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純真な恋人
04. 蜜月
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王太子妃が第二子を懐妊したという知らせが届いたとき、アニエスはやっとここまできたかとほっとすると同時に悲しんだ。
愛する人の子を別の女が産む。それがなければ恋人との未来はないのだとわかっていも、二度目とはいえあまりにもアニエスにとって辛いことだったからだ。
だが、純粋な感謝の気持もあった。
王太子妃が王子を二人産むのに時間がかかればそれだけアニエスの幸せは遠のいていただから。
伯爵家での生活は決して居心地の悪いものではなかったが、愛する人と思うように会えない生活はアニエスを苛立たせることもあった。
決してエドワードの愛を疑ったわけではない。
エドワードからはかわらず手紙や贈り物が届いていたし、少ないながらも定期的に会う機会が設けられ、そこで二人はいつも変わらぬ愛を確認しあっていたからだ。
だけど、アニエスはその人目を忍んだ関係に疲れていた。はやくそんな状態を抜け出したかった。
もちろん、妻ではなく公妾という立場に今でも思うところがないわけではないが、それでも公の関係になればエドワードと人目をはばかることなく会えるようになる。
口さがない人もいるだろう。嫌がらせもあるかもしれない。
だが、ここまできたら、アニエスは誰に何を言われようとこの愛を全うするつもりだった。
それに、仮初めの関係とはいえ、アニエスはもう吹けば飛ぶような貧乏子爵家の娘ではなく、裕福で有力な伯爵家の正式な夫人なのだ。
伯爵家の後ろ盾があることはアニエスにとって幸運だった。
誠実で優しいクロードは、何かあればエドワードとともにアニエスの立場を守ってくれるだろう。
クロードとは、婚約期間中も、結婚後も屋敷でほとんど会うことはなかった。
たまに会っても短い挨拶を交わすかエドワードからの伝言を伝えられる程度で、今もアニエスは彼が屋敷にいるのかどうかも知らずに過ごしている。
クロードの両親は婚姻と同時に爵位をクロードに譲ってからはかねてからの望み通り外国で暮らしているらしい。
そのため、クロードは婚姻後はエドワードの側近を辞め、伯爵家が手がける事業や領地の差配などをすることになったため忙しいのだという。
だが、伯爵家からは婚姻前からアニエスに手当てが与えられていた。エドワードからの贈り物とクロードから支給される手当てがあれば、アニエスはこれからも公妾として恥ずかしくない支度が可能だという。
クロードと伯爵家にとってアニエスへの手当が負担ではないのかと思ったのだが、伯爵家の正式な夫人となるアニエスに手当てが支給されるのは普通のことだし、何れは王となるエドワードの公妾となるアニエスの世話をするのは伯爵家にとってもメリットがあることだから気にしなくてよいとエドワードに教えてもらい、クロードからも気にせず受け取るように言われているため有難く使わせて頂いている。
そもそも、嫁ぐ際にも支度はほとんど伯爵家にお世話になっているのだ。私たちの婚姻は普通のものではないから、結婚式は挙げず書類にサインしただけのものだが、両親が用意してくれた費用だけでは足りなかった。
その点をクロードに補足してもらい、エドワードからは何れは二人で結婚式を挙げようと先ずは美しいベール、その時のためにと少しずつアクセサリーや手袋など贈ってもらった。
エドワードからの愛のこもった贈り物はもちろん嬉しかったが、日々の細々とした必要品やドレスなどの代金はクロードからの手当てで賄っている状況であるからアニエスはクロードに本当に感謝していた。
だから、アニエスは正式に公妾となったら自分のできる範囲で伯爵家のためになるよう行動するつもりだった。
王太子エドワードの恋人であるアニエスの存在は伯爵家にとって利になることもあるはずだ。
クロードにいつかきちんと恩返ししたい。
そのようなことを自然と考えるようになったアニエスだったが、公妾として認められるようになるとアニエスの周りには、アニエスの考えを肯定するように取り巻きと呼ばれるような人が集まるようになった。
悪い人もいれば良い人もいて、エドワードの側近達の介入でそういった人達の管理も徹底されていたからアニエスが煩わされることはなかった。
アニエスはただエドワードのそばで幸せを噛みしめていればよかったのだ。
心配していた伯爵家への恩返しについても、アニエスのおかげで何かと声がかかることがあるのだとクロードから感謝されるけとになったし、アニエスの思いは報われた。
「伯爵家やクロードのことをそんなに気にするなんて妬けるな」
エドワードの見当違いの嫉妬すら心地の良いものに聞こえるほどアニエスは幸せだった。
「君を公妾なんて立場においてしまってすまない。本来ならば、君こそが私の正式な妻となるべき人なのに」
「いいえ、私は幸せよ。貴方とこうして一緒にいられるのだから」
「アニエス、愛している。君だけをずっと」
「私もよ。愛しているわ、あなた」
エドワードとアニエスはついに結ばれた。
アニエスは本来なら絶対に手に入れられないはずだったものを、条件付きだが手に入れることができた。
