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◆◆◆◆◆
「何故こうなった、大山?」
「すんません、オーナー」
桐谷竜一は、腐れ縁で風俗店の店長として雇っている大山隆に視線を送った。
「ガキは扱わない約束やったはずやぞ。破ったんか、大山?」
「ち、違います!」
大山は慌てた様子で否定する。そして、バスタブで、裸のまま気を失うガキを指差した。そのバスタブに、男が頭を突っ込んで死んでいた。
「マジで違います、桐谷さん!そこで死んでるのは、その子供の父親です。涼ちゃんがうんち漏らしたって言うから、シャワールーム貸したんです。それだけです」
「りょう?そのガキの名前か?」
「全ての原因は、涼ちゃんのうんちです!」
「はぁー。大山、クスリやってんのか?まあ、ええわ。それで、何でガキの親父は殺されてるんや?鈍器で後ろから殴られた感じやな?」
バスタブに湯はない。男の頭は殴られてへこみ、血がバスタブに流れこびりついていた。
「どないしましょ、桐谷さん。やっぱり、警察に通報した方がええでしょうか?」
「お前、俺を呼んどいて・・端から警察に通報する気なんかないやろ?で、死んでる男の名前は?」
「山村圭太。本人はヤクザやって名乗ってるけど、ただの素人です。こんなクソにしては、前科なしらしいですよ?世の中、おかしいですねぇ」
「前科なしか。ふん、しゃあないな。戸籍欲しいゆうてる顧客がおるから、こいつの戸籍渡すか。前科なしの戸籍が希望やから、まあええやろ。その金で遺体処理費用賄うか」
「ありがとうございます!あの、俺はクビやないですよね?」
「今後の働きによるな。こいつ殺した犯人の目星はついてるんか?」
大山がニヤリと笑ったので、桐谷は眉を上げた。大山を観察しつつ、口を開く。
「何や?」
「犯人なら判明してます。犯人は、従業員の鈴木浩介です」
「鈴木浩介?」
「そ、そうですけど・・何か?」
「うーん、意味わからん。で、鈴木は捕まえたんか?まさか、逃してないやろな?」
「・・捕り逃がしました」
「ほんまに役に立たん奴やな。鈴木浩介は、潜入捜査官の疑いありで、組で泳がしてた奴や」
「え、ほんまですか?麻薬捜査官ですか?」
「違う。麻薬捜査官とは別口や。しかし、人を殺したとなると、警察関係のモグラでも無かったんかもな?とにかく、はよ見つけだして捕まえろ。組に差し出す」
「あー、えーと。その・・」
「何や?」
「捕まえてます。まだ若いし筋肉が良い感じについてて、尻でちょっと遊びました。個室に閉じ込めてます。すみません、桐谷さん」
桐谷は頭を抱えそうになりやめた。こいつは昔からこういう奴だったと、桐谷は諦めた。
「大山・・いい加減にせんと殺すぞ」
「すんません。まじで、すんません」
桐谷は腕を組んで、バスタブで気を失うガキを見た。まだ、目覚める様子はない。
「忘れてた。ガキも何とかせなあかんな。けど、ガキが行方不明になったら、流石に警察も動くか?死体処理代に清掃代・・くそ、金掛かる!」
「警察は動かんと思いますよ。そのガキは戸籍なしですから。両親は内縁関係やったんですよ。それで、ガキができたんやけど面倒やから、出生届出してないってゆうてましたわ。だから、ガキは無戸籍です」
「無茶苦茶やな」
「無茶苦茶ですわ」
「無戸籍でも名前は、親につけてもらったみたいやな。・・『りょう』やったか、大山?」
桐谷が聞くと、大山はペロリと唇を舌で舐めた。嫌な癖だと思ったが、桐谷は黙っていた。
「山村涼です」
「やまむらりょう・・」
「桐谷さんの亡くなった息子さんと、同じ名前です。漢字も多分同じですわ。それで、このガキはどうします?無戸籍やし、色々利用できるとはおもうんですけどねぇ?やっぱり、ガキを飼ってくれる変態に売るのが一番ですかね?」
桐谷は舌打ちをして、大山を睨み付けた。
「最初から、俺を嵌めるつもりやったな?ほんま、お前は。涼か・・息子と同じ名前のガキが、変態に飼われるのはどうもあかんな。くそ、ガキを綺麗にして、俺のマンションに連れてこい。死体と犯人は、こっちで処理する」
「よろしくお願いします、オーナー!」
桐谷は連れだった部下に命じると、風俗店を後にした。
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