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想い出のお餅
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◆◆◆◆◆
伊右衛門の申し出は、散花にはありがたいものだった。だが、気がかりな事があり、踏ん切りがつかない。散花が迷っていると旦那が言葉を促す。
「なんや心配事でもあるんか、散花?」
「あの、その‥‥勃つかわかりません」
「「はっ?」」
旦那と弥太郎に同時に問われて、散花は俯いた。それでも、ゆっくりと説明する。
「私は男を抱いたことがないんです。だから、売られた子供を陰間に仕上げるには約不足なんです。指で後孔を拡張することは出来ますが、自身の陰茎で具合を見ることができないんです‥‥‥。」
「それやったら男を抱いたらいい。弥太郎、散花に尻を貸したれ」
旦那の提案に弥太郎が飛び上がる。そして額を畳に擦り付けて懇願した。
「そればっかりは堪忍して下さい。あ、こうしましよ!俺が散花のあれが勃つように厳しく訓練します!俺もちょうど回しの仕事をしたいと思っとったんです!」
弥太郎のあまりの慌て様に可笑しくなり、散花が笑い出すと太ももをばしりと叩かれた。痛いと叫ぶ散花の頭を弥太郎は左手で掴むと、思いっきり畳に押し付ける。
「旦那さま、二人で回しをさせて下さい。お願いします!」
弥太郎が必死に頼むので、散花も畳に額を付けてお願いした。やがて、伊右衛門が深いため息を付くと軽やかに笑い出した。
「よし、決めた。二人で回しをするといい。但し、1年後には独立して回しができるようになっとき。そやないと、クビにせなあかんからな。わかったか‥‥散花、弥太郎」
散花と弥太郎は同時に顔をあげて、まるで童子の様に返事した。
「「はい、旦那さま!」」
伊右衛門は不意に二人が陰間茶屋に売られてきた日の事を思い出していた。確かあの時はお餅を与えたら泣きながら食べたなと思い出す。旦那はちょっと笑って、棚から餅を取り出し二人に手渡した。
「ほら、しっかり食べて晏如よう気張りや」
「はい」
「はい、旦那さま」
二人は昔の様に餅にかぶり付くと、少し切なくも懐かしい気分になり涙ぐんだ。
◆◆◆◆◆◆
伊右衛門の申し出は、散花にはありがたいものだった。だが、気がかりな事があり、踏ん切りがつかない。散花が迷っていると旦那が言葉を促す。
「なんや心配事でもあるんか、散花?」
「あの、その‥‥勃つかわかりません」
「「はっ?」」
旦那と弥太郎に同時に問われて、散花は俯いた。それでも、ゆっくりと説明する。
「私は男を抱いたことがないんです。だから、売られた子供を陰間に仕上げるには約不足なんです。指で後孔を拡張することは出来ますが、自身の陰茎で具合を見ることができないんです‥‥‥。」
「それやったら男を抱いたらいい。弥太郎、散花に尻を貸したれ」
旦那の提案に弥太郎が飛び上がる。そして額を畳に擦り付けて懇願した。
「そればっかりは堪忍して下さい。あ、こうしましよ!俺が散花のあれが勃つように厳しく訓練します!俺もちょうど回しの仕事をしたいと思っとったんです!」
弥太郎のあまりの慌て様に可笑しくなり、散花が笑い出すと太ももをばしりと叩かれた。痛いと叫ぶ散花の頭を弥太郎は左手で掴むと、思いっきり畳に押し付ける。
「旦那さま、二人で回しをさせて下さい。お願いします!」
弥太郎が必死に頼むので、散花も畳に額を付けてお願いした。やがて、伊右衛門が深いため息を付くと軽やかに笑い出した。
「よし、決めた。二人で回しをするといい。但し、1年後には独立して回しができるようになっとき。そやないと、クビにせなあかんからな。わかったか‥‥散花、弥太郎」
散花と弥太郎は同時に顔をあげて、まるで童子の様に返事した。
「「はい、旦那さま!」」
伊右衛門は不意に二人が陰間茶屋に売られてきた日の事を思い出していた。確かあの時はお餅を与えたら泣きながら食べたなと思い出す。旦那はちょっと笑って、棚から餅を取り出し二人に手渡した。
「ほら、しっかり食べて晏如よう気張りや」
「はい」
「はい、旦那さま」
二人は昔の様に餅にかぶり付くと、少し切なくも懐かしい気分になり涙ぐんだ。
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