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愛とオルゴール
02. 異母弟
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とはいえ、私はこの降って湧いたような後継者騒動について、リカルドは何も悪くないと知っている。
これは完全に父の独りよがりの暴走なのだ。
リカルドの母親は父の妾として長年、けっして出しゃばらず、目立つことなく過ごしてきた。その事は、祖父母も私たちも知っていた。
そしてリカルドは母親から平民の子供として育てられており、母親はもちろんリカルドも貴族に、ましてや侯爵家の跡取りになろうなどとは考えてもいないのだ。
どうして私がそう言い切れるのかというと、本人達から直接聞いたからだ。
リカルドと、彼の母親は私たちが住む本邸から離れた場所にある別邸で暮らしている。
父は母が亡くなると昼間は本邸で必要なことをし、夜は別邸へ帰るという生活をはじめた。
だが、リカルド達が本邸に足を踏み入れたことは私が知る限り一度も無い。出入り口も彼らが使うのは使用人が使う裏門のみだ。
だから、私はこの年になるまで彼らの顔すら知らなかった。
しかし、父の爆弾発言を聞いた翌日、突然見慣れないメイドをつれた本邸の執事が、リカルドと彼の母親であるイネスが私に目通りしたいと言っているが会う気があるかと聞いてきた。
「もちろん、お嬢様のお気持ち次第なのです。ただ、別邸の方は、リカルド様が関係することで、若旦那様の居ない場でどうしても申し上げたいことがあるとの事でして」
困り顔の執事が、メイドをちらりと見て言った。
「なぜお祖父様たちでなくわたくしに?」
「それは……侯爵様と奥様はリカルド様の存在を知った瞬間から、別邸の方にもリカルド様にも今後会うことはないと告げられているからだと思われます」
「そう……」
私は祖父母がそこまで徹底しているとは考えていなかった。二人は私から見ると愛情深い人たちだ。
だから本当はリカルドに対してももう一人の孫としての思いはあるのだと思う。そうでなければ最初から他にもやり方はあった筈だから。
「わかりました。会います」
私の言葉に神妙な顔で俯いていたメイドが深く頭を下げた。
彼女が執事にこの話を持ちかけたのだろう。
父の妾には別邸での権力のようなものは持たされていないということだが、それでも父の寵愛する人なのだからメイドが彼女のために便宜をはかることもあるだろう。
もしかしたら妾はメイドの方から自発的に頼みを聞いてあげたくなるような良い人であるかもしれないし。
リカルド達は本邸に来ることはできないから私のほうが別邸を訪ねることにしたが、二人と会うことを誰にも見咎められない方が良いのではないかと思った。
だからちょうど皆が出払っていたので、その日にすぐ使いを出して会う算段をつけた。
私が訪問の先触れを出したときには外出していたというリカルドが帰ってきたと報告を受けてから、私は初めて別邸に足を踏み入れた。
こじんまりとした応接室で見たリカルドは、顔立ちが母に似た私やネイサンとは似ているところがほとんど見当たらず、隣にいるイネスによく似た風貌をしていた。
ただ、髪の色と目の色は、私とは違い父や父と同じ色を持つネイサンと同じだった。
確かな血の繋がりを感じて、私はなんだか不思議な気持ちになった。
これは完全に父の独りよがりの暴走なのだ。
リカルドの母親は父の妾として長年、けっして出しゃばらず、目立つことなく過ごしてきた。その事は、祖父母も私たちも知っていた。
そしてリカルドは母親から平民の子供として育てられており、母親はもちろんリカルドも貴族に、ましてや侯爵家の跡取りになろうなどとは考えてもいないのだ。
どうして私がそう言い切れるのかというと、本人達から直接聞いたからだ。
リカルドと、彼の母親は私たちが住む本邸から離れた場所にある別邸で暮らしている。
父は母が亡くなると昼間は本邸で必要なことをし、夜は別邸へ帰るという生活をはじめた。
だが、リカルド達が本邸に足を踏み入れたことは私が知る限り一度も無い。出入り口も彼らが使うのは使用人が使う裏門のみだ。
だから、私はこの年になるまで彼らの顔すら知らなかった。
しかし、父の爆弾発言を聞いた翌日、突然見慣れないメイドをつれた本邸の執事が、リカルドと彼の母親であるイネスが私に目通りしたいと言っているが会う気があるかと聞いてきた。
「もちろん、お嬢様のお気持ち次第なのです。ただ、別邸の方は、リカルド様が関係することで、若旦那様の居ない場でどうしても申し上げたいことがあるとの事でして」
困り顔の執事が、メイドをちらりと見て言った。
「なぜお祖父様たちでなくわたくしに?」
「それは……侯爵様と奥様はリカルド様の存在を知った瞬間から、別邸の方にもリカルド様にも今後会うことはないと告げられているからだと思われます」
「そう……」
私は祖父母がそこまで徹底しているとは考えていなかった。二人は私から見ると愛情深い人たちだ。
だから本当はリカルドに対してももう一人の孫としての思いはあるのだと思う。そうでなければ最初から他にもやり方はあった筈だから。
「わかりました。会います」
私の言葉に神妙な顔で俯いていたメイドが深く頭を下げた。
彼女が執事にこの話を持ちかけたのだろう。
父の妾には別邸での権力のようなものは持たされていないということだが、それでも父の寵愛する人なのだからメイドが彼女のために便宜をはかることもあるだろう。
もしかしたら妾はメイドの方から自発的に頼みを聞いてあげたくなるような良い人であるかもしれないし。
リカルド達は本邸に来ることはできないから私のほうが別邸を訪ねることにしたが、二人と会うことを誰にも見咎められない方が良いのではないかと思った。
だからちょうど皆が出払っていたので、その日にすぐ使いを出して会う算段をつけた。
私が訪問の先触れを出したときには外出していたというリカルドが帰ってきたと報告を受けてから、私は初めて別邸に足を踏み入れた。
こじんまりとした応接室で見たリカルドは、顔立ちが母に似た私やネイサンとは似ているところがほとんど見当たらず、隣にいるイネスによく似た風貌をしていた。
ただ、髪の色と目の色は、私とは違い父や父と同じ色を持つネイサンと同じだった。
確かな血の繋がりを感じて、私はなんだか不思議な気持ちになった。
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