規約違反少女がマッチングアプリで無法すぎる!

アメノヒセカイ

文字の大きさ
166 / 168
最終章 規約違反少女がマッチングアプリで無法すぎる! 149~

その14 ヒウタと春Ⅱ

しおりを挟む
 四月に入り、ヒウタはシュイロが借りているマンションの一室に戻った。
 講義が始まるということで、トアオ邸からは遠くなってしまうためである。
 トアオとしてはヒウタに付いていくことも考えていたが、開発の設備もなく、トアオの大学まで遠くなってしまうことを考えれば、諦めるしかなかった。

 ヒウタは久しぶりに部屋に戻って、残念ながら腐ってしまった食材を廃棄し、部屋の掃除に取り掛かる。部屋の掃除を終え、これから生活するにあたって必要な服や一週間分の自炊の食材を買うことにした。

「必要なものをメモにして、と」

 部屋を出た瞬間、女性にぶつかった。

「ヒウタ、久しぶりだな」
「シュイロさん、どうしました?」
「トアオちゃんの家に入ったら既にヒウタは戻ったって言っていたからな。これからどこに行くんだ? いや、トアオちゃんには許可をもらっているから大丈夫だ、怒られる心配はない。少し二人きりで話さないか? ほとんど一年ぶりのデート、とか言ったらトアオちゃんにまた激怒されそうだが」
「分かりました。もうすぐ大学が始めるので、その買い物ついででもいいですか?」
「もちろん!」

 近くのショッピングモールまで足を運ぶ。
 まずは服装選びである。

「ヒウタ、これはどうだ? あ、じゃあ、これは」
「僕は着せ替え人形ではないんですけど」
「そーか、そーか。じゃあ、こっち! 私が奢ろう」
「他の女性が選んだ服を、さらには奢ってもらって着るのって、女性的には気持ち悪くないですか。トアオさんに怒られますよ」
「気にするな」
「どうしよう。少し前まで二人の喧嘩はトアオさんのせいだと思っていたのに、いつの間にかすべてシュイロさんが悪い気がしてきました」
「間違っていないからな。私の我が儘で振り回した。トアオちゃんは、幸せになってもらわないと困る。彼氏の審査も厳しくしてやるつもりだった。でも、ヒウタだったら、私は一切文句がない」

 断り切れずにシュイロが買った服に着替えた。
 シュイロとヒウタは八才ほど離れているが、高校生の制服を着ても違和感がない透明感を持っている。そのせいか、ヒウタとシュイロが歩くとカップルのように見えた。

「この一年でいろいろあったな」
「大学生用のマッチングアプリを紹介してもらって、いざ使ってみたら規約違反。しかも、運営様だったなんて。そこから、怪しげな仕事を任されて、本人は通信制高校に行くって」
「やめてしまったけどな。でも、離婚してからのことが終わって、今はすっきりしている。マッチングアプリを使っているのに、まだ次の恋は歩み出せていない。私はモテるんだ」
「婚活の話は聞きましたけど」
「どちらにせよ、私は子供を産めない。恋をしようと思っても、それって厳しい現実だ。暗い空気にしてごめん。いつか超えるつもりでいるから」

 近くのドーナツ屋に入る。
 カフェオレを二つと、両手で持つほどの巨大な揚げパンを二つ頼む。

「トアオ、アキトヨ、カワクロ、メリア、シフユ。そして、キヌイ、チャコ。いろいろあったが、ヒウタがいてくれて、私も『七つの大罪』少女も大きな一歩を踏み出すことができた。感謝している。私の目は間違っていなかった」
「……もしかして、お酒飲みたい気分ですか?」
「帰ったらしんみりしながら飲むかもしれないな」
「それ、夜中に僕にメッセージが来そうですね」
「期待しておけ」
「酔っぱらいの相手なんてしてやるか」

 ヒウタはカフェオレを一口飲む。

「なあ、これから私とヒウタの関係はどう呼べばいい? 上司と部下ではなくなった。恋愛関係でもない、いや私はそれでも良かったというか」

 シュイロは後半にかけて呟くような弱々しい声になっていた。
 ヒウタは前半しか聞こえていない。

「友達でいいですよ」
「なら友達だな。人生の先輩、会社経営の先輩として調子には乗らせてもらう」
「酷いこと言っているかもしれませんが?」
「どうした」
「シュイロさんが恋をしてもしていなくても、シュイロさんは一人ではないですよ。絶対、誰かが一緒にいます、いたいと思います、支えたいと思います」
「彼女がいる男にしては、最低な口説き文句だな」
「違いますが?」
「分かっている。私は周りの人間に愛されているってな。今度、猫カフェ、本屋、レストラン、初デートで行ったところに寄るといい。サービスしてくれるそうだ」
「そう言われたら行きますよ」
「トアオちゃんは行けなかったから、次は二人で」

 ショッピングモールを出て、ヒウタはシュイロと分かれた。
 あの日、出会いがなくてくすぶっていたヒウタは、シュイロと出会い、大きく成長したのだ。

「ってメッセージか。トアオさん」

『事後報告でしたよ、ヒウタさん。どうしてシュイロさんと会っていたんですか! 浮気者』

 と明らかに荒れたメッセージが来た。
 シュイロにメッセージを送ると、舌を出して頭を自分で叩き、「ごめんね」の表情をしているシュイロの自撮りが送られてくる。流石は『七つの大罪』少女を作った人でぶっ飛んでいる。が、

「騙したのはよくないな。……でも会ったときにそっくりか。嘘をついて、自分の我が儘を通そうとして、最後に悪者になりきれずに素が出る。でもまあ、トアオさんに報告するか、怒らせたくないし」

 ヒウタは反省の色のない謝罪自撮り写真をトアオに流す。
 おそらくシュイロはまたトアオに激怒されるが仕方がない生贄だと思うようにしよう。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4がスタートしました! 既に完成しており、全8話でお送りします(2026.2.15)  ※1日1話ずつ公開していく予定です。  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

処理中です...