてないなら無効だよ、私あなたの好みに飾るから、ここから出てショッピングでもしましょう」
髪の長い女性からドス黒い靄が広がっている気がした。
ゾッとしたキリはその場から慌てて離れた。
「あ、お姉さん一人ですか?」
気が付けばフルーツジュースの専門店に来ていた。
そこで店の前にある看板を眺めている男性に話しかけられる。
「そうですけど?」
「綺麗だなって思ったので話しかけました。良かったら一緒にジュース飲みながら話しませんか? もちろん、好きな飲み物奢りますよ?」
爽やかな声だった。
「スイカジュースで」
キリが言う。
嬉しそうな男性の表情と、小さくガッツポーズする様子が見えた。
その様子が少年らしく、可愛らしい。
「カズサは大丈夫だから、私もちゃんと」
キリはジュースを持ってテーブルに着いた。
甘酸っぱい期待のなかに、淡くなっていくあの頃を置き去りにして。
マッチングアプリ主催のスイーツパーティ会場へカズサとキリは来た。
どうやら、カップルゾーンと出会いを求める人たちが集まるマッチングゾーンがあるらしい。
「当然私たちはマッチングだけど。カズサ、本当にアプリ始めたんだ」
「いいでしょ、別に」
カズサはアプリの会員ではないが、アプリの代表であるシュイロの力で特別に参加しているお試し状態である。
特例であるため口外禁止である。
「今度似たようなイベントがあったら、今度こそはカップルゾーンにね」
「私は無理に恋人を作るつもりはないけど?」
「私が取り敢えず誰でもいいから彼氏ほしいみたいな」
カップルへのサービスも行っているところはアプリの特徴の一つだ。
カズサとキリはマッチングゾーンへ。
入場料とスイーツ代を支払う。
スイーツはチケット制になっており、カウンターでも買い足すことができる。
各出店によって量を調節することで、ひとつに付きチケット一枚となっている。
また特定の人と盛り上がる場合は、それぞれのチケットを計二枚用意することで、スペシャルなメニューを頼むことができるようになっている。
とはいえ、マッチングゾーンにはカップルジュースのレベルのものは置いていないが。
「うわ、広い」
リアクションが大きいキリに対して。
「おお」
リアクションの小さいカズサ。
スイーツが並んでいて、人が集まっていることに感動はしているが。
カズサは準備を手伝っているのもあって驚きが小さくなってしまった。
「スイーツパーティということは、サラダを取り分けることで点数稼ぎをするという私の技が披露できないということ。このままでは敗北は必須、……」
ズーンっと重い空気が伝わる。
キリの落ち込みは冗談だろうと思うが。
「私は甘いスイーツが食べられるから来てる。できれば、いい人が見つかるといいけど」
カズサはスイーツ漁りを始めた。
カズサは本音では異性との出会いを増やしたいのだろうと、カズサから参加することを聞いてキリは思っていた。
カズサは、異性を見向きもせずに、スイーツをトレイから零れ落ちそうなほど抱えている。
「美味しそう、あれもこれも。お金が足りないかも」
立食スペースもあるが、カズサは椅子に座った。
それも長く座っていてもいいように、クッションが敷いてあるところだ。
「やっぱり美味しい。これだけで十分来た意味があるかも」
カズサはリスのように頬を膨らませて幸せそうに食べ進める。
キリからすれば異性と接してほしいと思ってしまうが、とびきりの笑顔を見てしまえば何も言えない。
「私は恋愛するために来てるからね」
キリがカズサから目を離そうとしたときだった。
背の低い男の子がカズサの隣のテーブルに座る。
「なんて美味しそうな、甘々な」
その男の子もトレイ限界までスイーツを乗せていた。
一口頬張ると、表情を緩ませる。
「美味しい。これだけで来た意味がある!」
一口、また一口と食べ進める。
「バームクーヘンの香ばしさはどこから?」
男の子はカズサを。
「シナモンの爽やかな香りはどこ?」
カズサは男の子を。
二人の視線がぴたりと合う。
瞬間、二人の間に緊張と雷に打たれ電流が流れるような感覚が襲う。
「いや、僕も、その、バームクーヘン食べようかなって」
震えた声。
「私、ドーナッツ食べたいなって」
弱々しい声。
互いが互いの状況と反応が面白くて、つい微笑んでしまう。
その様子を見ていたキリは。
「私も気合い入れて運命の人を探そうかな」
キリはカズサの元から離れる。
続いて、キリは立食スペースにやって来た。
「で、どうしてここにいるの? もしかして私は本命ではないのかなって、眠れなくてクマができちゃって。もうあなたが結婚するしかないのに」
異様に髪の長い女性が言う。
相手の男性は足をがくがく震えさせて涙目になっていた。
「俺、君のこともう会わないつもりだったし、ブロックしたじゃないか」
「え? 聞いてないよ。聞いてないなら無効だよ、私あなたの好みに飾るから、ここから出てショッピングでもしましょう」
髪の長い女性からドス黒い靄が広がっている気がした。
ゾッとしたキリはその場から慌てて離れた。
「あ、お姉さん一人ですか?」
気が付けばフルーツジュースの専門店に来ていた。
そこで店の前にある看板を眺めている男性に話しかけられる。
「そうですけど?」
「綺麗だなって思ったので話しかけました。良かったら一緒にジュース飲みながら話しませんか? もちろん、好きな飲み物奢りますよ?」
爽やかな声だった。
「スイカジュースで」
キリが言う。
嬉しそうな男性の表情と、小さくガッツポーズする様子が見えた。
その様子が少年らしく、可愛らしい。
「カズサは大丈夫だから、私もちゃんと」
キリはジュースを持ってテーブルに着いた。
甘酸っぱい期待のなかに、淡くなっていくあの頃を置き去りにして。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2025.12.18)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
ルピナス
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。
そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。
物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。
※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。
※1日3話ずつ更新する予定です。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる