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誠は死んだ
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◆◆◆◆◆
俺は美しい花畑で目覚めた。トラックにはねられた後の、美しい花畑。そこに横たわる俺・・しかも、裸だ。
「・・確実に死んだな」
相楽誠の人生は、あっけなく終わったらしい。トラックにはねられ即死だろうな。共にトラックにはねられた兼田蒼汰は、周辺には見当たらない。
「ふむ。蒼汰は地獄に行ったのかな?だって、こっちは確実に天国だよな。花畑だし、ん?」
上空に巨大な鳥が飛んでいた。俺はそれをぼんやりと見つめていたが。だが、それが鳥でないことに気がつき、俺は顔面蒼白になった。
「やべぇ、あれ飛竜だわ?え、こっち向かって来てる?まさか、ここは地獄なのか?飛竜に噛られる地獄とか、聞いたことないんだけどぉ」
俺は慌てて立ち上がり、飛竜から逃れようとした。だが、旋回しながら舞い降りる飛竜から、逃れられるはずもない。俺は逃れる事を諦め、その地にしゃがみこんだ。
「ひぇっーー食べないでぇーーー!」
飛竜の翼の羽ばたきに、一斉に花畑から花弁が舞い上がる。美しい花びらに彩られながら、飛竜が地面に降り立った。俺は花畑にしゃがんだまま、飛竜を観察した。すると、飛竜の上に人が乗っていた。
「・・竜騎士?」
ファンタスティックな存在の出現に、俺はびびりまくっていた。理解が追い付かない。その竜騎士が飛竜から降りて、こちらに近づいてきた。そして、花畑に隠れる俺に声を掛けてきた。
「君、大丈夫か?」
「え?」
「名前を聞いてもいいか?」
「あー、マコトです」
「マコトだな。では、マコト。たとえ人気がない場所でも、裸体になることは法により禁じられている。その事は知っているな?」
なにこの既視感。以前に、ゲーム内で自警団に捕まった時と同じ状態だ。うーむ。うーむ。
「何か事情があって、裸体になっているなら説明してくれないかな、マコト?」
嘘を付こう。
「あー、その。詐欺師さんが親切に話し掛けてくれて、会話が盛り上がって、握手して別れた後に・・持ち物が失くなっていました。ごめんなさい、見苦しい裸体を晒しまして」
「そういう事情か。了解した。マコトには罪はない。今すぐに、俺の服を貸すから待ってろ」
竜騎士は、飛竜から荷物を下ろすと、衣服を取り出し俺に渡してくれた。だが、サイズがでかすぎる。俺は上着だけを借りて着こんだ。太ももはギリ隠れてる。問題ないな。
「ありがとうございます、竜騎士さん。助かりました。できれば、お名前を教えて頂けますか?」
「俺の名は、タイタス = ランカスターだ」
「タイタス = ランカスター?」
何故か聞き覚えがあった。だが、こんなイケメンと面識はない。
「ああそうだ。タイタスと呼んでくれ。それよりも、マコト。その格好は不味いだろ?足を出してよいのは、女性と孕み子だけとの決まりがある。ズボンのサイズが合わなくても、身に付けてほしい」
「私は孕み子なので、生足OKです」
「えっ!?」
竜騎士が俺から距離を取った。そして、明らかに顔を赤らめる。ウブだな。だが、真剣な口調で、竜騎士が話し掛けてきた。
「失礼した。男だと思い込んで、対応してしまった。マコト、病院に連れてゆくので、飛竜に共に乗ってくれるかな」
竜騎士が俺に手を差し伸べてきた。いや、俺が飛竜に乗るの?嫌なんだけど。
◆◆◆◆◆
俺は美しい花畑で目覚めた。トラックにはねられた後の、美しい花畑。そこに横たわる俺・・しかも、裸だ。
「・・確実に死んだな」
相楽誠の人生は、あっけなく終わったらしい。トラックにはねられ即死だろうな。共にトラックにはねられた兼田蒼汰は、周辺には見当たらない。
「ふむ。蒼汰は地獄に行ったのかな?だって、こっちは確実に天国だよな。花畑だし、ん?」
上空に巨大な鳥が飛んでいた。俺はそれをぼんやりと見つめていたが。だが、それが鳥でないことに気がつき、俺は顔面蒼白になった。
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「・・竜騎士?」
ファンタスティックな存在の出現に、俺はびびりまくっていた。理解が追い付かない。その竜騎士が飛竜から降りて、こちらに近づいてきた。そして、花畑に隠れる俺に声を掛けてきた。
「君、大丈夫か?」
「え?」
「名前を聞いてもいいか?」
「あー、マコトです」
「マコトだな。では、マコト。たとえ人気がない場所でも、裸体になることは法により禁じられている。その事は知っているな?」
なにこの既視感。以前に、ゲーム内で自警団に捕まった時と同じ状態だ。うーむ。うーむ。
「何か事情があって、裸体になっているなら説明してくれないかな、マコト?」
嘘を付こう。
「あー、その。詐欺師さんが親切に話し掛けてくれて、会話が盛り上がって、握手して別れた後に・・持ち物が失くなっていました。ごめんなさい、見苦しい裸体を晒しまして」
「そういう事情か。了解した。マコトには罪はない。今すぐに、俺の服を貸すから待ってろ」
竜騎士は、飛竜から荷物を下ろすと、衣服を取り出し俺に渡してくれた。だが、サイズがでかすぎる。俺は上着だけを借りて着こんだ。太ももはギリ隠れてる。問題ないな。
「ありがとうございます、竜騎士さん。助かりました。できれば、お名前を教えて頂けますか?」
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