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〈オーホホホホォ!! よかった……探しにいかなくても自分から来てくれたわ。飛んで火に入る夏の虫ちゃんね〉
「……え?」
長く尖った黒い爪、手から肘までしかない喋る腕が私に飛びつこうとした。私はガット君と子犬ちゃんを抱きしめた。頭の上にいた福ちゃんは前に飛び降り、みんなを守るために翼を広げた。
「「させるか! 【ボム!】」」
シエル先輩が杖を振り、丸く小さな爆弾をいくつか飛ばした。その飛んできた爆弾は私を襲おうとしていた、腕に次々と命中して『ボン、ボン、ボン!!!』と爆発した。
〈ギャァァァアアア、痛い、いたぁ………………!!〉
爆弾を食らった腕は弾末の悲鳴をあげ、真っ黒に焦げて床に落ちた。その腕を先輩と同じ杖を持つ、ラエルさんが見下ろした。
「フフ、兄貴の"ボム!"に簡単にやられるなんて、黒魔女は十年足らずで、僕達よりも弱くなったんじゃない? まっ、関係ないけど」
ラエルさんは懐から細長い布をだして、焦げた腕をぐるぐる巻にして、杖の先端を当て【封印】と唱える。グルグル巻きの細長い布に見たことがない、青い文字が浮かび消えていった。ラエルさんはそれを掴み木の箱にいれたあと、同じように布でグルグルまきにした。
「これでよし。兄貴、黒魔女の封印完了したよ」
「そうか、ありがとう、ラエル」
フウッとため息を吐き、シエル先輩は私を見て笑った。
「クク、お互い、すすけたな」
「……うん、すすけてるね……先輩、シエル先輩」
先輩の笑顔にホッとして、ストンとその場に尻餅をついた。よかったー、私を守ろうとしてくれる福ちゃん、ガット君と子犬ちゃんに怖がっていると気付かれないよう、気を張っていた力が抜けたみたい。
「お嬢?」
「ルーチェ姉さん」
「キュン?」
「ルー、大丈夫か?」
「ルーチェちゃん?」
みんなが近寄ってくる、私は腰が抜けたまま笑う。
「ありがとう、迎えにきてくれて……ほんとうは怖かったの、カロール殿下と結婚したくなかった…………ありがとう、シエル先輩、ラエルさん、福ちゃん、ガット君、子犬ちゃん」
「「どういたしまして!」」
+
先輩にワンピースを綺麗にしてもらったあと、説明を受けた「見たくなかったら、ウルラにガリタ食堂まで送らせる」と言ったけど、先輩に最後まで見ると伝えた――先に国王陛下と王妃様の魔法を解き、2人を眠らせて、私のところに戻り。
「悪いが、姿だけ変えるな」
コツンと杖を頭に当て、私をハムスターの姿に変えて肩に乗せた――そして、聖書台の誓約書を見れば国王陛下と王妃、保証人、カロール殿下の名と印がすでに押されていた。
それを見た先輩は何かを企む表情を浮かべ、杖の先端で床を叩き、何処からか、リリーナさんをここに呼び寄せた。現れた彼女はお昼寝中だったのか、眠った状態でこの場に現れる。
「え? リリーナさんのドレスがボロボロだけど、どこにいたの?」
「どこって……ルーは知らなくていいよ」
シエル先輩は彼女に声をかけることをせず、魔法でドレスを綺麗にして「さぁ、出番ですよ、起きてくださいリリーナ様」と眠る彼女を起こすと。目を覚ました彼女はうるさく喋りだした。
「あーシエルだ。呼ぶのが遅くて、寝ちゃったじゃない」
学園の頃と変わらない話し方、シエル先輩を呼び捨てにした……だけど、先輩は怒るどころか笑みをみせて。
「すみません。少々立て込んでおりまして、呼ぶのが遅くなりました……」
と頭を下げる。リリーナさんは綺麗になった自分の格好を見て喜び、周りを見てさらに声を上げた。
「ここは王城の教会じゃない? もしかして、この中の誰かとあたしが結婚するの? まさか、ラエルと?」
名を呼ばれた、ラエルさんは手を振り"ないない"と、笑顔で。
「君の相手は僕じゃないよ」
「そうなの? じゃあ!」
「もちろん、私でもありません。リリーナ様のお相手はカロール殿下です」
