(短編)寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋をがしたい。

にのまえ

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ミリア

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 ――私にこんな日が来るとは思っていなかった。

 この日。私はミリア亭でリーヤに着付けをしてもらっていた。婚約者と別れてが五年たち――私もおばちゃんになった。二度とウェディングドレスを着ることはないと思っていた。リーヤは自分のウェディングドレスを貸してくれて、着付けまでしてくれている。

「ここにリボンをつけて。よし、終わり!」

 気付けが終わった私を見て、リーヤは頬を染めた。

「ミリアさん、とても綺麗です!」

「そ、そうかい? リーヤ、こんなに綺麗なドレスを貸してくれて、着付けもしてくれてありがとう」

「いいえ、少し髪を直しますね」

 ――姿見に映るのは髪を整えて、久しぶりに化粧をした自分……いくつになっても着飾るのは心が弾むもんだね。

「こんなに綺麗な、ドレスを着たのは初めてだよ」

「フフッ、よかった。ミリアさんもアサトさんと、幸せになってください」

「ああ、幸せになるよ」

 あまりにもリーヤが嬉しそうに笑うから、私も笑っちゃう。二人で笑っていたら、リーヤの旦那――ナサがミリア亭の入り口から顔を出した。

「リーヤ、ミリアの準備は終わったのか?」

「終わったよ! ナサ、見て、みて。ミリアさん、とても綺麗なの」

「どれどれ。……シッシシ、ミリア、綺麗だな。アサトが腰を抜かすぞ!」

「アサトさんが? ふふ、そうかも」

 ナサとリーヤ――お似合いの二人。私もアサトと、これから彼らと同じように楽しく過ごしたいな。結婚式がはじまる前。ウェディングドレス姿の私を見たアサトは「き、き、綺麗だ、ミリア……」幸せそうに笑い、私を抱きしめた。

「ありがとう。アサトも素敵だよ」

 リーヤ達が見守るなか式が始まる。――神父をロカがやり結婚式は滞りなくおわり、披露宴の準備がはじめる。早朝――リーヤとナサ、雑貨屋のミカで、ミリア亭の厨房を借りて作った、料理がテーブルに並べられていく。

 ミリア亭の外には私とアサトの結婚を聞きつけた、みんなが見守っていた。みんなは口々にお祝いの言葉をくれる。

(ここでミリア亭をやってきてよかった。みんなに祝福されて、幸せだ!)

 手にシャンパン、ジュースを持ち乾杯する。


「「おめでとう。アサト、ミリア!」」

 
 式が終わり私の家に寄ったアサト。彼はいつになるか分からないが、亜人隊の人が増えて警備が交代制になったら、亜人隊をナサに任して引退すると言う。そして、ミリア亭で夫婦で働きたいといった。
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