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愛とオルゴール
16. それから
今日は私たちの結婚式の日。
空は晴れ渡り、招待客たちの祝福の声が響いた美しい一日だった。
式にはイネスとリカルドも招待した。親族用の席の目立たないところ、父とは並ばない場所にひっそりとではあったが。
祖父は、結局、父ではなくネイサンに爵位を譲った。父は祖父の決断を受け入れ、今はネイサンの補助として変わらず別邸から本邸に勤務している。
叔父は私の花嫁姿に涙した。
そして、私の元には定期的に異国から贈り物が届く。
それを私は母の遺品と一緒に飾っている。
私はアンソニーから母とフォンテーヌ伯爵の悲恋について教えてもらった。
伯爵は途中から王女を愛して恋人だった母を捨てたのではなく、王女によって無理矢理引き裂かれたのだと。
本当の悲劇の恋人はフォンテーヌ伯爵と母なのだと。
フォンテーヌ伯爵は母だけをずっと、母も伯爵だけを愛していた。
だから、私たちは母に愛されなかった。
母の愛はフォンテーヌ伯爵だけに捧げられていたのだから。
そうだとわかると、私はどこかすっきりとしたような気持ちになった。
私は母を乗り越えられたのだろうか。
わからない。
だけど、もういいのだ。
これから先、悲しい事があった時や寂しい時に開くのは母のオルゴールではなく、あの日、アンソニーが贈ってくれたものなのだから。
そしていつか子供が産まれたなら、その子にオルゴールの由来を教えてあげよう。
愛する人との永遠の愛を手に。
とびきりの笑顔で。
空は晴れ渡り、招待客たちの祝福の声が響いた美しい一日だった。
式にはイネスとリカルドも招待した。親族用の席の目立たないところ、父とは並ばない場所にひっそりとではあったが。
祖父は、結局、父ではなくネイサンに爵位を譲った。父は祖父の決断を受け入れ、今はネイサンの補助として変わらず別邸から本邸に勤務している。
叔父は私の花嫁姿に涙した。
そして、私の元には定期的に異国から贈り物が届く。
それを私は母の遺品と一緒に飾っている。
私はアンソニーから母とフォンテーヌ伯爵の悲恋について教えてもらった。
伯爵は途中から王女を愛して恋人だった母を捨てたのではなく、王女によって無理矢理引き裂かれたのだと。
本当の悲劇の恋人はフォンテーヌ伯爵と母なのだと。
フォンテーヌ伯爵は母だけをずっと、母も伯爵だけを愛していた。
だから、私たちは母に愛されなかった。
母の愛はフォンテーヌ伯爵だけに捧げられていたのだから。
そうだとわかると、私はどこかすっきりとしたような気持ちになった。
私は母を乗り越えられたのだろうか。
わからない。
だけど、もういいのだ。
これから先、悲しい事があった時や寂しい時に開くのは母のオルゴールではなく、あの日、アンソニーが贈ってくれたものなのだから。
そしていつか子供が産まれたなら、その子にオルゴールの由来を教えてあげよう。
愛する人との永遠の愛を手に。
とびきりの笑顔で。
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