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愛とオルゴール
13. 弁解
「ジェシー、信じて。僕は他の女性に思わせぶりなことをしたりしない。
ましてや、あの令嬢のことなら、僕はきちんと対処していたんだ。もちろん、前に言ったように二人きりで会ったことすらない。
第二王子と一緒に王太子の仕事場に時々やってきていた関係で話をしたことがあるというだけだ。そのまま同じテーブルについてお茶を飲まされたとかそんな感じで」
翌日、侯爵家にやってきたアンソニーは庭に出ようと誘った私の手を離さずに、私の目を見て真剣な調子でそう説明してくれた。
「でも、あちらはそうは思っていないみたいだったわ。貴方に逢い続けられれば、心を傾けてもらえる。私より先に出逢えていれば、私ではなく自分が愛されたはずだって」
アンソニーは小さく舌打ちをした。
「ごめん。僕のせいで君に嫌な思いをさせたね。
でも、これで終わりだ。
実を言うと、フォンテーヌ伯爵令嬢と第二王子の言動についてはブロア公爵家から王家とフォンテーヌ伯爵家に既に一度非公式ながら苦情を申し入れているんだよ。
仕事場まで押しかけてきたり、無理矢理一緒にいられる状況を作ろうとしたりとかなり問題があったからね。
僕たちの婚約を機にこういうことはやめてもらうよう王からも言ってもらったはずなんだ。
それが裏目に出たみたいだな。これで王家は彼らを庇えなくなる……もう二度とこんなことがないように厳しい処罰を望んでやる」
アンソニーは本気で怒っていた。
「貴方はずっと迷惑をかけられていたの?」
「短い間とはいえ、かなりね」
「言ってくれれば良かったのに」
「言うほどのことじゃないと思っていたんだけど、まさか本当に君のところまで押しかけてくるなんて。
こんなことならきちんと言っておくべきだったよ。ごめん、ジェシカ。僕のミスだ」
私は彼の背を撫でた。
「きっと、いてもたってもいられなかったのね。貴方が婚約してしまって」
「さあね。とにかく、こんなことがあると君のことが心配でどうにかなってしまいそうだよ。
結婚式の予定をもっと早められないかもう一度皆に相談してみようと思うんだけど、どうかな?」
何度も遣り取りしたその言葉に笑ってしまう。
「準備が間に合わないわ。それでなくても皆大急ぎてやってくれているのよ」
「じゃあ、花嫁修業の時間をもっと増やすというのはどう? 式までの間、ずっとうちに泊まり込みでやるんだよ。母上達も喜ぶし、誰も反対しないと思うな」
もちろん、そんなことができるわけないのだけれど、私はそんなことを言うアンソニーを愛しく思った。
「お義母様たち、本当に私のことを気に入ってくださるかしら?」
「既に気に入っているさ。花嫁修業と言ったって、慣れてきたら着せ替え人形になったりいろんな場所へ連れまわされることを覚悟しなくちゃ駄目だけどね。
女の子が欲しかったんだよ母上は。とにかく、皆、君が嫁いできてくれるのを楽しみにしてるのは間違いない」
私は公爵夫人や前公爵夫人のことを思い、微笑んだ。
「私もとても楽しみにしているの。お義母様たちとドレスを選んだり、開催するお茶会のことを話あったりできるのが本当に楽しみ」
私には母がいないからとは言わなかったけれど、アンソニーは私の頬に触れてキスをしてくれた。
「そうだね。でも、僕のことを忘れてしまわないでほしいな。花嫁修業中も結婚してからも君の時間は一番に僕がもらうつもりなんだから」
「そうね、もちろんそうするつもりよ。未来の旦那様」
アンソニーは私がそう言うと私の体を引き寄せた。
彼は私を強く抱きしめてから少しだけ腕の力をゆるめ、私の目をのぞきこむようにして微笑んだ。そして私のおでこや頬、それから唇へと口づけた。
それから、私達はいつものように手を繋いでとりとめのない話をしながらのんびりと庭を散歩した。
私の心はそれだけで落ち着いていくようだった。昨日から感じていた妙な重苦しさやモヤモヤと曇っていた気持ちも徐々に晴れ、穏やかになっていった。
