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「……ハァハァ、んんっ――!」
あの日からオレのヒートが来る周期が早まり。来るたびにあの日のフォルテの顔がチラついた。フォルテから香ったスパイスの香りに包まれて、抱きしめられたい、あの低い声で囁かれたい。
婚約者がいると言っていたフォルテ。王族、上級貴族だし、無理だと無知なオレでもわかっている。――あのあと目が覚めると、オレは自分の部屋で寝ていた。
そして近くの棚の上には、あのとき飲んだ抑制剤の瓶が置かれていた。次の日シンギに話を聞くと、フォルテは薬が効いて、眠るオレを介抱したと連れて来たと言っていた。そのときに薬も一緒に渡してくれたらしい。
(次会ったらお礼を言わないと)
じっさい、フォルテから貰った薬は一粒噛んで飲めば一晩中、精を放ち喘がなくても眠れて。翌朝の体もダルくなくスッキリしている。フォルテがくれた抑制剤はオレではとうてい手が出ない、高級な抑制剤なんだろう。
「タヤ、お疲れ」
「おつかれさま」
「シンギさん、マヤさん、お疲れ様でした」
今日の午後はシンギとマヤの用事で、熊クマ食堂は休み。オレは冒険者ギルドに行くつもりだ。――ヒートの翌日、動けるようになったオレはシンギとマヤに助けられて、ニャッチ十匹を無事倒してFランクからEランクに上がったのだ。
いつもの冒険着に着替えて、オレは店にいる二人の声をかけた。
「シンギさん、マヤさん、隣町の冒険者ギルドに行ってきます」
「気をつけて行けよ!」
「何かあったら、すぐに帰りなさい」
「うん、わかってる」
徒歩で隣街の冒険者ギルドに行き、掲示板の前で沢山の依頼の見つけたのは『ラン森。モチクサ、一キロ』の全ランクが受けられる採取依頼。モチクサは抑制剤の材料にも使われている薬草だ、余分に採取してサロンナに渡そう。
それに、この依頼は報酬もいいな。オレが掲示板に手を伸ばすと、横からオレよりも頭一つ分以上大きく、頭からスッポリローブを被った男がその依頼を持っていってしまった。
――あっ、俺のクエスト。
「ま、待ってくれ、そのクエスト待ってくれ!」
「ん? なんだ」
男性の低い声に躊躇したが、オレはそのモチクサのクエストを受けたい。――しかし、このクエストを二人で受けると『モチクサ、一キロ』が半分の量になる代わりに報酬も半分になる。大抵、採取クエストは一人でやる人が多い。
「依頼金はいいから……頼む、オレもそのクエストを受けさせてくれないか?」
と、断られる覚悟で男性に頼んだ。ローブの男性はすぐいいと頷き、オレもモチクサの依頼を受けられるようになった。
「ありがとう、助かるよ」
「いや」
近くのラン森まで移動して、モチクサを集め始めた。オレもランクがEになり採取スキルを覚えた。Fランクでもこの依頼は受けられるが、採取スキルがある無しでは終わる時間が変わってくる。
一度、Fランクのときにも同じクエストを受けて、一日中モチクサを探したが達成できず。翌日、採取スキルを持つシンギとマヤに、クエストを手伝ってもらったことがあった。
でも今回は違う。覚えた【採取スキル】を発動してサクサク、モチクサを採取し始める。一緒に来た男性はオレよりも早く動きモチクサを集めていた。
(すごい、見つける量がオレとは大違いだ。採取スキルのレベルが違うのと、他のスキルも持っているのか)
――クソッ、オレも負けらんね。
やる気を出してモチクサを採取した。冒険者ギルドから借りたカゴ、半分で五百グラムになる。それとは別に抑制剤用にも薬草を集めよう。
数時間後、カゴに半分以上のモチクサが集まった。
「ふうっ、終わった……」
「終わったのか?」
えっ、とうに採取を終えてかえったと思っていた、男性はオレが終わるまで近くで待ってくれた。
「はい、終わりました」
冒険者ギルドに戻り報告を終わらせて、約束どおり依頼金を渡して、男性にもう一度お礼を言ってオレは帰路に着いた。
ローブ姿の男性はタヤを見送り、近くに止まる黒塗りの馬車に乗り込んだ。その馬車のなかには鎧を身につけた男性か待っていた。
「採取、お疲れ様でしたフォルテ様」
「あぁ……疲れたよ」
フードを取ると、金色の髪ではなく黒い髪がサラリ落ちた。
「自分の抑制剤の材料は、自分で集めるのが決まりですからね」
「そうだな。ところで私の婚約者は今日、学園に来ていたのか?」
「いいえ。本日も体調不良でお休みされていました」
「体調不良? そうか、わかった……私は少し仮眠する」
壁に体を預けて目を瞑ったフォルテ。まさかあの演習の時に出会った、タヤが冒険者ギルドにいるとは思はなかった。彼にもう一度会いたいと思っていたから……声をかけられた時にはバレたのかと焦った。
だが、自分は声変えの魔導具と臭い消しのローブ、変身指輪を身につけているから――バレるわけないか。
