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九十六
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タリナお母様を呼びに向かったナサ。
マリーナお母様はわたしに近付き、
「ねえ、リイーヤ、旦那様を驚かせましょう」
「え?」
「フフッ、舞踏会のドレスに着替えましょう」
ちゃんと正装してきたナサに反して、わたしはワンピース姿だった。
「わかりました、お母様。着替えますわ」
ナサが迎えに出たっている間に、ミリアさんに預かってもらっていたドレスを取りだして、お母様とミリアさんの手を借りて、ドレスとお化粧をした。
数分後ーーミリア亭にナサはお母様とお兄様を連れて戻ってくる。店に入り真っ先にわたしのドレス姿に気付いた。
「リーヤ? ドレスに着替えたのか……いいな、とても綺麗だ」
「ありがとう。ナサも騎士の服にあってる」
「シッシシ、そうか? 一応、作ってあったんだが……なかなか着る機会がなくて、クローゼットの奥にしまってあったのを引っ張り出してきた」
コッソリ……所々、シワシワだが気にしないでくれ"シッシシ"と笑った。
お互いの両親の顔合わせ。
モーリスお父様とマリーナお母様、カートラお兄様、アトール弟君は、ナサの家族がユーシリン国の王妃と皇太子だと紹介されて驚く。
「ユーシリン国の王妃と皇太子殿下か……」
「ちょっと待て、ユーシリン国の騎士団は守りも攻撃も強いと噂で聞いたことがある……へえ、亜人達の国だったのか? 今度、その国の騎士と手合わせをお願いしたい」
「はい、僕も!」
お兄様と弟君は強き人と戦いたいと、ナサのお兄様にお願いし始めた。二人に押されて困り顔のなさのお兄様に、
「カートラ、アトール! それは国から後日、ユーシリン国に手紙を送りなさい。騎士同士の訓練の話はそこからだ!」
リルガルド国、国王陛下の近衛騎士のお父様にたしなめられて、お兄様と弟君は"失礼しました!"と頭を下げた。
いま、わたしがドレスを着ているのかというと。
国が違うーーわたし達、両方の親が揃うのはなかなかないことだと。わたしの両親とナサの家族の前で『家族だけの結婚式を挙げましょう』と、マリーナお母様が提案したのだ。
ミリア亭のホールでナサの腕を組み並び、神父役のお父様の前で誓いの言葉を言う。
「新郎ナサ、あなたはリイーヤを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「では、新婦リイーヤ、あなたはナサを夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「いまここに新しい夫婦が誕生した、おめでとう! さあ、誓いのキスをしてくれ!」
ナサはわたしを見つめて、優しくキスをした。
「「「ナサ、リイーヤ、おめでとう!!」」」
家族に『おめでとう』と祝福された結婚式……幸せで、嬉しくって涙がポロポロと落ちる。ナサはすかさず、ハンカチでその涙を拭いてくれた。
「結婚おめでとう、ナサ、リーヤ……何もないけど。私からの祝いだ!」
と、厨房で見守ってくれていたミリアさんは、トレーにワインとチーズ、サンドイッチを待って現れた。
「ミリア、ありがとう」
「ミリアさん、ありがとうございます」
家族と一緒の、幸せな結婚式だった。
舞踏会、国王祭をやっている場合じゃないとーー王城の騎士達はある人物を探していた。
「……ガレーン国の守り神が消えた」
しかし、神と名前は付くものの。
その扱いはひどく……地下牢に手枷と足枷をつけ、逃げられないように国の魔術師達によって、何十もの結界が張られていた。
神に与える食事は質素、身なりなども例えられておらず、服の替えすらない。
ーーその神が、牢にいれられて二百年。
人ならば、この世からとっくの昔にくたばっているが、その神は生きている。遠くから声をかければ声聞こえて、本などを要求してくる。
『神よ、国に結界をお張りください』
頼まれて、神は亜人と国の境の結界を張っていた。
その日ばかりは、豪華な食事が来ることを知っていた。
その者は神というか北の地を守る守護竜。
竜の旦那ーーその竜の力は大地を揺るがすほど……
