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第二章 ストレーガ国までの帰路
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セレンス嬢に屋敷に帰れっと手を振り、こっちに来る、ノースお兄様と呼ばれた男性。彼のフワフワな蜂蜜色の髪が歩くたび揺れて、騎士服がとても似合っていた。
その男性は和かに笑い、シエルさんに手をあげ。
「よっシエル、元気してたかぁ?」
「ああ、元気にしていたよ。ところでノース……指揮官のお前が戻ってきていいのか?」
「んー、多分……大丈夫。だって僕達の辺境伯部隊はさぁ~他の部隊とは違って――王都の周りに待機しているだけて、やることがないんだもん」
軽い口調のノース様はシエルさんの横にいる、私を見てニッコリ微笑む――私は慌てて彼に頭を下げた。
「ごめんね、セレンスには幼馴染の婚約者がいるんだけど……母さんがさぁ、貴女ならもっと上の男性のところにお嫁に行けると言って育てたから……あーなった。魅了魔法なんて胡散臭い」
「うるさいですわ、お兄様!」
ほっぺを真っ赤にして、プクーッと膨らましたセレンス嬢。彼女を見ていると、ヒロインのリリーナさんを思い出した。
(あの子もよく膨らましていたわね)
「セレンス、お前がいつまでもその様子だと……婚約者で幼馴染のアーサー君にいつか捨てられるぞ! 彼は僕の副官として非常に努力しているし、魔力量だって魔法だって完璧だ! 最近、男らしくなったと女の子にモテている!」
「そんなの、嘘ですわ! アーサーはわたくしにベタ惚れですの!」
ノースお兄様、嫌い! と、泣きながらシャーロン辺境伯に抱きついた。やはり父親は娘に甘いらしくて――彼女を優しく抱きしめた。
「セレンス、聞きなさい。アーサー君はセレンスのことを大切に思っているよ。ノースも勝手なことを言うな、そろそろ隊の指揮を取りに王都へ帰るんだ!」
「はい、言われなくても戻りますよ。シエルと……」
「ノース辺境伯様、私はルーチェと言います」
「ルーチェちゃんか~また後で、王都で会おうね~」
と彼の使い魔なのか、ペガサスを魔法で出して跨ると、飛びたった。
「うわぁ、あれってペガサス? 私、初めてみたわ」
ペガサスに驚く私と。
笑う、シエルさん。
「クク、あいつ……格好をつけるために使い魔にペガサスを選んだんだな。まぁアイツらしいか――ルー、俺達もまんじゅうを買って戻ろう」
シャーロン辺境伯に挨拶をして戻ろうとしたが、セレンス嬢は諦めが悪く。着いてこようとするのをシャーロン辺境伯に止められていた。
辺境伯の屋敷を離れ、まんじゅうを買いに街に向かっている。
「セレンス嬢って、可愛い子だったね」
自分でもわかっているけど……シエルさんに嫌な聞き方をしてしまう。でも、シエルさんは別に気にしていないのか。
「そうか? ルーが言うならそうなんだな。俺とラエル、ベルーガは苦手だな……ノースと親父さんはいい人なんだけど……母親とセレンス嬢は不気味だ」
「不気味?」
「そ、不気味なんだ……なんて言ったらいいのかわからないが……苦手だし、ラエルは近寄りもしないぞ。セレンス嬢の婚約者、アーサーもそれに気付いて逃げようとしていたりしてな。クク」
意地悪く笑う、シエルさんが好きだな。
だから、誰にも見せたくない。
「シエルさん、ほら笑っていないで――早くおまんじゅうを買って、みんなのところに戻ろう」
「そうだな、ルー行こう!」
その男性は和かに笑い、シエルさんに手をあげ。
「よっシエル、元気してたかぁ?」
「ああ、元気にしていたよ。ところでノース……指揮官のお前が戻ってきていいのか?」
「んー、多分……大丈夫。だって僕達の辺境伯部隊はさぁ~他の部隊とは違って――王都の周りに待機しているだけて、やることがないんだもん」
軽い口調のノース様はシエルさんの横にいる、私を見てニッコリ微笑む――私は慌てて彼に頭を下げた。
「ごめんね、セレンスには幼馴染の婚約者がいるんだけど……母さんがさぁ、貴女ならもっと上の男性のところにお嫁に行けると言って育てたから……あーなった。魅了魔法なんて胡散臭い」
「うるさいですわ、お兄様!」
ほっぺを真っ赤にして、プクーッと膨らましたセレンス嬢。彼女を見ていると、ヒロインのリリーナさんを思い出した。
(あの子もよく膨らましていたわね)
「セレンス、お前がいつまでもその様子だと……婚約者で幼馴染のアーサー君にいつか捨てられるぞ! 彼は僕の副官として非常に努力しているし、魔力量だって魔法だって完璧だ! 最近、男らしくなったと女の子にモテている!」
「そんなの、嘘ですわ! アーサーはわたくしにベタ惚れですの!」
ノースお兄様、嫌い! と、泣きながらシャーロン辺境伯に抱きついた。やはり父親は娘に甘いらしくて――彼女を優しく抱きしめた。
「セレンス、聞きなさい。アーサー君はセレンスのことを大切に思っているよ。ノースも勝手なことを言うな、そろそろ隊の指揮を取りに王都へ帰るんだ!」
「はい、言われなくても戻りますよ。シエルと……」
「ノース辺境伯様、私はルーチェと言います」
「ルーチェちゃんか~また後で、王都で会おうね~」
と彼の使い魔なのか、ペガサスを魔法で出して跨ると、飛びたった。
「うわぁ、あれってペガサス? 私、初めてみたわ」
ペガサスに驚く私と。
笑う、シエルさん。
「クク、あいつ……格好をつけるために使い魔にペガサスを選んだんだな。まぁアイツらしいか――ルー、俺達もまんじゅうを買って戻ろう」
シャーロン辺境伯に挨拶をして戻ろうとしたが、セレンス嬢は諦めが悪く。着いてこようとするのをシャーロン辺境伯に止められていた。
辺境伯の屋敷を離れ、まんじゅうを買いに街に向かっている。
「セレンス嬢って、可愛い子だったね」
自分でもわかっているけど……シエルさんに嫌な聞き方をしてしまう。でも、シエルさんは別に気にしていないのか。
「そうか? ルーが言うならそうなんだな。俺とラエル、ベルーガは苦手だな……ノースと親父さんはいい人なんだけど……母親とセレンス嬢は不気味だ」
「不気味?」
「そ、不気味なんだ……なんて言ったらいいのかわからないが……苦手だし、ラエルは近寄りもしないぞ。セレンス嬢の婚約者、アーサーもそれに気付いて逃げようとしていたりしてな。クク」
意地悪く笑う、シエルさんが好きだな。
だから、誰にも見せたくない。
「シエルさん、ほら笑っていないで――早くおまんじゅうを買って、みんなのところに戻ろう」
「そうだな、ルー行こう!」
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