あの日からオレのヒートが来る周期が早まり。来るたびにあの日のフォルテの顔がチラついた。フォルテから香ったスパイスの香りに包まれて、抱きしめられたい、あの低い声で囁かれたい。
婚約者がいると言っていたフォルテ。王族、上級貴族だし、無理だと無知なオレでもわかっている。――あのあと目が覚めると、オレは自分の部屋で寝ていた。
そして近くの棚の上には、あのとき飲んだ抑制剤の瓶が置かれていた。次の日シンギに話を聞くと、フォルテは薬が効いて、眠るオレを介抱したと連れて来たと言っていた。そのときに薬も一緒に渡してくれたらしい。
(次会ったらお礼を言わないと)
じっさい、フォルテから貰った薬は一粒噛んで飲めば一晩中、精を放ち喘がなくても眠れて。翌朝の体もダルくなくスッキリしている。フォルテがくれた抑制剤はオレではとうてい手が出ない、高級な抑制剤なんだろう。
「タヤ、お疲れ」
「おつかれさま」
「シンギさん、マヤさん、お疲れ様でした」
今日の午後はシンギとマヤの用事で、熊クマ食堂は休み。オレは冒険者ギルドに行くつもりだ。――ヒートの翌日、動けるようになったオレはシンギとマヤに助けられて、ニャッチ十匹を無事倒してFランクからEランクに上がったのだ。
いつもの冒険着に着替えて、オレは店にいる二人の声をかけた。
「シンギさん、マヤさん、隣町の冒険者ギルドに行ってきます」
「気をつけて行けよ!」
「何かあったら、すぐに帰りなさい」
「うん、わかってる」
徒歩で隣街の冒険者ギルドに行き、掲示板の前で沢山の依頼の見つけたのは『ラン森。モチクサ、一キロ』の全ランクが受けられる採取依頼。モチクサは抑制剤の材料にも使われている薬草だ、余分に採取してサロンナに渡そう。
それに、この依頼は報酬もいいな。オレが掲示板に手を伸ばすと、横からオレよりも頭一つ分以上大きく、頭からスッポリローブを被った男がその依頼を持っていってしまった。
――あっ、俺のクエスト。
「ま、待ってくれ、そのクエスト待ってくれ!」
「ん? なんだ」
男性の低い声に躊躇したが、オレはそのモチクサのクエストを受けたい。――しかし、このクエストを二人で受けると『モチクサ、一キロ』が半分の量になる代わりに報酬も半分になる。大抵、採取クエストは一人でやる人が多い。
「依頼金はいいから……頼む、オレもそのクエストを受けさせてくれないか?」
と、断られる覚悟で男性に頼んだ。ローブの男性はすぐいいと頷き、オレもモチクサの依頼を受けられるようになった。
「ありがとう、助かるよ」
「いや」
近くのラン森まで移動して、モチクサを集め始めた。オレもランクがEになり採取スキルを覚えた。Fランクでもこの依頼は受けられるが、採取スキルがある無しでは終わる時間が変わってくる。
一度、Fランクのときにも同じクエストを受けて、一日中モチクサを探したが達成できず。翌日、採取スキルを持つシンギとマヤに、クエストを手伝ってもらったことがあった。
でも今回は違う。覚えた【採取スキル】を発動してサクサク、モチクサを採取し始める。一緒に来た男性はオレよりも早く動きモチクサを集めていた。
(すごい、見つける量がオレとは大違いだ。採取スキルのレベルが違うのと、他のスキルも持っているのか)
――クソッ、オレも負けらんね。
やる気を出してモチクサを採取した。冒険者ギルドから借りたカゴ、半分で五百グラムになる。それとは別に抑制剤用にも薬草を集めよう。
数時間後、カゴに半分以上のモチクサが集まった。
「ふうっ、終わった……」
「終わったのか?」
えっ、とうに採取を終えてかえったと思っていた、男性はオレが終わるまで近くで待ってくれた。
「はい、終わりました」
冒険者ギルドに戻り報告を終わらせて、約束どおり依頼金を渡して、男性にもう一度お礼を言ってオレは帰路に着いた。
ローブ姿の男性はタヤを見送り、近くに止まる黒塗りの馬車に乗り込んだ。その馬車のなかには鎧を身につけた男性か待っていた。
「採取、お疲れ様でしたフォルテ様」
「あぁ……疲れたよ」
フードを取ると、金色の髪ではなく黒い髪がサラリ落ちた。
「自分の抑制剤の材料は、自分で集めるのが決まりですからね」
「そうだな。ところで私の婚約者は今日、学園に来ていたのか?」
「いいえ。本日も体調不良でお休みされていました」
「体調不良? そうか、わかった……私は少し仮眠する」
壁に体を預けて目を瞑ったフォルテ。まさかあの演習の時に出会った、タヤが冒険者ギルドにいるとは思はなかった。彼にもう一度会いたいと思っていたから……声をかけられた時にはバレたのかと焦った。
だが、自分は声変えの魔導具と臭い消しのローブ、変身指輪を身につけているから――バレるわけないか。
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