『守護竜として、北全体の大地を"守り""祈り"を捧げる為に結界を張らなかった。ーーまさか守護竜の地に人が踏み込むとはいままでにないこと…………こんな牢、出ようと思えばでれる……幼い余の嫁が力を持ち育つまでの百年、いや二百年の間はここにいた方が良いか……いま嫁が人間に捕まれば簡単に殺されてしまう』
番がなくなれば余は怒り狂い、北の大地を滅ぼしてしまう……それはあってはならない。そのため、彼は幼い嫁を守る為に、抵抗せず人に捕まった。
余達ーードラゴンの寿命は長いが、不死身ではない……ゆえ、自分がここにいる事で幼い嫁を守れると彼は思っていた。
ーーしかし、それが、のちに強制召喚でモンスターを呼び寄せ、他国を反滅し、人を殺める事になるとは竜旦那はこの時、思ってもいなかった。
(早く会いたいものだ……)
その神が牢を破り雄叫びとともに国から消えてしまった。アレがいないと国を覆うほどの結界は人には張れない。北区から亜人達がやってきて人を襲うかもしれない、住む土地、税を安くして、ガレーン国を襲うモンスターの盾としている。
騎士団よりも安い金で亜人隊という強力な部隊を、危険な北区の門にほとんど休みなく配置させてもいる。
「至急に、神を見つけろ!」
ガレーン国の国王陛下は命令する。
それはーー公になってはいないが。ここ数ヶ月の間にガレーン国だけではなく、各国もモンスター被害にあっていた。小物から中物モンスターが国を襲う事件があったのだ。
公にならなかったのは、モンスターの来襲は一度だけだったからだ。
(旦那、この国にいない……次の国、探す)
竜嫁は国を周りモンスターを強制に呼び寄せ、モンスターを使い王都の中を探し回っていたーーしかし、どの国にも旦那はいない。ーー次にとガレーン国にワーウルフを呼ぶも倒されてしまった。だから中型、大型へとモンスターが強くなっていった。
(どうして、この国の中には入れない? もっと、強い骨をつかわないと……)
そして、強き者として呼ばれたのがナサの父だった。
ーー北の大地の奥の巣。
(嫁が自分の為に罪を犯した……その罪を償う)
そばで眠る嫁ーーその横で守護竜は元の姿に戻り祈る、亡くなってしまった者のために、使用したモンスターの骨たちに、それは長く、余の寿命が尽きるまで祈る。
マリーナお母様はわたしに近付き、
「ねえ、リイーヤ、旦那様を驚かせましょう」
「え?」
「フフッ、舞踏会のドレスに着替えましょう」
ちゃんと正装してきたナサに反して、わたしはワンピース姿だった。
「わかりました、お母様。着替えますわ」
ナサが迎えに出たっている間に、ミリアさんに預かってもらっていたドレスを取りだして、お母様とミリアさんの手を借りて、ドレスとお化粧をした。
数分後ーーミリア亭にナサはお母様とお兄様を連れて戻ってくる。店に入り真っ先にわたしのドレス姿に気付いた。
「リーヤ? ドレスに着替えたのか……いいな、とても綺麗だ」
「ありがとう。ナサも騎士の服にあってる」
「シッシシ、そうか? 一応、作ってあったんだが……なかなか着る機会がなくて、クローゼットの奥にしまってあったのを引っ張り出してきた」
コッソリ……所々、シワシワだが気にしないでくれ"シッシシ"と笑った。
お互いの両親の顔合わせ。
モーリスお父様とマリーナお母様、カートラお兄様、アトール弟君は、ナサの家族がユーシリン国の王妃と皇太子だと紹介されて驚く。
「ユーシリン国の王妃と皇太子殿下か……」
「ちょっと待て、ユーシリン国の騎士団は守りも攻撃も強いと噂で聞いたことがある……へえ、亜人達の国だったのか? 今度、その国の騎士と手合わせをお願いしたい」
「はい、僕も!」
お兄様と弟君は強き人と戦いたいと、ナサのお兄様にお願いし始めた。二人に押されて困り顔のなさのお兄様に、
「カートラ、アトール! それは国から後日、ユーシリン国に手紙を送りなさい。騎士同士の訓練の話はそこからだ!」
リルガルド国、国王陛下の近衛騎士のお父様にたしなめられて、お兄様と弟君は"失礼しました!"と頭を下げた。
いま、わたしがドレスを着ているのかというと。
国が違うーーわたし達、両方の親が揃うのはなかなかないことだと。わたしの両親とナサの家族の前で『家族だけの結婚式を挙げましょう』と、マリーナお母様が提案したのだ。
