女神様の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界で愛を手に入れる。

にのまえ

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「何はともあれロッサお嬢、よかったな」
「ええ、肩の荷がおりましたわ」

 オレとロッサお嬢は喜んだが。それを見ているフォルテの機嫌が悪い。オレとロッテお嬢は転生、転移で、この世界への来方は違うが同郷でもあるから、なんでも気軽に話せる。

「また、私は仲間はずれか?」

「え? ルテ、そう怒るなって」
「怒りを鎮めください」

「ハァ? 怒るだろう。タヤとロッサ嬢はいつも私には分からない。2人だけのヒミツの話をしているだろう!」

 あ、拗ねた。これはフォルテの言い分もわかる。

「……それに、タヤは番の私に隠し事をしているだろう?」

 ウグッ。フォルテ、そんな悲しい顔するなよ。まあ隠しているちゃぁ隠しているな。でも、違う世界からきていて、この世界が乙女ゲームに似ているなんて、こんな摩訶不思議な話を信じるか?

 信じてもらえないだろう……ロッサお嬢も同じような気持ちなのか、困った顔のまま口をつぐむ。この沈黙を"肯定した"と、とったフォルテの尻尾が小刻みに揺れ、不機嫌さを増す。

 強き、アルファのフォルテに睨まれて。
 オレとロッサお嬢は肩をすぼめる。

 そこに。

「まあ、まあ、落ち着いてくださいフォルテ殿下。人には秘密にしたいことが数あります、それを無理に聞いてはいけません」

 厨房から、出来立てのシュリンサンドをもって現れたシンギはそう言って、テーブルに皿を置いた。それに"ふん"と突っぱねるフォルテにシンギ笑って「ほどほどに」と戻っていった。
 
 そういや……はじめてヒートになったとき、シンギさんとサロンナばあさんに転移の話をしたな。2人は驚きながらも、オレの話を親身に聞いてくれた。

(それなら、ルテもオレの話を"おかしな奴だと思わず"聞いてくれるんじゃないか?)

 ――ん……ん。都合が良過ぎる考えか? こればかりは、話してみたないとわからない。

 

 出来立てのシュリンサンドがテーブルの真ん中で、美味そうな湯気をたてている。それに誰も手をつけず沈黙だけが過ぎていった。

 この空気に耐えられなくなったオレは。フウッと深い息を吐き、心を決めて言葉を発した。

「……フォルテ、もしオレがこの世界のことをなにも知らず、別の世界から来たといったら――信じるか?」

 と、正直にぶつけた。
 その発言に、隣のロッサお嬢は驚きの表情をしている。

「タヤ?」
 
「ロッサお嬢、ルテになら話してもいいかなって思った。話して信じるも信じないのもルテだし……このままよりはいいよな」

「そうよね。私も別に話しても気にしないわ。だって真実ですもの」

 そうだなとロッサお嬢は頷いた。話した事は嘘じゃない……実際に3年前、オレに起きた真実のことだ。

「……別の世界?」

「そう、ある日突然……女神によってこの世界に落とされた。耳と尻尾が生えて黒兎になって、オメガだとか……発情、ヒートがくるとか知らず……」

「わ、私はタヤと同じ世界で死んでしまって、この世界のロッサ嬢に転生したの。この話はタヤが知っているから、別に信じなくてもいいわ」

 本当なら、あり得ない話だ。
 フォルテはオレとロッサお嬢の話に、ただ驚くしかないだろう。

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