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ろくろ首古本屋でお勉強会をしよう③

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 満足な朝食を終えて、ろくろ首古本屋が開く9時まで、あやかし横丁を散歩することにした。
 ここ、あやかし横丁は古き京の様な、たたずまいが並ぶ。

 あやかし達は着物、和洋折衷な装い。
 中には私達と同じパーカー、デニム、スーツなどを着たあやかしもいる。

「環ちゃんとシンヤ君じゃない。今日は治療院休みなの?」

「はい、休みです。おはようございます、メルさん」

「メルさん、朝から元気だな……また、ぎっくり腰になっても知らんぞ」

「フフ、その時はお願いするわね。出来立てのメンチカツ食べる?」

「「食べます!」」

 ちょうど龍の肉屋さんの前を通った時、声をかけられた。店の前で揚げたてのメンチカツを売る、ご隠居の龍神のメルさんと旦那様のカイさん。
 2人は環が住む村の奥の奥、山奥の祠に住む龍神様だったのだけど……代を息子夫婦に譲り、今はあやかし横丁へと引越して来ていたのだ。

(龍神の夫婦が引っ越しをする日、桜ばーちゃんに挨拶に来たんだよね。まさか、ここで再会するとは思っていなかった)
 
 再開してお肉やを始めていたのには驚いた。
 メルさんが言うには、今までは山で採れる果物、山菜を食べていたのだけと……人の世に来てお肉に2人でハマってしまい。一年肉屋で働き、ここに肉屋をオープンさせたのだそうだ。

「揚げたてで熱々だから、ヤケドに気をつけて食べてね」

 コロッケ袋(耐油紙)に入った、熱々のメンチカツをくれた。
 

「「いただきます!」」
 

 メンチカツを一口齧ると、肉汁と玉ねぎの甘い香り。

「ンンッ~。熱々で、肉厚メンチカツ美味しい」
 
「美味い! 衣はサクサクで肉がジューシー、これで一個七十円は安い。メルさん、カイさん、勉強会が終わったら寄って帰るから、コロッケ四つとメンチカツ四つよろしく」

「私も、コロッケとメンチカツ買いに寄るね」

「まいど、2人とも勉強がんばってね」

 帰りに寄る約束をした。

 

 しかし――環とシンヤは隣の店でたこ焼き、お団子、お饅頭、お花、鉛筆、猫又薬局では人気のホットアイマスク……ろくろ首古本屋に着くまでに、両手はお土産の紙袋でいっぱい。

「……貰いすぎ」
 
「ほんと、貰いすぎだけど……嬉しい。あやかしのみんなに受け入れてもらっているんだって、分かるからありがたいわ」

「だな。それにしても猫又薬局の店主……ホットアイマスクが売れるのか、店先にたくさん仕入れていたな」

「うん、私も安いから箱買いで買わせてもらってるよ」

「へぇ~、俺も今度買いにこよっと」

 環とシンヤは荷物を両手に、ろくろ首古本屋の暖簾をくぐった。
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