「……え、カロール? …………まっ、いいっか。元々、カロールと結婚するつもりだったし、贅沢な暮らしができる!」
贅沢ができる? 彼女は贅沢がしたいために……カロール殿下、その他の攻略対象者を攻略して……多くの人を傷つけた……許せないけど。カロール殿下がリリーナさんと結婚すれば、私を追うことも、探すことも――今日で終わる。
「では、この紙にリリーナ様の名前を書いて、ここに拇印を押してください」
リリーナさんは名と拇印を押した。あとは誓いのキスで2人の結婚式は終わりを迎える「起きてください、カロール殿下」と目を覚まさせた。
「んっ、ここは? あっ、リリーナ嬢? 俺は何をして……?」
「お忘れになったのですか? カロール殿下とリリーナ様の結婚式です。来場者はおりませんが国王陛下と王妃様がみずから、見届け人となられております。さきほど、誓いの書に署名も終わりました。さあ、誓いのキスを……」
「いや、俺はルーチ……」
私の名前を言う前に、リリーナさんがカロール殿下に抱きつく。
「カロール様~、私と結婚しましょう!」
「……ちっ、ちが……わない。なんて、幸せだ俺のリリーナ嬢」
「私もです、カロール様」
カロール殿下はカンタンにリリーナさんの魅力にかかり、二人は幸せそうに誓いのキスをした。先輩とラエルさんは大袈裟に手を叩く。
「おめでとうございます、カロール王太子殿下! リリーナ様!」
「おめでとうございます!」
私もこの結婚式を拍手で祝った。
先輩が花びらを巻き、喜んでカロール殿下とリリーナさんが教会からさり、残っていた国王陛下と王妃様も魔法で送った。
シエル先輩は「残るは、イアンか」といい、ラエルさんを呼んでコソコソ耳打ちして、楽しそうに2人で笑った。そして、何か魔法を唱えてイアンにコツンと杖を当てる。すると、イアンの姿がなんと……かわいらしい、女性に変わっていく。
「え、ええ? イアンが可愛い女性に変わった?」
「クク、コイツへの罰だな」
「ええ、罰ですね」
罰なら……仕方ないっかな。イアン、これから可愛い女性として生きていってね。
きっと、モテモテだよ。
「……え?」
長く尖った黒い爪、手から肘までしかない喋る腕が私に飛びつこうとした。私はガット君と子犬ちゃんを抱きしめた。頭の上にいた福ちゃんは前に飛び降り、みんなを守るために翼を広げた。
「「させるか! 【ボム!】」」
シエル先輩が杖を振り、丸く小さな爆弾をいくつか飛ばした。その飛んできた爆弾は私を襲おうとしていた、腕に次々と命中して『ボン、ボン、ボン!!!』と爆発した。
〈ギャァァァアアア、痛い、いたぁ………………!!〉
爆弾を食らった腕は弾末の悲鳴をあげ、真っ黒に焦げて床に落ちた。その腕を先輩と同じ杖を持つ、ラエルさんが見下ろした。
「フフ、兄貴の"ボム!"に簡単にやられるなんて、黒魔女は十年足らずで、僕達よりも弱くなったんじゃない? まっ、関係ないけど」
ラエルさんは懐から細長い布をだして、焦げた腕をぐるぐる巻にして、杖の先端を当て【封印】と唱える。グルグル巻きの細長い布に見たことがない、青い文字が浮かび消えていった。ラエルさんはそれを掴み木の箱にいれたあと、同じように布でグルグルまきにした。
「これでよし。兄貴、黒魔女の封印完了したよ」
「そうか、ありがとう、ラエル」
フウッとため息を吐き、シエル先輩は私を見て笑った。
「クク、お互い、すすけたな」
「……うん、すすけてるね……先輩、シエル先輩」
先輩の笑顔にホッとして、ストンとその場に尻餅をついた。よかったー、私を守ろうとしてくれる福ちゃん、ガット君と子犬ちゃんに怖がっていると気付かれないよう、気を張っていた力が抜けたみたい。
「お嬢?」
「ルーチェ姉さん」
「キュン?」
「ルー、大丈夫か?」
「ルーチェちゃん?」
みんなが近寄ってくる、私は腰が抜けたまま笑う。
「ありがとう、迎えにきてくれて……ほんとうは怖かったの、カロール殿下と結婚したくなかった…………ありがとう、シエル先輩、ラエルさん、福ちゃん、ガット君、子犬ちゃん」