ミリア亭のホールでナサの腕を組み並び、神父役のお父様の前で誓いの言葉を言う。
「新郎ナサ、あなたはリイーヤを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「では、新婦リイーヤ、あなたはナサを夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「いまここに新しい夫婦が誕生した、おめでとう! さあ、誓いのキスをしてくれ!」
ナサはわたしを見つめて、優しくキスをした。
「「「ナサ、リイーヤ、おめでとう!!」」」
家族に『おめでとう』と祝福された結婚式……幸せで、嬉しくって涙がポロポロと落ちる。ナサはすかさず、ハンカチでその涙を拭いてくれた。
「結婚おめでとう、ナサ、リーヤ……何もないけど。私からの祝いだ!」
と、厨房で見守ってくれていたミリアさんは、トレーにワインとチーズ、サンドイッチを待って現れた。
「ミリア、ありがとう」
「ミリアさん、ありがとうございます」
家族と一緒の、幸せな結婚式だった。
舞踏会、国王祭をやっている場合じゃないとーー王城の騎士達はある人物を探していた。
「……ガレーン国の守り神が消えた」
しかし、神と名前は付くものの。
その扱いはひどく……地下牢に手枷と足枷をつけ、逃げられないように国の魔術師達によって、何十もの結界が張られていた。
神に与える食事は質素、身なりなども例えられておらず、服の替えすらない。
ーーその神が、牢にいれられて二百年。
人ならば、この世からとっくの昔にくたばっているが、その神は生きている。遠くから声をかければ声聞こえて、本などを要求してくる。
『神よ、国に結界をお張りください』
頼まれて、神は亜人と国の境の結界を張っていた。
その日ばかりは、豪華な食事が来ることを知っていた。
その者は神というか北の地を守る守護竜。
竜の旦那ーーその竜の力は大地を揺るがすほど……
『守護竜として、北全体の大地を"守り""祈り"を捧げる為に結界を張らなかった。ーーまさか守護竜の地に人が踏み込むとはいままでにないこと…………こんな牢、出ようと思えばでれる……幼い余の嫁が力を持ち育つまでの百年、いや二百年の間はここにいた方が良いか……いま嫁が人間に捕まれば簡単に殺されてしまう』
番がなくなれば余は怒り狂い、北の大地を滅ぼしてしまう……それはあってはならない。そのため、彼は幼い嫁を守る為に、抵抗せず人に捕まった。
余達ーードラゴンの寿命は長いが、不死身ではない……ゆえ、自分がここにいる事で幼い嫁を守れると彼は思っていた。
ーーしかし、それが、のちに強制召喚でモンスターを呼び寄せ、他国を反滅し、人を殺める事になるとは竜旦那はこの時、思ってもいなかった。
(早く会いたいものだ……)
その神が牢を破り雄叫びとともに国から消えてしまった。アレがいないと国を覆うほどの結界は人には張れない。北区から亜人達がやってきて人を襲うかもしれない、住む土地、税を安くして、ガレーン国を襲うモンスターの盾としている。
騎士団よりも安い金で亜人隊という強力な部隊を、危険な北区の門にほとんど休みなく配置させてもいる。
「至急に、神を見つけろ!」
ガレーン国の国王陛下は命令する。
それはーー公になってはいないが。ここ数ヶ月の間にガレーン国だけではなく、各国もモンスター被害にあっていた。小物から中物モンスターが国を襲う事件があったのだ。
公にならなかったのは、モンスターの来襲は一度だけだったからだ。
(旦那、この国にいない……次の国、探す)
竜嫁は国を周りモンスターを強制に呼び寄せ、モンスターを使い王都の中を探し回っていたーーしかし、どの国にも旦那はいない。ーー次にとガレーン国にワーウルフを呼ぶも倒されてしまった。だから中型、大型へとモンスターが強くなっていった。
(どうして、この国の中には入れない? もっと、強い骨をつかわないと……)
そして、強き者として呼ばれたのがナサの父だった。
ーー北の大地の奥の巣。
(嫁が自分の為に罪を犯した……その罪を償う)
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