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第二部 シノ=アングル
第9話 ヤンを連れて
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◆◆◆◆◆
自室に戻るとヤンは机に向かい帳簿を付けていた。
「シノ、お帰りなさい。」
「ああ」
「帳簿で確認したいところがあって、見てもらえますか?」
俺は黙ってヤンに近づき帳簿を手に取ると、そのままページを閉じた。ヤンは不思議そうに俺を見上げてくるが、その視線を無視して帳簿を机に置く。
「シノ?」
「‥‥‥」
「シノ、どうしたの?」
「‥‥‥立て、ヤン」
「え?」
俺はヤンの腕を掴んで椅子から立たせると、耳元に顔を近づけ囁いた。
「今から公衆浴場にお前を連れて行く‥‥男娼に仕上げる為に」
「っ、男娼!?」
「しっ、大きな声を出すな」
「でも」
ヤンの言葉を封じる為に更に抱き寄せた。ヤンはビクリと肩を震わせたが抵抗する様子はない。
「安心しろ、ヤン。幼馴染のルートに頼んで、公衆浴場の裏口からお前を逃がしてやる」
「ちょっと待ってよ、シノ?どうして僕が逃げないと駄目なの?」
「お前が盗みを働いたからだ」
「っ、なにを!」
ヤンが俺から離れようとしたので、後頭部に手を回し肩口に顔を埋めさせた。
「真珠のカフスボタンは誰から貰った、ヤン?」
「誰って、ハルスさんさんから‥」
「親父から直接手渡されたのか?」
「え、それは違うけど」
「じゃあ、誰から貰った?」
「‥‥シノのお母様からだけど?」
やはり、母のカーラが絡んでいたのか。救いようのない母だ。親父からの愛情はとっくに冷めているのに、さらに怒りを買うような真似をして‥。
「親父はお前にカフスボタンを贈っていない。お前が身に付けているソレは母が盗み出した物だ」
「そんな‥‥どうして」
ヤンは目を見開き呆然と呟く。
「親父が可愛がるお前が気に入らなかったのだろうな。とにかく、お前が冤罪で罰せられるのだけは避けたい‥‥親父の手が回る前に逃げろ」
「待って、シノ。ハンスさんにちゃんと説明する。盗んでいないってちゃんと説明すれば、きっと分かってくれるよ!」
「無駄だ」
「どうして?」
「お前の出自がバレた」
「え?」
「親父は貴族を憎んでる。それが分かっていたのに、俺はお前をそばに留め置いてしまった。」
「シノ」
俺はヤンの顔を覗き込み口を開く。
「親父はお前が貴族だと気がついた時から、男娼に貶す機会を狙っていたのだと思う。でも、親父の身勝手な復讐に付き合う必要はない。」
「男娼にはなりたくない」
ヤンの声が震えていた。俺はヤンの頬を撫でて安心させる。
「うまく逃がしてやるから任せろ」
「‥‥うん」
「じゃあ、出掛けるぞ」
「いまから!?」
「ああ、今からだ」
俺はヤンから身を離すと、自室にある金目の物をかき集めて鞄に詰め込む。それをヤンに手渡すとそのまま自室を後にした。
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自室に戻るとヤンは机に向かい帳簿を付けていた。
「シノ、お帰りなさい。」
「ああ」
「帳簿で確認したいところがあって、見てもらえますか?」
俺は黙ってヤンに近づき帳簿を手に取ると、そのままページを閉じた。ヤンは不思議そうに俺を見上げてくるが、その視線を無視して帳簿を机に置く。
「シノ?」
「‥‥‥」
「シノ、どうしたの?」
「‥‥‥立て、ヤン」
「え?」
俺はヤンの腕を掴んで椅子から立たせると、耳元に顔を近づけ囁いた。
「今から公衆浴場にお前を連れて行く‥‥男娼に仕上げる為に」
「っ、男娼!?」
「しっ、大きな声を出すな」
「でも」
ヤンの言葉を封じる為に更に抱き寄せた。ヤンはビクリと肩を震わせたが抵抗する様子はない。
「安心しろ、ヤン。幼馴染のルートに頼んで、公衆浴場の裏口からお前を逃がしてやる」
「ちょっと待ってよ、シノ?どうして僕が逃げないと駄目なの?」
「お前が盗みを働いたからだ」
「っ、なにを!」
ヤンが俺から離れようとしたので、後頭部に手を回し肩口に顔を埋めさせた。
「真珠のカフスボタンは誰から貰った、ヤン?」
「誰って、ハルスさんさんから‥」
「親父から直接手渡されたのか?」
「え、それは違うけど」
「じゃあ、誰から貰った?」
「‥‥シノのお母様からだけど?」
やはり、母のカーラが絡んでいたのか。救いようのない母だ。親父からの愛情はとっくに冷めているのに、さらに怒りを買うような真似をして‥。
「親父はお前にカフスボタンを贈っていない。お前が身に付けているソレは母が盗み出した物だ」
「そんな‥‥どうして」
ヤンは目を見開き呆然と呟く。
「親父が可愛がるお前が気に入らなかったのだろうな。とにかく、お前が冤罪で罰せられるのだけは避けたい‥‥親父の手が回る前に逃げろ」
「待って、シノ。ハンスさんにちゃんと説明する。盗んでいないってちゃんと説明すれば、きっと分かってくれるよ!」
「無駄だ」
「どうして?」
「お前の出自がバレた」
「え?」
「親父は貴族を憎んでる。それが分かっていたのに、俺はお前をそばに留め置いてしまった。」
「シノ」
俺はヤンの顔を覗き込み口を開く。
「親父はお前が貴族だと気がついた時から、男娼に貶す機会を狙っていたのだと思う。でも、親父の身勝手な復讐に付き合う必要はない。」
「男娼にはなりたくない」
ヤンの声が震えていた。俺はヤンの頬を撫でて安心させる。
「うまく逃がしてやるから任せろ」
「‥‥うん」
「じゃあ、出掛けるぞ」
「いまから!?」
「ああ、今からだ」
俺はヤンから身を離すと、自室にある金目の物をかき集めて鞄に詰め込む。それをヤンに手渡すとそのまま自室を後にした。
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