女神様の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界で愛を手に入れる。

にのまえ

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 お風呂上がり、部屋でまったりしている。フォルテの探していると言っていた、オレと同じ黒ウサギが気になると話した。

「いまから、3年前になるんだけど。シンガリアの森で魔物に襲われている、私と仲間を助けてくれた冒険者がいたんだ」

「冒険者?」

「その冒険者に珍しい回復魔法で傷を治してもらい。色々冒険者についても教えてもらった。次の日、お礼を言いに冒険者ギルドに行ったがその人は見つからなかった。それからも、何度か探しにギルドへは行ったが見つかない」

 残念そうなフォルテ。
 いま、フォルテの言った黒ウサギはまさしくオレだな。
 嬉しくって、口元がゆるむ。

「へぇ。その黒ウサギはオメガで、その後ヒートがきて、しばらく外に出られなかったじゃないかな? フフ、フォルテはオレを探してくれたんだな」

 微笑んで伝えれば。
 フォルテの瞳が開く。

「そうなのか? あのとき、仲間と私を助けてくれた……冒険者はタヤだったのか」
 
「そうだよ。前髪は今よりも伸ばしていたし、首にマフラーを巻いて顔とか首を隠していたんだ……そうやってオメガだと、気付かれないようにしていたんだ」

「タヤ……」

 フォルテとはオレは3年前に出会っていた。まさか、シンガリアの森でニャッチから助けた、あの子達がフォルテと側近達だとはな。

「ありがとう、タヤ。仲間と私を助けてくれて」

「いいや、オレがやれることをしたまでって、ちょっと待て……そのときのフォルテはオレと身長がほぼ変わらない子供だった。何? この、いまの体格の差は?」

 頭ひとつ分以上ちがう身長差。
 体格もずいぶんと男らしい。

「私達は成人したし、アルファだ。それに毎朝、騎士団と共に鍛えている。タヤはあの頃より可愛くなった」

「オレが可愛い? 違う……ルテが男らしくなったんだ!」
 
「いや、食べてしまいたいくらいに可愛くなった」

「食べっ?」

 サラリといわれて照れる。何度もフォルテとキスをして……それ以上のことも。オレはフォルテに全てを奪われて、首を噛まれたいと思う自分がいると気付いた。

(フォルテというオスが欲しい)
 
 この状態で次の"ヒート"が来たとき、オレはどうなってしまうのだろう。側にいないフォルテの指先を、声を、息遣いを思いだして欲を吐き出すんだろうか。

 ヒートの日、フォルテに"そばにいて欲しい"とお願いしてもいいのかな? ……それは、オレのわがままなんだろうか。



 時期は夏の手前。店が終わりモップ掛けながら……もうすぐ、ヒートが来るか? そんなことを考えていた。

「よっ、タヤ! 掃除が終わったら一緒に冒険へ行こう」

 裏口から、フォルテがいつもの冒険の格好で入ってくる。あの日以来、フォルテに会うのは1週間ぶりだ。
 
「急ぎの仕事はもう、いいのか?」
 
「ああ、タヤに会いたくて速攻で終わらせた。……ハァ、1週間長かった……タヤ、会いたかった」

「オレも、ルテに会いたかったよ」

 頬を寄せてスリスリするフォルテに、オレもスリスリを返す。
 
「おお、今日はやけに素直だな。この後、どうする? 上の部屋でまったりする? それとも隣街の冒険者ギルドで依頼を受けるか?」

 この後か、どうするかな。
 フォルテと上の部屋で、まったりするのもいいな。

「そうだ。抑制剤を作るときに使う、ロテッカという薬草を採取したい」

「ロテッカか、わかった。その前に腹ごしらえ。シンギさん、シュリンサンド3人前よろしく」

「フォルテ殿下、かしこまりました」

 オレは店の仕事を終えて、フォルテと向かい合わせに座り、シュリンサンドが出来上がるのを話しながら待っていた。

(久しぶりに会ったフォルテが、さらに素敵に見える……これは、フォルテにオレが恋をしているからなのか?)

 フォルテに見つめられて胸が高鳴り。長い指先、低い声に俺の心臓はもたない。でも、それを隠しながら学園の話、城での仕事の話をしていた。

 閉店した店の入り口が空き「タヤいる?」と、ロッサお嬢がにこやかに顔を出した。前にロッサお嬢と出会ってから、彼女も熊クマ食堂へたまに来る様になって、前よりも仲良くなっている。

(まぁロッサお嬢とは、前世のゲームの話ばかりしているよな)

「こんにちは、ロッサお嬢」
「タヤ、昨日も来たのに……また来ちゃった」

「はあ? 昨日も来た?」

「え?」

 にこやかに笑っていたロッサお嬢は、フォルテを見て固まり、カクカクしながらスカートを掴みカーテシをした。

「ル、ルーズベルト国の若き太陽、フォルテ殿下ごきげんよう」

 なんとか、ひきつった笑顔で挨拶をしたあと。キッと、オレを見て"なんでいるのを教えないの?"と目で訴えてくる。それにオレは無理、無理と首を振った。

「ふーん、私が仕事でこられないあいだ、さらに2人は仲良くなったみたいだね、ロッサ嬢も隣に座る?」

「そ、そ、そんな恐れ多いですわ」
「遠慮なく座ったら?」

 フォルテの圧力に負けて、オレの隣に座ったロッサお嬢だった。

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