ましてや、あの令嬢のことなら、僕はきちんと対処していたんだ。もちろん、前に言ったように二人きりで会ったことすらない。
第二王子と一緒に王太子の仕事場に時々やってきていた関係で話をしたことがあるというだけだ。そのまま同じテーブルについてお茶を飲まされたとかそんな感じで」
翌日、侯爵家にやってきたアンソニーは庭に出ようと誘った私の手を離さずに、私の目を見て真剣な調子でそう説明してくれた。
「でも、あちらはそうは思っていないみたいだったわ。貴方に逢い続けられれば、心を傾けてもらえる。私より先に出逢えていれば、私ではなく自分が愛されたはずだって」
アンソニーは小さく舌打ちをした。
「ごめん。僕のせいで君に嫌な思いをさせたね。
でも、これで終わりだ。
実を言うと、フォンテーヌ伯爵令嬢と第二王子の言動についてはブロア公爵家から王家とフォンテーヌ伯爵家に既に一度非公式ながら苦情を申し入れているんだよ。
仕事場まで押しかけてきたり、無理矢理一緒にいられる状況を作ろうとしたりとかなり問題があったからね。
僕たちの婚約を機にこういうことはやめてもらうよう王からも言ってもらったはずなんだ。
それが裏目に出たみたいだな。これで王家は彼らを庇えなくなる……もう二度とこんなことがないように厳しい処罰を望んでやる」
アンソニーは本気で怒っていた。
「貴方はずっと迷惑をかけられていたの?」
「短い間とはいえ、かなりね」
「言ってくれれば良かったのに」
「言うほどのことじゃないと思っていたんだけど、まさか本当に君のところまで押しかけてくるなんて。
こんなことならきちんと言っておくべきだったよ。ごめん、ジェシカ。僕のミスだ」
私は彼の背を撫でた。
「きっと、いてもたってもいられなかったのね。貴方が婚約してしまって」
「さあね。とにかく、こんなことがあると君のことが心配でどうにかなってしまいそうだよ。
結婚式の予定をもっと早められないかもう一度皆に相談してみようと思うんだけど、どうかな?」
何度も遣り取りしたその言葉に笑ってしまう。
「準備が間に合わないわ。それでなくても皆大急ぎてやってくれているのよ」
「じゃあ、花嫁修業の時間をもっと増やすというのはどう? 式までの間、ずっとうちに泊まり込みでやるんだよ。母上達も喜ぶし、誰も反対しないと思うな」
もちろん、そんなことができるわけないのだけれど、私はそんなことを言うアンソニーを愛しく思った。
「お義母様たち、本当に私のことを気に入ってくださるかしら?」
「既に気に入っているさ。花嫁修業と言ったって、慣れてきたら着せ替え人形になったりいろんな場所へ連れまわされることを覚悟しなくちゃ駄目だけどね。
女の子が欲しかったんだよ母上は。とにかく、皆、君が嫁いできてくれるのを楽しみにしてるのは間違いない」
私は公爵夫人や前公爵夫人のことを思い、微笑んだ。
「私もとても楽しみにしているの。お義母様たちとドレスを選んだり、開催するお茶会のことを話あったりできるのが本当に楽しみ」
私には母がいないからとは言わなかったけれど、アンソニーは私の頬に触れてキスをしてくれた。
「そうだね。でも、僕のことを忘れてしまわないでほしいな。花嫁修業中も結婚してからも君の時間は一番に僕がもらうつもりなんだから」
「そうね、もちろんそうするつもりよ。未来の旦那様」
アンソニーは私がそう言うと私の体を引き寄せた。
彼は私を強く抱きしめてから少しだけ腕の力をゆるめ、私の目をのぞきこむようにして微笑んだ。そして私のおでこや頬、それから唇へと口づけた。
それから、私達はいつものように手を繋いでとりとめのない話をしながらのんびりと庭を散歩した。
私の心はそれだけで落ち着いていくようだった。昨日から感じていた妙な重苦しさやモヤモヤと曇っていた気持ちも徐々に晴れ、穏やかになっていった。
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