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寝不足と女天狗と肉厚ハンバーガー(前)

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 今日第三治療院に訪れたのは、人間界で人に化けてOLをしていた、女天狗さんのサラさん。
 ここあやかし横丁に住むあやかしは人間の世界で働いている者もいる。この女天狗のサラさんは人が好きで、もう何十年とOLをしたり、コンビニ店員、喫茶店で働いたりと、いろんな職種を経験している。

 しかし、先月までブラック企業に勤めてしまったとかで……寝る間もなく仕事漬けだったとか。元々、サラさんは寝なくてもいいが、それが何ヶ月も続き、眠れなくなってしまったようだ。
 
「ウチは別に何時間も寝なくていいけど、目の下のクマと、目が充血してしまって気になるのよね。肌もガサガサになったし、環ちゃんは寝不足の時どうしてるの?」
 
「私ですか?」

 病魔絵師には目の部分と、頭の部分が澱んでいた。
 サラに環の対象法を聞かれて思い浮かべるのは、なるべく日光浴と朝食、食事をしっかりとる様にしているということ。

「寝不足の時は日光浴と、朝食、ご飯をしっかり食べます」

「日光浴とご飯か……あやかし横丁に美味しい店あったかな?」

「小狸の喫茶店か。最近、この近くにオープンした狐のハンバーガー屋なんてどうですか? お肉が分厚くってジューシーで、野菜がシャキシャキで食べ応えありますよ。口を大きく開けないと齧れないんです」

「それは美味しそうね、治療が終わったら行ってみるわ」

 シンヤの治療のあと処方箋を渡した。
 サラさんは猫又薬局で頭痛薬と、眼精疲労を回復するホットアイマスクが渡されたらしい。


 治療が終わって、奥の休憩室にいた。

「アイマスクって、目が疲れた時とか眠れないときにいいのよね」
 
「兄貴にアイマスクいいって聞いていたから、処方したけど環も使ってるの?」 

 と、シンヤは手でアイマスクの真似をした。

「うん、ラベンダーの香りがするのとか、色々種類があって。寝る前に使う時、リラックスしてよく寝るれるよ」

「へぇ、俺も兄貴の今度借りよっと」

 学園のこと、漫画の話しているうちに最近オープンした、ハンバーガー屋の話になる。シンヤはまだ店に行ったことがないらしく、環はそこの狐ハンバーガーについて熱く語った。

「肉厚でチーズと野菜がたっぷり挟んであって、齧ると肉汁が溢れてソースと絡まって美味いよ」

「溢れる肉汁かぁ……美味そうだな。兄貴に電話して、夕飯に買って帰ろっと」

 環もハンバーガーの話していて食べたくなる。
 ヒョウさんの夕飯の後の夜食に、店で1番小さいハンバーガーを買って、帰ることにしたのは言うまでもない。
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