1 / 11
ミリアの話
しおりを挟む
四、五年前ーーガレーン国は人が住む国であった。
北、南、西、東と四つある門はガレーン騎士団が交代で守っていた。
この北区にミリア(三十歳)という女性が婚約者と住んでいた。彼らはこの北区で定食屋を開こうと日々お金を貯めていたーーそして、五年の月日がたち、ようやく中古だけど店を手に入れた。
それは真夏の暑い日だった。
二人は定食屋の名前は"美味しい亭"とつけた。
「素敵な店ね」
「ボクたちの店だ!」
念願の定食屋の開店を三日前に迎えて、ガレーン国の人達に来てもらおうとチラシを配り、煮込み料理の仕込みをしたりと、開店まで二人は忙しく働いていた。
しかし、そんな二人ーーいや、北区に住む多くの住民にそれは起こった。
深夜十二時を過ぎた頃"ドゴーーン!!!"と、北門で大きな破壊音がした。なんと北の施設、ダンジョンからモンスターが襲ってきたのだ。
いつもは小物モンスターモンスターばかり。騎士団に任せておけば退治してくれる、と住民達は安心しきっていた。
それが今回ばかりは違っていた。中型の白兎が北の門を襲った。北門を守る騎士達は剣を構えたが、白兎の体当たりに耐えられず負傷者は増えた。
強い騎士達だが中型のモンスターと戦うのは初めて、戦い方がわからず苦戦をしいられた。
「このままでは市民が怪我をする!」
北区に住む住民の避難をさせた後。
ガレーン国王陛下はどうやったのかわからないが、ガレーン国を覆う結界を張り、白兎モンスターを追い払うことに成功した。
このことがあった翌日から、北区に住む人々は恐怖に怯えて他の区に移動する者、国を離れる者いた。一夜明けて、ほとんどの人が北区からいなくなった。
北区で念願の定食屋を開こうとしていた、ミリアと婚約者。人々が北区からいなくなってしまい、店を開けてもほとんど客はこない。
『大丈夫、また人が戻ってくる!』とミリアが励ましても、婚約者はもうダメだと酒を飲み歩き、酒に溺れる日々を送りはじめた。
さらに、追い打ちをかけるように国王陛下は近隣の亜人の国から強き戦士、亜人達を北区に向かい入れると宣言した。あたらしく亜人制度ができて、それにクリアした亜人達が移り住んできた。
[本当は戦争に負けたユーシリン国に命令をだして、制度にクリアできた、亜人達を強制的に住まわせていた]
北区に残っていた人々は見た目が違う亜人達に怯えた。ミリアの婚約者も初めて見る亜人に恐怖をいだき、ミリアを一人残して、いつの間にか作った愛人と、店、ミリアを捨てて消えてしまった。
突如、一人残されたミリア。
私はどうする?
婚約者に裏切られて傷付いたミリアだが、
定食屋はミリアとっても、念願の夢だった。
北門を守る亜人隊が出来るまで。亜人自警団が北区を守り、頑張り、友を失い、大切な人を失い、泣きながら生きていることを亜人達の話しで知る。
亜人達も私たちと変わらない、
何か私に何かできることは?
