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アルフレート兄上の疾走
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◆◆◆◆◆
アルフレート兄上は僕を肩に担いだまま、教室を飛び出した。廊下に出た兄上はスピードを緩めることなく、全速力で走り出す。
「あ、兄上えぇーー!!」
「舌を噛む。黙っていなさい、ルチア」
何これ!何これ!?アルファ性の全速力半端ないし!いやいや、そんなことよりもだ!
なぜ、肩に担いだの、兄上!?下半身が前側で上半身が後側って、僕のお尻が弾んで兄上の頬を打ってるじゃないですか!しかも、バウンドするたびにペニスが刺激されるぅ~。
オメガ男子の扱いがひどい。お姫様抱っこ希望します。兄上、兄上!
「ん、ラケール?」
何てことだ!背後から、ラケールが全速力で追いかけてくる。しかも、アンリをお姫様抱っこしてる!羨ましい!なぜだぁー!主人公は自動的にお姫様抱っこされるのか?
「ラケールが追ってきているな。ルチア、このまま学生寮まで走る。俺の部屋に向かうが、それまでヒートを起こさないでくれよ?ルチアの発する桃の香りだけでも・・くらくらして走りにくい。全力で走らないと、ラケールに追いつかれる」
アルフレート兄上に、腐男子臭を指摘された!恥ずかしくて全身が火照る。僕には桃の香りなど感じない。フェロモンの匂いなら自分でも感じ取れる。だが、今はフェロモンは出てない。
アルファ性は匂いに敏感だから、腐男子臭さえも感じ取ってしまうのか?でも、今は変な妄想はしてないぞ?いや、常に何かしら腐っているが・・いや、した!学生寮の兄上の部屋のベッドの匂いを妄想した。兄上の青春の匂いを感じて色々腐った。
「あう、兄上のベッドが桃の原因でした!」
「俺のベッド?」
「兄上がわるいのですぅー!」
「そ、そうか。すまない」
校舎から飛び出したアルフレート兄上は、楽しそうに学園の中庭を疾走する。藪を巧みによけて軽やかに地面を跳ねる。
「よし、学生寮が見えてきた!ははっ、ラケールを振り切った。やはり、奴は貴族だな。庶民ならば、物は肩に担ぐものと知っている!」
悪役オメガは「物」認定されていた!
「兄上、楽しそうですね?」
「ああ、楽しいよ。久しぶりに、侯爵家子息の仮面が剥がれたからな。侯爵家に引き取られた頃、走るなと家庭教師によく鞭で叩かれた。貴族らしく振る舞えと言われてね。だが、俺は庶民出身者だ!たまには、全速力で走りたい。昔のようにな!貴族の生活は息苦しい。俺には庶民の暮らしが向いているようだ。貴族出自のルチアには、多分理解できないだろうけどな」
「・・兄上」
学生寮に突入しても、兄上の勢いは止まらない。階段を掛け上がるが、息を切らす様子もない。ぼくが乗り物酔いを起こす直前で、兄上はようやく足を止めた。兄上の自室に着いたようだ。
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アルフレート兄上は僕を肩に担いだまま、教室を飛び出した。廊下に出た兄上はスピードを緩めることなく、全速力で走り出す。
「あ、兄上えぇーー!!」
「舌を噛む。黙っていなさい、ルチア」
何これ!何これ!?アルファ性の全速力半端ないし!いやいや、そんなことよりもだ!
なぜ、肩に担いだの、兄上!?下半身が前側で上半身が後側って、僕のお尻が弾んで兄上の頬を打ってるじゃないですか!しかも、バウンドするたびにペニスが刺激されるぅ~。
オメガ男子の扱いがひどい。お姫様抱っこ希望します。兄上、兄上!
「ん、ラケール?」
何てことだ!背後から、ラケールが全速力で追いかけてくる。しかも、アンリをお姫様抱っこしてる!羨ましい!なぜだぁー!主人公は自動的にお姫様抱っこされるのか?
「ラケールが追ってきているな。ルチア、このまま学生寮まで走る。俺の部屋に向かうが、それまでヒートを起こさないでくれよ?ルチアの発する桃の香りだけでも・・くらくらして走りにくい。全力で走らないと、ラケールに追いつかれる」
アルフレート兄上に、腐男子臭を指摘された!恥ずかしくて全身が火照る。僕には桃の香りなど感じない。フェロモンの匂いなら自分でも感じ取れる。だが、今はフェロモンは出てない。
アルファ性は匂いに敏感だから、腐男子臭さえも感じ取ってしまうのか?でも、今は変な妄想はしてないぞ?いや、常に何かしら腐っているが・・いや、した!学生寮の兄上の部屋のベッドの匂いを妄想した。兄上の青春の匂いを感じて色々腐った。
「あう、兄上のベッドが桃の原因でした!」
「俺のベッド?」
「兄上がわるいのですぅー!」
「そ、そうか。すまない」
校舎から飛び出したアルフレート兄上は、楽しそうに学園の中庭を疾走する。藪を巧みによけて軽やかに地面を跳ねる。
「よし、学生寮が見えてきた!ははっ、ラケールを振り切った。やはり、奴は貴族だな。庶民ならば、物は肩に担ぐものと知っている!」
悪役オメガは「物」認定されていた!
「兄上、楽しそうですね?」
「ああ、楽しいよ。久しぶりに、侯爵家子息の仮面が剥がれたからな。侯爵家に引き取られた頃、走るなと家庭教師によく鞭で叩かれた。貴族らしく振る舞えと言われてね。だが、俺は庶民出身者だ!たまには、全速力で走りたい。昔のようにな!貴族の生活は息苦しい。俺には庶民の暮らしが向いているようだ。貴族出自のルチアには、多分理解できないだろうけどな」
「・・兄上」
学生寮に突入しても、兄上の勢いは止まらない。階段を掛け上がるが、息を切らす様子もない。ぼくが乗り物酔いを起こす直前で、兄上はようやく足を止めた。兄上の自室に着いたようだ。
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