幸せだった。彼女はその幸せを受け取るだけでよかった。
アニエスは流されるままにその手にほぼ全てのものを手に入れたのだった。
愛する人の子を別の女が産む。それがなければ恋人との未来はないのだとわかっていも、二度目とはいえあまりにもアニエスにとって辛いことだったからだ。
だが、純粋な感謝の気持もあった。
王太子妃が王子を二人産むのに時間がかかればそれだけアニエスの幸せは遠のいていただから。
伯爵家での生活は決して居心地の悪いものではなかったが、愛する人と思うように会えない生活はアニエスを苛立たせることもあった。
決してエドワードの愛を疑ったわけではない。
エドワードからはかわらず手紙や贈り物が届いていたし、少ないながらも定期的に会う機会が設けられ、そこで二人はいつも変わらぬ愛を確認しあっていたからだ。
だけど、アニエスはその人目を忍んだ関係に疲れていた。はやくそんな状態を抜け出したかった。
もちろん、妻ではなく公妾という立場に今でも思うところがないわけではないが、それでも公の関係になればエドワードと人目をはばかることなく会えるようになる。
口さがない人もいるだろう。嫌がらせもあるかもしれない。
だが、ここまできたら、アニエスは誰に何を言われようとこの愛を全うするつもりだった。
それに、仮初めの関係とはいえ、アニエスはもう吹けば飛ぶような貧乏子爵家の娘ではなく、裕福で有力な伯爵家の正式な夫人なのだ。
伯爵家の後ろ盾があることはアニエスにとって幸運だった。
誠実で優しいクロードは、何かあればエドワードとともにアニエスの立場を守ってくれるだろう。
クロードとは、婚約期間中も、結婚後も屋敷でほとんど会うことはなかった。
たまに会っても短い挨拶を交わすかエドワードからの伝言を伝えられる程度で、今もアニエスは彼が屋敷にいるのかどうかも知らずに過ごしている。
クロードの両親は婚姻と同時に爵位をクロードに譲ってからはかねてからの望み通り外国で暮らしているらしい。
そのため、クロードは婚姻後はエドワードの側近を辞め、伯爵家が手がける事業や領地の差配などをすることになったため忙しいのだという。
だが、伯爵家からは婚姻前からアニエスに手当てが与えられていた。エドワードからの贈り物とクロードから支給される手当てがあれば、アニエスはこれからも公妾として恥ずかしくない支度が可能だという。
クロードと伯爵家にとってアニエスへの手当が負担ではないのかと思ったのだが、伯爵家の正式な夫人となるアニエスに手当てが支給されるのは普通のことだし、何れは王となるエドワードの公妾となるアニエスの世話をするのは伯爵家にとってもメリットがあることだから気にしなくてよいとエドワードに教えてもらい、クロードからも気にせず受け取るように言われているため有難く使わせて頂いている。
そもそも、嫁ぐ際にも支度はほとんど伯爵家にお世話になっているのだ。私たちの婚姻は普通のものではないから、結婚式は挙げず書類にサインしただけのものだが、両親が用意してくれた費用だけでは足りなかった。
その点をクロードに補足してもらい、エドワードからは何れは二人で結婚式を挙げようと先ずは美しいベール、その時のためにと少しずつアクセサリーや手袋など贈ってもらった。
エドワードからの愛のこもった贈り物はもちろん嬉しかったが、日々の細々とした必要品やドレスなどの代金はクロードからの手当てで賄っている状況であるからアニエスはクロードに本当に感謝していた。
だから、アニエスは正式に公妾となったら自分のできる範囲で伯爵家のためになるよう行動するつもりだった。
王太子エドワードの恋人であるアニエスの存在は伯爵家にとって利になることもあるはずだ。
クロードにいつかきちんと恩返ししたい。
そのようなことを自然と考えるようになったアニエスだったが、公妾として認められるようになるとアニエスの周りには、アニエスの考えを肯定するように取り巻きと呼ばれるような人が集まるようになった。
悪い人もいれば良い人もいて、エドワードの側近達の介入でそういった人達の管理も徹底されていたからアニエスが煩わされることはなかった。
アニエスはただエドワードのそばで幸せを噛みしめていればよかったのだ。
心配していた伯爵家への恩返しについても、アニエスのおかげで何かと声がかかることがあるのだとクロードから感謝されるけとになったし、アニエスの思いは報われた。
「伯爵家やクロードのことをそんなに気にするなんて妬けるな」
エドワードの見当違いの嫉妬すら心地の良いものに聞こえるほどアニエスは幸せだった。
「君を公妾なんて立場においてしまってすまない。本来ならば、君こそが私の正式な妻となるべき人なのに」
「いいえ、私は幸せよ。貴方とこうして一緒にいられるのだから」
「アニエス、愛している。君だけをずっと」
「私もよ。愛しているわ、あなた」
エドワードとアニエスはついに結ばれた。
アニエスは本来なら絶対に手に入れられないはずだったものを、条件付きだが手に入れることができた。
幸せだった。彼女はその幸せを受け取るだけでよかった。
アニエスは流されるままにその手にほぼ全てのものを手に入れたのだった。
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