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「食事は結構です! と。スザーリン殿下の口から、国王陛下と王妃にお伝えてください」

 私が席を立ったのを見てか、ミミリアはスザーリン殿下の袖を摘み。

「じゃ、スザ。ミミが一緒にご飯、食べてあげる」

 可愛い瞳で見つめた。
 嬉しい反面、殿下には殿下の事情があるのだろう、オロオロと動揺しはじめた。

「あ、ああ……ベロニカ嬢、すみません」

 しかし、今は謝られてもウザいだけ。

 殿下が一人息子で、子供だから許される? そうかもしれないけど……この2人は学園に入学しても、ずーっと一緒だから。

(まあ、乙女ゲームをプレイ中はスザーリン殿下推しだったから嬉しかったけど。当事者となるとウザすぎる!)

 私は息を吸い込み。

「2度と、わたくしをこんな(人のことを思いやれぬ)場にお呼びしないでください」

「え? ベロニカ嬢? 待ってください!」

 スザーリン殿下に呼ばれても無視して、さっさと馬車に乗り込み屋敷に戻り。モーゾルお父様がいる書斎へと駆け込んだ。

「モーゾルお父様!」

 書斎の扉も叩かず、挨拶もしない、淑女らしかならぬ行動。いつもなら注意を受けるところだが、この日のお父様は何も言わなかった。

「お願いです、婚約者候補から下ろすよう陛下に伝えてください。あんな2人を、ずっと見ているのは嫌ですわ!」

 私よりも、キレていたお母様から既に話を聞いたのだろう、モーゾルお父様は深く頷いた。

「いくら王命でもアレは酷い……ベロニカ、すまなかった」

「いいえ。今日の出来事はお父様のせいではありませんわ、謝らないでください。謝るのはあの状態を許している、国王陛下と王妃だと思います」

「そうだな、こちらから抗議の手紙を送っておく」
「お願い致しますわ、お父様」

 数日後。陛下、殿下からの謝罪の手紙と花束が送られたが……「謝らなくてけっこうです。花束もいりません」と、返事を返した。



 婚約者候補としてスザーリン殿下と会いして、ひと月が経つ頃お父様の書斎に呼ばれた。何事かと向かうと、お父様は封書を手に頭を抱えいた。

 私が、どうしたのかとお父様に伺うと。

「ベロニカ、もう一度だけ……スザーリン殿下と会ってくれないか?」

 封書を手渡して、お父様はおっしゃった。
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