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ろくろ首古本屋でお勉強会をしよう②

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 日曜の朝、シンヤからのメールが届く。
 それを見た環はパーカーとデニム、髪を結いあげお団子ヘアー。勉強道具と梅干し、シャケ、おかかのおにぎり、卵焼き、ソーセージをお弁当箱に詰めたリュックを背負い、下宿先の吹雪荘から出る。

 吹雪荘の入り口に肩から鞄を下げた、シャツとデニム姿のシンヤが来ていた。

「おはよう、シンヤ」
「おはよう、環」

 二人並んであやかし横丁の河童ベーカリーに向かう。
 木造二階建て、入り口に店のシンボルマークでもある、河童マークが入った暖簾が掛かる、ベーカリーの前にはすでに数人の行列が出来ていた。
 
 その行列の後ろに環とシンヤも並んだ。

「環、見ろよ。新作のクリームパンが今日発売だって」

「え、クリームパンの新作?」

 河童ベーカリーのガラス窓には『本日クリームパン新発売』のチラシが貼ってある。そのチラシの写真のグローブの形をしたクリームパン、クリームがたっぷりで実に美味しそうだ。

「クリームパン……美味しそう、見つけたら買わなくっちゃ、後は具沢山のサンドイッチかな?」

「河童ベーカリーのパンはどれもデカいから、どれも食べ応えがあっていいよな」

「うんうん」

 環達がなら並んだ十分後に河童ベーカリーがオープンした。二人でお目当てのクリームパン、サンドイッチ、惣菜パンを買い。
 隣にある、イートインスペースのカウンター席に並んで座り、あやかし横丁を眺めながら朝食をとり始める。
 このイートインスペースは飲み物の持ち込みがOKなので、環はリュックから魔法瓶と、タンブラーを二つをテーブルに取り出した。

 シンヤが隣で見つめるなか、環は魔法瓶の蓋を開けて、今朝入れたコーヒーをタンブラーに注いた。二人の間にほろ苦いコーヒーの香りが漂う。

「はい、シンヤ。熱いから気をつけて」

「サンキュー、いただきます」
「いただきます」

 環は先ず、卵がたっぷり挟まるサンドイッチから。
 シンヤはコッペパンに昔風のナポリタンがぎっしり挟まった、惣菜パンに齧り付いた。

「タマネギ、ピーマン、ソーセージ、柔らかいパンとナポリタンの甘めの味付けが美味い」

「こっちの卵たっぷりのサンドイッチも、美味しいよ」

「俺も、その卵サンドイッチ買った。後はポテトサラダのサンドイッチ、コロッケパンとクリームパン」

「私は新作のクリームパンと、小倉マーガリンパン、コロッケパン」

 河童ベーカリーのイートインスペースで、温かいコーヒーと美味しいパンで、まんぷくで満足な朝食をとった二人だった。

 
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