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6話
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七歳に戻った私は父に頼み、植物図鑑を買ってもらい、魔法使いの家庭教師を雇ってもらった。もちろん少しずつ毒にも慣れるために、微量を服用しながら。
そして、私に魔力があり、しかも風魔法が使えるなんて知らなかった。
この私が使える風魔法は、解毒草や毒草を乾燥させるのにうってつけだった。攻撃魔法には興味がない。覚えるのは、自分を守るための防御魔法と、補助魔法だけで十分。
勉強と魔法に励み、婚約者のことをすっかり忘れていた。
(あっ、そうでしたわ)
先月、十歳を迎えた私は婚約者カサロのことを思い出したついでに、伝えたいことがあったので、久しぶりにお茶会を開いた。
三日後、公爵家の屋敷へ、着飾って現れたカサロは相変わらず図々しかった。なんと、付き合っている男爵令嬢リボンをメイドに変装させ、連れてきたのだ。
(……本当に、むかつく)
メイド姿でうつむいているけれど、あれがリボンだとすぐに分かる。どう見ても不自然なのに、かつての私は、それに気づきもしなかった。
ただ、カサロを愛していた。
一度目の人生、私はカサロを溺愛していた。誰にも渡したくなくて、似合いもしない派手なドレスを着て、宝飾品や化粧に夢中になり、自分を飾ることばかり考えていた。
――その結果、彼に毒を盛られて命を落とした。死に戻ったあと、私はただ逃げることばかり考えていた。でも、本当は違う……前世の呪いに縛られていた。
死んでしまうのは、呪いのせいでもあるけど。ここまで婚約者に踏みにじられていたなんて、可笑しくなるほど私は愚かだった。
だって、いまテラス席で向かい合う婚約者のカサロは私を放置したまま、隣に立つメイド姿のリボンと楽しげに話している。テーブルの陰では、二人の手がしっかりと絡み合っているのが見えた。
(あほらし、こんなにも分かりやすいのに……恋に盲目だった私は、何も見えていなかったのね)
公爵家の庭園で、名目上は婚約者である私を置き去りにして、盛り上がる二人を眺めながら思う。こんな、つまらないお茶会を終わらせたい。
(カサロに伝えるべきことだけ伝えて、部屋に戻って読書がしたいわ)
⭐︎
このお茶会が始まってから、もう一時間ほど経ったかしら? 私は扇をぱっと開いて微笑んだ。
「カサロ様、楽しいお茶会でしたわ。お茶も飲み終わったようですし、そろそろお開きにいたしましょう」
席を立つと、カサロは慌ててリボンの手を離し、形式的な態度で立ち上がって頭を下げた。私も軽く会釈し、そのまま去ろうとしたが、思い出したように言葉を添える。
「そうでしたわ。私、王都立の学園へ入学するまで、家庭教師を雇いましたの。入学までは、そちらを優先したいので……月一のお茶会は、しばらく無しにいたしましょう。ごきげんよう」
「……え、はい。……わかりました。ごきげんよう、ローリス嬢」
カサロが再び頭を下げる横で、リボンは顔を伏せたまま、一言も発しなかった。その後、二人がどんな会話を交わしたとしても、もう、私には関係ない。
(五年後、学園に入学すれば、嫌でも浮気の証拠は集まる。その時に、婚約破棄を叩きつければいい)
今の私には、もっとやるべきことがある。
植物の勉強。毒。そして、呪いについて。
――そのための時間が、必要だ。
そして、私に魔力があり、しかも風魔法が使えるなんて知らなかった。
この私が使える風魔法は、解毒草や毒草を乾燥させるのにうってつけだった。攻撃魔法には興味がない。覚えるのは、自分を守るための防御魔法と、補助魔法だけで十分。
勉強と魔法に励み、婚約者のことをすっかり忘れていた。
(あっ、そうでしたわ)
先月、十歳を迎えた私は婚約者カサロのことを思い出したついでに、伝えたいことがあったので、久しぶりにお茶会を開いた。
三日後、公爵家の屋敷へ、着飾って現れたカサロは相変わらず図々しかった。なんと、付き合っている男爵令嬢リボンをメイドに変装させ、連れてきたのだ。
(……本当に、むかつく)
メイド姿でうつむいているけれど、あれがリボンだとすぐに分かる。どう見ても不自然なのに、かつての私は、それに気づきもしなかった。
ただ、カサロを愛していた。
一度目の人生、私はカサロを溺愛していた。誰にも渡したくなくて、似合いもしない派手なドレスを着て、宝飾品や化粧に夢中になり、自分を飾ることばかり考えていた。
――その結果、彼に毒を盛られて命を落とした。死に戻ったあと、私はただ逃げることばかり考えていた。でも、本当は違う……前世の呪いに縛られていた。
死んでしまうのは、呪いのせいでもあるけど。ここまで婚約者に踏みにじられていたなんて、可笑しくなるほど私は愚かだった。
だって、いまテラス席で向かい合う婚約者のカサロは私を放置したまま、隣に立つメイド姿のリボンと楽しげに話している。テーブルの陰では、二人の手がしっかりと絡み合っているのが見えた。
(あほらし、こんなにも分かりやすいのに……恋に盲目だった私は、何も見えていなかったのね)
公爵家の庭園で、名目上は婚約者である私を置き去りにして、盛り上がる二人を眺めながら思う。こんな、つまらないお茶会を終わらせたい。
(カサロに伝えるべきことだけ伝えて、部屋に戻って読書がしたいわ)
⭐︎
このお茶会が始まってから、もう一時間ほど経ったかしら? 私は扇をぱっと開いて微笑んだ。
「カサロ様、楽しいお茶会でしたわ。お茶も飲み終わったようですし、そろそろお開きにいたしましょう」
席を立つと、カサロは慌ててリボンの手を離し、形式的な態度で立ち上がって頭を下げた。私も軽く会釈し、そのまま去ろうとしたが、思い出したように言葉を添える。
「そうでしたわ。私、王都立の学園へ入学するまで、家庭教師を雇いましたの。入学までは、そちらを優先したいので……月一のお茶会は、しばらく無しにいたしましょう。ごきげんよう」
「……え、はい。……わかりました。ごきげんよう、ローリス嬢」
カサロが再び頭を下げる横で、リボンは顔を伏せたまま、一言も発しなかった。その後、二人がどんな会話を交わしたとしても、もう、私には関係ない。
(五年後、学園に入学すれば、嫌でも浮気の証拠は集まる。その時に、婚約破棄を叩きつければいい)
今の私には、もっとやるべきことがある。
植物の勉強。毒。そして、呪いについて。
――そのための時間が、必要だ。
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