ミリアは考えて定食屋を開こうと決め。東区に住む親戚のおばさんに力を借りて、名前を"美味しい亭"から……自分の名前が入った"ミリア亭"に変えた。
『誰でもおいで! 美味しいものをたらふく食べさせるよ!』と亜人、人、誰それ構わず料理を安く振るまった。
ミリアはこの北区に住む、みんなに美味しいものを食べてもらい。笑顔でいて欲しいと願い、いまもこの土地で料理を作り続けているのだ。
北、南、西、東と四つある門はガレーン騎士団が交代で守っていた。
この北区にミリア(三十歳)という女性が婚約者と住んでいた。彼らはこの北区で定食屋を開こうと日々お金を貯めていたーーそして、五年の月日がたち、ようやく中古だけど店を手に入れた。
それは真夏の暑い日だった。
二人は定食屋の名前は"美味しい亭"とつけた。
「素敵な店ね」
「ボクたちの店だ!」
念願の定食屋の開店を三日前に迎えて、ガレーン国の人達に来てもらおうとチラシを配り、煮込み料理の仕込みをしたりと、開店まで二人は忙しく働いていた。
しかし、そんな二人ーーいや、北区に住む多くの住民にそれは起こった。
深夜十二時を過ぎた頃"ドゴーーン!!!"と、北門で大きな破壊音がした。なんと北の施設、ダンジョンからモンスターが襲ってきたのだ。
いつもは小物モンスターモンスターばかり。騎士団に任せておけば退治してくれる、と住民達は安心しきっていた。
それが今回ばかりは違っていた。中型の白兎が北の門を襲った。北門を守る騎士達は剣を構えたが、白兎の体当たりに耐えられず負傷者は増えた。
強い騎士達だが中型のモンスターと戦うのは初めて、戦い方がわからず苦戦をしいられた。
「このままでは市民が怪我をする!」
北区に住む住民の避難をさせた後。
ガレーン国王陛下はどうやったのかわからないが、ガレーン国を覆う結界を張り、白兎モンスターを追い払うことに成功した。
このことがあった翌日から、北区に住む人々は恐怖に怯えて他の区に移動する者、国を離れる者いた。一夜明けて、ほとんどの人が北区からいなくなった。
北区で念願の定食屋を開こうとしていた、ミリアと婚約者。人々が北区からいなくなってしまい、店を開けてもほとんど客はこない。
『大丈夫、また人が戻ってくる!』とミリアが励ましても、婚約者はもうダメだと酒を飲み歩き、酒に溺れる日々を送りはじめた。
さらに、追い打ちをかけるように国王陛下は近隣の亜人の国から強き戦士、亜人達を北区に向かい入れると宣言した。あたらしく亜人制度ができて、それにクリアした亜人達が移り住んできた。
[本当は戦争に負けたユーシリン国に命令をだして、制度にクリアできた、亜人達を強制的に住まわせていた]
北区に残っていた人々は見た目が違う亜人達に怯えた。ミリアの婚約者も初めて見る亜人に恐怖をいだき、ミリアを一人残して、いつの間にか作った愛人と、店、ミリアを捨てて消えてしまった。
突如、一人残されたミリア。
私はどうする?
婚約者に裏切られて傷付いたミリアだが、
定食屋はミリアとっても、念願の夢だった。
北門を守る亜人隊が出来るまで。亜人自警団が北区を守り、頑張り、友を失い、大切な人を失い、泣きながら生きていることを亜人達の話しで知る。
亜人達も私たちと変わらない、
何か私に何かできることは?
ミリアは考えて定食屋を開こうと決め。東区に住む親戚のおばさんに力を借りて、名前を"美味しい亭"から……自分の名前が入った"ミリア亭"に変えた。
『誰でもおいで! 美味しいものをたらふく食べさせるよ!』と亜人、人、誰それ構わず料理を安く振るまった。
ミリアはこの北区に住む、みんなに美味しいものを食べてもらい。笑顔でいて欲しいと願い、いまもこの土地で料理を作り続けているのだ。
25
あなたにおすすめの小説
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
初恋のひとに告白を言いふらされて学園中の笑い者にされましたが、大人のつまはじきの方が遥かに恐ろしいことを彼が教えてくれました
3333(トリささみ)
恋愛
「あなたのことが、あの時からずっと好きでした。よろしければわたくしと、お付き合いしていただけませんか?」
男爵令嬢だが何不自由なく平和に暮らしていたアリサの日常は、その告白により崩れ去った。
初恋の相手であるレオナルドは、彼女の告白を陰湿になじるだけでなく、通っていた貴族学園に言いふらした。
その結果、全校生徒の笑い者にされたアリサは悲嘆し、絶望の底に突き落とされた。
しかしそれからすぐ『本物のつまはじき』を知ることになる。
社会的な孤立をメインに書いているので読む人によっては抵抗があるかもしれません。
一人称視点と三人称視点が交じっていて読みにくいところがあります。
あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た
しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。
学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。
彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。
そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
そう言うと思ってた
mios
恋愛
公爵令息のアランは馬鹿ではない。ちゃんとわかっていた。自分が夢中になっているアナスタシアが自分をそれほど好きでないことも、自分の婚約者であるカリナが自分を愛していることも。
※いつものように視点がバラバラします。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる