女神様の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界で愛を手に入れる。

にのまえ

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 2人きりの公爵家の応接間。オレはロッサお嬢にのせられてメイド服を着たが……股がスースーして、小さい布の下着で落ち着かない。これは……何かの拍子にはみ出しそうだ。

「落ち着かない」
「じきに慣れるわよ」
 
 ロッサお嬢は、あとは髪型だと言い。彼女が普段から使用している、ボブショートのウィッグを貸してくれ。その上から、メイドがよくつけている"ホワイトブリム"を着けた。

「うん、可愛い。タヤに似合ってる」
 
「……そうか?」

 わかんねーし。
 女装ってなんだか落ち着かない。

「フフ、タヤは顔が可愛いから、化粧はしなくてもいいわね」

 準備が終わったわ! とロッサお嬢に手を引かれて、馬車に乗せられた。ロッサお嬢の屋敷から王都まで、あと2時間はかかるらしい。ゆるやかに動きだした馬車の窓から、見えるのはどこまでも続く小麦畑……その同じ風景がオレの眠気を誘った。

「ふわぁ……ねみっ」

「タヤ、王都に着いたら御者が起こしてくれるから、それまで眠ってもいいわ。……私も着くまで、ひと眠りするから」

「わかった、おやすみ」

 クッションを背中に引き、背もたれに体を預けてロッサお嬢は目を瞑った。オレもそれを真似て目を瞑った。



♱♱♱


「……タヤ」
 
 誰かが名前を呼び、体を揺らす。

「タヤ、起きて。もうすぐ、学園に着くよ」
「んあ、学園? もう着いたのか」

 目を覚ますと、レンガの家が立ち並ぶ都市についていた。ここがルーズベルトの王都で、高台にそびえる城が……フォルテが住む王城か。オレは普段のフォルテしか知らない。今日、学園で会うフォルテは、このルーズベルト国の第一王子、フォルテ殿下なんだ。

 オレ、場違い過ぎていないか? 
 少しだけ、怖く感じた。

「タヤ、そろそろ着くから――フォルテ殿下に貰った変身の魔導具をつけて」

「お、おお……」

 今朝、フォルテが渡してくれた変身用の魔導具は、青い魔石が付いた指輪だった……。オレがつけるのをためらっていると、ロッサお嬢に手を取られてサッと薬指に着けられた。

「⁉︎」

 その指輪を薬指につけたとたん、指輪の青い魔石が俺を包み込むように光り、オレの姿がロッサお嬢と同じ白兎族に変わる。

「すごい。どっからどう見てもロッサお嬢と同じ、白ウサギ族に変わった」

「見事に変わったわね。……ところで、タヤ。あなた、王都と王城をみて、怖気付いているんじゃない?」

「えっ?」

 気付かれた……ロッサお嬢の言う通りだ。
 オレの動揺が、ロッサお嬢に伝わっちまったな。

「どうなの?」
「そうだよ。ロッサお嬢の言う通り、オレは怖気付いている……」

 いまから、フォルテに会うのが怖くなった。

「大丈夫。フォルテ殿下とタヤは切っても切れない存在――運命に番。タヤはフォルテ殿下に大切にされるわ」

「大切――」

 ロッサお嬢がオレの手を、優しく握ってくれる。
 だから、オレも本音を言った。

「こわいけど……オレはルテを大切にしたいし、ルテに大切にされたい。いつかはルテの番になって、ルテと家族になりたい」
 

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