6 / 11
ミリア
しおりを挟む
――私にこんな日が来るとは思っていなかった。
この日。私はミリア亭でリーヤに着付けをしてもらっていた。婚約者と別れてが五年たち――私もおばちゃんになった。二度とウェディングドレスを着ることはないと思っていた。リーヤは自分のウェディングドレスを貸してくれて、着付けまでしてくれている。
「ここにリボンをつけて。よし、終わり!」
気付けが終わった私を見て、リーヤは頬を染めた。
「ミリアさん、とても綺麗です!」
「そ、そうかい? リーヤ、こんなに綺麗なドレスを貸してくれて、着付けもしてくれてありがとう」
「いいえ、少し髪を直しますね」
――姿見に映るのは髪を整えて、久しぶりに化粧をした自分……いくつになっても着飾るのは心が弾むもんだね。
「こんなに綺麗な、ドレスを着たのは初めてだよ」
「フフッ、よかった。ミリアさんもアサトさんと、幸せになってください」
「ああ、幸せになるよ」
あまりにもリーヤが嬉しそうに笑うから、私も笑っちゃう。二人で笑っていたら、リーヤの旦那――ナサがミリア亭の入り口から顔を出した。
「リーヤ、ミリアの準備は終わったのか?」
「終わったよ! ナサ、見て、みて。ミリアさん、とても綺麗なの」
「どれどれ。……シッシシ、ミリア、綺麗だな。アサトが腰を抜かすぞ!」
「アサトさんが? ふふ、そうかも」
ナサとリーヤ――お似合いの二人。私もアサトと、これから彼らと同じように楽しく過ごしたいな。結婚式がはじまる前。ウェディングドレス姿の私を見たアサトは「き、き、綺麗だ、ミリア……」幸せそうに笑い、私を抱きしめた。
「ありがとう。アサトも素敵だよ」
リーヤ達が見守るなか式が始まる。――神父をロカがやり結婚式は滞りなくおわり、披露宴の準備がはじめる。早朝――リーヤとナサ、雑貨屋のミカで、ミリア亭の厨房を借りて作った、料理がテーブルに並べられていく。
ミリア亭の外には私とアサトの結婚を聞きつけた、みんなが見守っていた。みんなは口々にお祝いの言葉をくれる。
(ここでミリア亭をやってきてよかった。みんなに祝福されて、幸せだ!)
手にシャンパン、ジュースを持ち乾杯する。
「「おめでとう。アサト、ミリア!」」
式が終わり私の家に寄ったアサト。彼はいつになるか分からないが、亜人隊の人が増えて警備が交代制になったら、亜人隊をナサに任して引退すると言う。そして、ミリア亭で夫婦で働きたいといった。
この日。私はミリア亭でリーヤに着付けをしてもらっていた。婚約者と別れてが五年たち――私もおばちゃんになった。二度とウェディングドレスを着ることはないと思っていた。リーヤは自分のウェディングドレスを貸してくれて、着付けまでしてくれている。
「ここにリボンをつけて。よし、終わり!」
気付けが終わった私を見て、リーヤは頬を染めた。
「ミリアさん、とても綺麗です!」
「そ、そうかい? リーヤ、こんなに綺麗なドレスを貸してくれて、着付けもしてくれてありがとう」
「いいえ、少し髪を直しますね」
――姿見に映るのは髪を整えて、久しぶりに化粧をした自分……いくつになっても着飾るのは心が弾むもんだね。
「こんなに綺麗な、ドレスを着たのは初めてだよ」
「フフッ、よかった。ミリアさんもアサトさんと、幸せになってください」
「ああ、幸せになるよ」
あまりにもリーヤが嬉しそうに笑うから、私も笑っちゃう。二人で笑っていたら、リーヤの旦那――ナサがミリア亭の入り口から顔を出した。
「リーヤ、ミリアの準備は終わったのか?」
「終わったよ! ナサ、見て、みて。ミリアさん、とても綺麗なの」
「どれどれ。……シッシシ、ミリア、綺麗だな。アサトが腰を抜かすぞ!」
「アサトさんが? ふふ、そうかも」
ナサとリーヤ――お似合いの二人。私もアサトと、これから彼らと同じように楽しく過ごしたいな。結婚式がはじまる前。ウェディングドレス姿の私を見たアサトは「き、き、綺麗だ、ミリア……」幸せそうに笑い、私を抱きしめた。
「ありがとう。アサトも素敵だよ」
リーヤ達が見守るなか式が始まる。――神父をロカがやり結婚式は滞りなくおわり、披露宴の準備がはじめる。早朝――リーヤとナサ、雑貨屋のミカで、ミリア亭の厨房を借りて作った、料理がテーブルに並べられていく。
ミリア亭の外には私とアサトの結婚を聞きつけた、みんなが見守っていた。みんなは口々にお祝いの言葉をくれる。
(ここでミリア亭をやってきてよかった。みんなに祝福されて、幸せだ!)
手にシャンパン、ジュースを持ち乾杯する。
「「おめでとう。アサト、ミリア!」」
式が終わり私の家に寄ったアサト。彼はいつになるか分からないが、亜人隊の人が増えて警備が交代制になったら、亜人隊をナサに任して引退すると言う。そして、ミリア亭で夫婦で働きたいといった。
11
あなたにおすすめの小説
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
初恋のひとに告白を言いふらされて学園中の笑い者にされましたが、大人のつまはじきの方が遥かに恐ろしいことを彼が教えてくれました
3333(トリささみ)
恋愛
「あなたのことが、あの時からずっと好きでした。よろしければわたくしと、お付き合いしていただけませんか?」
男爵令嬢だが何不自由なく平和に暮らしていたアリサの日常は、その告白により崩れ去った。
初恋の相手であるレオナルドは、彼女の告白を陰湿になじるだけでなく、通っていた貴族学園に言いふらした。
その結果、全校生徒の笑い者にされたアリサは悲嘆し、絶望の底に突き落とされた。
しかしそれからすぐ『本物のつまはじき』を知ることになる。
社会的な孤立をメインに書いているので読む人によっては抵抗があるかもしれません。
一人称視点と三人称視点が交じっていて読みにくいところがあります。
あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た
しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。
学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。
彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。
そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
そう言うと思ってた
mios
恋愛
公爵令息のアランは馬鹿ではない。ちゃんとわかっていた。自分が夢中になっているアナスタシアが自分をそれほど好きでないことも、自分の婚約者であるカリナが自分を愛していることも。
※いつものように視点がバラバラします。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる