女神様の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界で愛を手に入れる。

にのまえ

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 ロッサ嬢には詳しく説明をして、ワザと馬車を森の中を走らせた。今、それに引っかかったフォックスの者がタヤを狙って現れた。

 だが、いとも簡単に黒猫達の剣に倒れる者達……これはフォックスの護衛ではなく、金で雇った騎士崩れ共ばかりだと気付く。黒猫は奴らをすばやく倒し、捕らえ、次の戦闘体制に入る。

 ほかに、フォックスが雇ったであろう騎士崩れはいないのか気配を探るも、森の中は静けさに満ちている。だが森にときおり吹く風にのり、奴のシトラスの香水の香りと酒の香りが鼻をくすぐり、フォルテをイラたせる。

(酒まで飲んでいるのか? それに隠れる気はないようだな)

「フォックス、そこで見ているのだろう! 隠れていないで出てこい!」

 威嚇にも似た声を上げると、フォルテの視線の先の茂みが揺れ。酒の匂いを漂わせ頬が赤く、目がうつろなフォックスが茂みから現れた。その後ろにはフォックスを守るように、手慣れの騎士も眉をひそめたまま数名現れた。

(護衛達のその表情。フォックスに物申したいが、任務の為に何も言えないのだな)

 そんなことを知ってか知らずか、当人のフォックスはニタニタと楽しげに笑い、更にフォルテをいらたせた。

「なぁんだぁ~バレていたのかぁ~……かわいい、タヤを手に入れようと思っていたのに残念だ。ねぇフォルテ、大切にするからタヤを譲ってくれよ~ボクは可愛い、タヤが欲しいんだ」

「タヤが欲しいだと? フォックス、馬鹿げたことを言うな! タヤは……私の大切な番だ」
 
「えぇ~大切? まだ番の儀式も済んでいないくせに大切な番だって? ……クスクス、笑わせる」

 挑発するようにフォックスは腹を抱えて、フォルテを馬鹿にするように笑った。その姿にフォルテはため息を吐く……

(私を挑発して、腰の剣を抜くのを待っているらしい考えが……考えがお粗末だ)

「フォックス、君のお始末な挑発には乗らんよ。だが、フォックスには正式に決闘を申し込む。その勝負に勝ち、二度と、この国の地は踏ませない」

「ボクと勝負? フフ、それでいいよ~じゃ、ボクが勝ったらタヤをもらうねぇ~」

「貴様には勝たせん!」

 フォルテは飄々(ひょうひょう)と戯言を言う、フォックスを今すぐ殴りたくなったが我慢した。明日の決闘で叩きのめすと決めた。

「フォックス! 明日の正午、王城の訓練場で待つ」

「明日の正午だね、わかった。タヤ、迎えにいくから待っていてね」

 フォックスはタヤが乗っていない馬車に向けて手を振り、声をかけてフォルテを睨み、護衛の騎士達と共に闇夜へ消えていった。

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