24 / 108
21
しおりを挟む
「でも先輩。そんなに私が嫌いで不敬罪にして牢屋に入れたいなんて、かロール殿下は酷い人だよね」
「えっ、不敬罪? 牢屋?」
「婚約破棄の時、最後に思っていたことを伝えたら、いきなり頭を抱えて苦しみ始めたの。そのことをいまだに根に持っていて、私を不敬罪にしたくて探しているわ。好きな人と結ばれたのだし、リリーナさんと仲良くしてればいいのに」
「そ、そうだな……ルー、しっかり逃げろよ」
私はなんども頷いた。先輩は頷きすぎたと笑い、部屋に掛かる時計に目をやった。
ーー部屋の時計の針は六時半をさしている。
「フウッ、楽しい時間は早く過ぎて困るな。日も暮れて遅くなったし帰るよ」
「はい」
立ち上がった先輩を玄関まで送ろうとした、先輩はアッと、何か思い出してこちらを振り向く。
「いい忘れていた。ルー、あれは呪いの言葉だから、子犬をベルーガと呼ぶな。それと、ルーに渡す物があった」
「あれが、呪いの言葉?」
「うん、呪いの術がかかっている。呼ぶとルーまで呪われるから。呼ばなければなんに起こらないから安心して」
「わかりました、呼びません」
"よし"と、先輩はローブの袖からジャラッと、沢山の鍵の付いたキーリングを取り出し。その中から四葉のクローバーの鍵を一つ外して確認する。
「この鍵には……まだ登録してないな。これにしょう。場所はこの壁でいいかな?」
登録? 壁?
何をはじめたのと、見ている私の前で先輩は鍵を右手の手のひらに置いて、左手で壁を触った。
「【アセール・クレ・ポルタ】」
先輩がそう魔法を詠唱すると、壁と手のひらに赤色の魔法陣が浮かび消えた。シエル先輩は魔法を掛けた壁と鍵をしばらく眺めて。
うなずく。
「うむ、これでいいだろう。この鍵をルーに」
「あ、ありがとう。先輩、これって魔法の鍵?」
受けとった鍵をマジマジ見ていた、その姿をみて先輩は口角を上げ。
「そうだ、その鍵は魔法の鍵だ。この部屋のここの壁と魔法屋の裏口の魔法の扉とつなげた。これで、ルーは外に出ることなく魔法屋に行ける。弟にはそう伝えておくよ」
この鍵で魔法屋さんまでいける。
「すごい、すごいわ。魔法屋さんにお礼を言いに行きたかったんだ。外に出ず行けるなんて最高ね」
「はははっ、最高か。この鍵の使い方は簡単だ。壁に鍵を近づけると魔法屋に繋がる裏口の扉がこの壁に現れるから、弟にひとこと声をかけて入ってくれ」
先輩はパンと手を鳴らして、ティーセットを消した。
「ルー、その鍵を絶対になくすなよ。大切に使ってくれ」
「はい、大切に使います」
先輩に貰った鍵をきつく握りしめた。
「またな、ルー」
「あ、待って」
タンスを引き出して、先輩が好きだと言ったお菓子を両手一杯に掴んで、手提げ袋に入れて先輩に差し出した。
「これ、紅茶と鍵のお礼になるかわからないけど、お茶請けに食べてください」
「こんなに……クク、ありがとう……お礼にもう一つ魔法を見せよう」
先輩が別の壁に手をかざして、魔法を詠唱すると、こんどは壁に波紋が広がった。
その波紋が消えると、そこには豪華な茶色の扉が現れる。先輩はキーリングから赤い石のついた鍵を一つ手に取ると、現れた扉の鍵穴に差し込み扉を開けた。
その開かれた扉から、先輩から薫る薬品の匂いがした。
「よし、繋がったな」
先輩は帰る前にこちらに振り向き、私を見ると呆れた顔した。
「クックク……まったく、お前は魔法のことになると瞳が輝くな……可愛い。おやすみ、ルー」
「かわ? え、おやすみなさい、先輩」
「クク、そう慌てるな。本当のことだ」
意地悪く笑って、先輩が戻るまえに切れ長の赤い瞳が、私をじっと見た。
その瞳にさらに鼓動がはねる。
「またな、ルー」
「はい、また会いましょう、シエル先輩」
先輩は手をあげて、微笑み扉の中へと消える、それと同時に扉も消え、薬品の匂いも消えていった。
(可愛いだなんて……頬が熱いよ)
すごく、ドキドキした。
「キュ」
「子犬ちゃん、寝る?」
先輩が帰るまでおとなしく寝ていた子犬ちゃん。"あの呪いの言葉"で呪われているなんて……私では何もできないから、しっかり飼い主さん探すね。
「キュン?」
「片付けしたら、寝よっか」
そう伝えると、ひと鳴きしてベットに飛び乗る。私はキッチンで使ったカップを洗い、もらった魔法の鍵を一番上の宝物入れにいれる。
(先輩から貰ったハンカチ、ブレスレット、髪飾りの、そしてクローバーの鍵……)
また一つ宝物ができた。
子犬ちゃんと戯れ、ライトの灯りの下で本を読み。そろそろ寝ようとしたのだけど。
すぐに帰ると思っていた、ライトの魔法は寝る前にも消えず、私の部屋を照らし続けている。
ベッドの中で見上げて。
「……ちょっと眩しいね、子犬ちゃん」
「キュン」
ライトの魔法はこのあと、2時間は消えなかった。
「えっ、不敬罪? 牢屋?」
「婚約破棄の時、最後に思っていたことを伝えたら、いきなり頭を抱えて苦しみ始めたの。そのことをいまだに根に持っていて、私を不敬罪にしたくて探しているわ。好きな人と結ばれたのだし、リリーナさんと仲良くしてればいいのに」
「そ、そうだな……ルー、しっかり逃げろよ」
私はなんども頷いた。先輩は頷きすぎたと笑い、部屋に掛かる時計に目をやった。
ーー部屋の時計の針は六時半をさしている。
「フウッ、楽しい時間は早く過ぎて困るな。日も暮れて遅くなったし帰るよ」
「はい」
立ち上がった先輩を玄関まで送ろうとした、先輩はアッと、何か思い出してこちらを振り向く。
「いい忘れていた。ルー、あれは呪いの言葉だから、子犬をベルーガと呼ぶな。それと、ルーに渡す物があった」
「あれが、呪いの言葉?」
「うん、呪いの術がかかっている。呼ぶとルーまで呪われるから。呼ばなければなんに起こらないから安心して」
「わかりました、呼びません」
"よし"と、先輩はローブの袖からジャラッと、沢山の鍵の付いたキーリングを取り出し。その中から四葉のクローバーの鍵を一つ外して確認する。
「この鍵には……まだ登録してないな。これにしょう。場所はこの壁でいいかな?」
登録? 壁?
