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愛とオルゴール
(間話)アンソニー 1
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僕の家は代々、男児しか生まれていない。
五代前にブロア公爵の名を頂いて臣下にくだった王弟の時代からのことだからそれほど昔からというわけではないが、とにかくこれまで男の子しか産まれておらず、皆、それぞれに優秀だった。
周囲には僕もブロアの人間らしくとても優秀だと言われているし、またそうあろうと常に努力をしている。
しかし、ふとした時に自分が父である公爵には及ばないということを見せつけられて悔しさを感じる事もあるのだが、父も昔、祖父に対して同じように感じていたはずだからと考えることでいっそう高みを目指すようにしていた。
ブロア家の男は他者から侮られることを何より嫌い、常に努力して揺るぎない地位を確立してきたと言われて育つわけだから、私にもブロアの男として恥じない人間になりたいと思う気持ちが少なからずあるからだ。
ただ、我が家の男の特徴として、そのような向上心が何かに執着しすぎるという悪い側面としてあらわれる場合があると外から来た人間である母や祖母などには認識されているようで、私や弟は彼女たちからその点を注意深く育てられたらしい。
そのためかどうかはわからないが、幼い頃から剣術に夢中になっている弟はその傾向を危ぶまれているところもあるようだが私はそういった面があまり顕著でないということを彼女達の中で密かに喜ばれているようだった。
元々、五代前の王弟であった先祖は自身が王になれなかったことを最後まで悔しがっていたらしい。だからとにかく権力に固執した。
その子と次の当主は権力よりも金儲けに走り、それからまた権力欲の強い祖父を経て、金と権力を生まれながらに持っていた父は人を交渉事で負かすことが何より好きというというやっかいな傾向を持っている。
これが災いして、私の婚約についての話し合いは通常よりもはるかに長い時間をかけて行われていた。
婚約そのものには何も問題などないのに、条件についての話し合いをする父と彼女の父親、というより彼女の母親の実家であるニュートン伯爵家の当主との間に、父の交渉好きの血を騒がせるものがあったためだ。
嬉々としてやり手で有名なニュートン伯爵との交渉をする父に半ば呆れてはいたが、私は当初は父の気が済むようにすればいいというような気持ちでいた。
なぜなら、正式な婚約を結んでいなくても私と恋人のジェシカは必ず結婚することに決まっているからだ。
口では彼女に正式な婚約者になって早く彼女を皆に紹介したい、そうならないと不安だというようなことを言ってはいるが、私は彼女を手放すことなど考えていないし、そもそもこの縁談に不安要素などなかった。
家柄からも、私達二人の互いに向ける愛情からも破談などありえない。いや、そんなとあるはずがないのだから、恋人である期間が少しくらい延びても、その間にジェシカと楽しく過ごせれば何の問題もなかった。
私は愛するジェシカを手に入れる。それは覆ることのない未来の話だ。
だから、その未来が脅かされる危険があるとなれば、悠長に父の酔狂に付き合ってはいられない。
もちろん、ジェシカに対する私の思いは純粋な愛情であることは間違いないのだが、同時に、私の血がジェシカへの愛というものに対して狂おしい執着をみせているのを否定もできない。
母達には悪いが、私は立派にブロアの男だったことを私自身、ジェシカに恋したことにより悟ることになった。
五代前にブロア公爵の名を頂いて臣下にくだった王弟の時代からのことだからそれほど昔からというわけではないが、とにかくこれまで男の子しか産まれておらず、皆、それぞれに優秀だった。
周囲には僕もブロアの人間らしくとても優秀だと言われているし、またそうあろうと常に努力をしている。
しかし、ふとした時に自分が父である公爵には及ばないということを見せつけられて悔しさを感じる事もあるのだが、父も昔、祖父に対して同じように感じていたはずだからと考えることでいっそう高みを目指すようにしていた。
ブロア家の男は他者から侮られることを何より嫌い、常に努力して揺るぎない地位を確立してきたと言われて育つわけだから、私にもブロアの男として恥じない人間になりたいと思う気持ちが少なからずあるからだ。
ただ、我が家の男の特徴として、そのような向上心が何かに執着しすぎるという悪い側面としてあらわれる場合があると外から来た人間である母や祖母などには認識されているようで、私や弟は彼女たちからその点を注意深く育てられたらしい。
そのためかどうかはわからないが、幼い頃から剣術に夢中になっている弟はその傾向を危ぶまれているところもあるようだが私はそういった面があまり顕著でないということを彼女達の中で密かに喜ばれているようだった。
元々、五代前の王弟であった先祖は自身が王になれなかったことを最後まで悔しがっていたらしい。だからとにかく権力に固執した。
その子と次の当主は権力よりも金儲けに走り、それからまた権力欲の強い祖父を経て、金と権力を生まれながらに持っていた父は人を交渉事で負かすことが何より好きというというやっかいな傾向を持っている。
これが災いして、私の婚約についての話し合いは通常よりもはるかに長い時間をかけて行われていた。
婚約そのものには何も問題などないのに、条件についての話し合いをする父と彼女の父親、というより彼女の母親の実家であるニュートン伯爵家の当主との間に、父の交渉好きの血を騒がせるものがあったためだ。
嬉々としてやり手で有名なニュートン伯爵との交渉をする父に半ば呆れてはいたが、私は当初は父の気が済むようにすればいいというような気持ちでいた。
なぜなら、正式な婚約を結んでいなくても私と恋人のジェシカは必ず結婚することに決まっているからだ。
口では彼女に正式な婚約者になって早く彼女を皆に紹介したい、そうならないと不安だというようなことを言ってはいるが、私は彼女を手放すことなど考えていないし、そもそもこの縁談に不安要素などなかった。
家柄からも、私達二人の互いに向ける愛情からも破談などありえない。いや、そんなとあるはずがないのだから、恋人である期間が少しくらい延びても、その間にジェシカと楽しく過ごせれば何の問題もなかった。
私は愛するジェシカを手に入れる。それは覆ることのない未来の話だ。
だから、その未来が脅かされる危険があるとなれば、悠長に父の酔狂に付き合ってはいられない。
もちろん、ジェシカに対する私の思いは純粋な愛情であることは間違いないのだが、同時に、私の血がジェシカへの愛というものに対して狂おしい執着をみせているのを否定もできない。
母達には悪いが、私は立派にブロアの男だったことを私自身、ジェシカに恋したことにより悟ることになった。
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