「「どういたしまして!」」
+
先輩にワンピースを綺麗にしてもらったあと、説明を受けた「見たくなかったら、ウルラにガリタ食堂まで送らせる」と言ったけど、先輩に最後まで見ると伝えた――先に国王陛下と王妃様の魔法を解き、2人を眠らせて、私のところに戻り。
「悪いが、姿だけ変えるな」
コツンと杖を頭に当て、私をハムスターの姿に変えて肩に乗せた――そして、聖書台の誓約書を見れば国王陛下と王妃、保証人、カロール殿下の名と印がすでに押されていた。
それを見た先輩は何かを企む表情を浮かべ、杖の先端で床を叩き、何処からか、リリーナさんをここに呼び寄せた。現れた彼女はお昼寝中だったのか、眠った状態でこの場に現れる。
「え? リリーナさんのドレスがボロボロだけど、どこにいたの?」
「どこって……ルーは知らなくていいよ」
シエル先輩は彼女に声をかけることをせず、魔法でドレスを綺麗にして「さぁ、出番ですよ、起きてくださいリリーナ様」と眠る彼女を起こすと。目を覚ました彼女はうるさく喋りだした。
「あーシエルだ。呼ぶのが遅くて、寝ちゃったじゃない」
学園の頃と変わらない話し方、シエル先輩を呼び捨てにした……だけど、先輩は怒るどころか笑みをみせて。
「すみません。少々立て込んでおりまして、呼ぶのが遅くなりました……」
と頭を下げる。リリーナさんは綺麗になった自分の格好を見て喜び、周りを見てさらに声を上げた。
「ここは王城の教会じゃない? もしかして、この中の誰かとあたしが結婚するの? まさか、ラエルと?」
名を呼ばれた、ラエルさんは手を振り"ないない"と、笑顔で。
「君の相手は僕じゃないよ」
「そうなの? じゃあ!」
「もちろん、私でもありません。リリーナ様のお相手はカロール殿下です」
「……え、カロール? …………まっ、いいっか。元々、カロールと結婚するつもりだったし、贅沢な暮らしができる!」
贅沢ができる? 彼女は贅沢がしたいために……カロール殿下、その他の攻略対象者を攻略して……多くの人を傷つけた……許せないけど。カロール殿下がリリーナさんと結婚すれば、私を追うことも、探すことも――今日で終わる。
「では、この紙にリリーナ様の名前を書いて、ここに拇印を押してください」
リリーナさんは名と拇印を押した。あとは誓いのキスで2人の結婚式は終わりを迎える「起きてください、カロール殿下」と目を覚まさせた。
「んっ、ここは? あっ、リリーナ嬢? 俺は何をして……?」
「お忘れになったのですか? カロール殿下とリリーナ様の結婚式です。来場者はおりませんが国王陛下と王妃様がみずから、見届け人となられております。さきほど、誓いの書に署名も終わりました。さあ、誓いのキスを……」
「いや、俺はルーチ……」
私の名前を言う前に、リリーナさんがカロール殿下に抱きつく。
「カロール様~、私と結婚しましょう!」
「……ちっ、ちが……わない。なんて、幸せだ俺のリリーナ嬢」
「私もです、カロール様」
カロール殿下はカンタンにリリーナさんの魅力にかかり、二人は幸せそうに誓いのキスをした。先輩とラエルさんは大袈裟に手を叩く。
「おめでとうございます、カロール王太子殿下! リリーナ様!」
「おめでとうございます!」
私もこの結婚式を拍手で祝った。
先輩が花びらを巻き、喜んでカロール殿下とリリーナさんが教会からさり、残っていた国王陛下と王妃様も魔法で送った。
シエル先輩は「残るは、イアンか」といい、ラエルさんを呼んでコソコソ耳打ちして、楽しそうに2人で笑った。そして、何か魔法を唱えてイアンにコツンと杖を当てる。すると、イアンの姿がなんと……かわいらしい、女性に変わっていく。
「え、ええ? イアンが可愛い女性に変わった?」
「クク、コイツへの罰だな」
「ええ、罰ですね」
罰なら……仕方ないっかな。イアン、これから可愛い女性として生きていってね。
きっと、モテモテだよ。
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