何をはじめたのと、見ている私の前で先輩は鍵を右手の手のひらに置いて、左手で壁を触った。
「【アセール・クレ・ポルタ】」
先輩がそう魔法を詠唱すると、壁と手のひらに赤色の魔法陣が浮かび消えた。シエル先輩は魔法を掛けた壁と鍵をしばらく眺めて。
うなずく。
「うむ、これでいいだろう。この鍵をルーに」
「あ、ありがとう。先輩、これって魔法の鍵?」
受けとった鍵をマジマジ見ていた、その姿をみて先輩は口角を上げ。
「そうだ、その鍵は魔法の鍵だ。この部屋のここの壁と魔法屋の裏口の魔法の扉とつなげた。これで、ルーは外に出ることなく魔法屋に行ける。弟にはそう伝えておくよ」
この鍵で魔法屋さんまでいける。
「すごい、すごいわ。魔法屋さんにお礼を言いに行きたかったんだ。外に出ず行けるなんて最高ね」
「はははっ、最高か。この鍵の使い方は簡単だ。壁に鍵を近づけると魔法屋に繋がる裏口の扉がこの壁に現れるから、弟にひとこと声をかけて入ってくれ」
先輩はパンと手を鳴らして、ティーセットを消した。
「ルー、その鍵を絶対になくすなよ。大切に使ってくれ」
「はい、大切に使います」
先輩に貰った鍵をきつく握りしめた。
「またな、ルー」
「あ、待って」
タンスを引き出して、先輩が好きだと言ったお菓子を両手一杯に掴んで、手提げ袋に入れて先輩に差し出した。
「これ、紅茶と鍵のお礼になるかわからないけど、お茶請けに食べてください」
「こんなに……クク、ありがとう……お礼にもう一つ魔法を見せよう」
先輩が別の壁に手をかざして、魔法を詠唱すると、こんどは壁に波紋が広がった。
その波紋が消えると、そこには豪華な茶色の扉が現れる。先輩はキーリングから赤い石のついた鍵を一つ手に取ると、現れた扉の鍵穴に差し込み扉を開けた。
その開かれた扉から、先輩から薫る薬品の匂いがした。
「よし、繋がったな」
先輩は帰る前にこちらに振り向き、私を見ると呆れた顔した。
「クックク……まったく、お前は魔法のことになると瞳が輝くな……可愛い。おやすみ、ルー」
「かわ? え、おやすみなさい、先輩」
「クク、そう慌てるな。本当のことだ」
意地悪く笑って、先輩が戻るまえに切れ長の赤い瞳が、私をじっと見た。
その瞳にさらに鼓動がはねる。
「またな、ルー」
「はい、また会いましょう、シエル先輩」
先輩は手をあげて、微笑み扉の中へと消える、それと同時に扉も消え、薬品の匂いも消えていった。
(可愛いだなんて……頬が熱いよ)
すごく、ドキドキした。
「キュ」
「子犬ちゃん、寝る?」
先輩が帰るまでおとなしく寝ていた子犬ちゃん。"あの呪いの言葉"で呪われているなんて……私では何もできないから、しっかり飼い主さん探すね。
「キュン?」
「片付けしたら、寝よっか」
そう伝えると、ひと鳴きしてベットに飛び乗る。私はキッチンで使ったカップを洗い、もらった魔法の鍵を一番上の宝物入れにいれる。
(先輩から貰ったハンカチ、ブレスレット、髪飾りの、そしてクローバーの鍵……)
また一つ宝物ができた。
子犬ちゃんと戯れ、ライトの灯りの下で本を読み。そろそろ寝ようとしたのだけど。
すぐに帰ると思っていた、ライトの魔法は寝る前にも消えず、私の部屋を照らし続けている。
ベッドの中で見上げて。
「……ちょっと眩しいね、子犬ちゃん」
「キュン」
ライトの魔法はこのあと、2時間は消えなかった。
43
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる