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衝動
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彼は驚愕していた。何気なく眺めていたTVのモニターに突如飛び込んできた映像は、彼、いや、彼以外の日本中のこの映像を見ていたすべての人間を絶望の淵へと叩き落すには十分であった。
ひとまず、そこに何が映し出されていたか簡潔に書くとするならば、こうだ。
「身長2メートルを超える巨大なオナホールが街の男性を襲い精液を絞り尽くしている。」
無論、この説明でこの状況を理解できる人間は一握りにも満たないだろう。なので、詳しい状況を執筆させて頂くことにする。
彼がモニターを眺めていた時、突如画面が切り替わったかと思うと、
「 突然ですが緊急ニュースをお伝えします。 」
アナウンサーが淡々とそう告げると、青ざめた表情でこう続けた。
「 ◯◯街で、巨大なアダルトグッズが通行人を襲っています。尚、このアダルトグッズの正体は不明、狙われているのは主に男性とのこと。近くを歩行中の皆様は今すぐに安全な場所へ避難してください。繰り返します… 」
彼は状況が理解できずぽかんとしていると、映像が切り替わった。
そこに映し出されていたのは、職業柄、彼のよく見慣れた物体が、男性の快楽を求めるためだけに作られたフォルムに、あろうことか歪極まりない手足を生やし、時速160キロを越えるかとおもわれるほどの速度で、通行人に襲いかかっている姿であった。
その物体は一人の20代半ばだと思われる痩せ型の青年を捉えたかと思うと、その体の頭部と思われる部分を青年の陰部に突き刺した。そしてそのまま激しく振動をした。
青年はまるで鶏を絞めたかのような悲痛な叫び声を上げたかと思うと、ガクッと首を下ろし、そのまま動かなくなった。
その物体は対象の獲物が動かなくなったのを確認すると、
「 タイショウノ、セイメイキノウノテイシヲカクニン。ツギノターゲットヲロックオンシマス。 」
と機械的な声で呟いた。そして次の瞬間、目にも留まらぬ速さで動いたかと思うと、全速力で逃走していた別の男性を捉えた。そして先ほどと同じ悍ましい行為をその男性にも繰り返すと、また別の標的を見つけて走り出した。
彼には、この物体の正体がうっすらとわかっていた。
せいしっ子政策が実施されて2年ほど経ったある日、彼がこの業界の重鎮と呼ばれ出し、彼自身も自分の悲劇の人生を受け入れた頃、
ある男優が、こんな噂をしていた。
「 なぁ、知ってるか。最近莫大な研究費用を得て異様なまでの勢いで開発を進めているアダルト会社があるだろ。あぁそうだ。そのオーガニズム社なんだが…、風の噂だが何やら妙な実験を行ったらしい。
確か、アダルトグッズに人工知能を植え付けて究極の性処理道具にするとかなんとか…。そこで、国からもらった研究費用の6割を消費して人工知能の発明に成功したらしいんだか…。そこまではいいんだ。ただ、最近そのアダルトグッズが研究所からこぞって逃げ出したらしい………。
そりゃもう社員たちは大慌てよ。なんせ、まだ、完成した人工知能に与えた大きな命令は、男性の精子を絞り尽くせ、くらいのもんだったらしい。奴ら人工知能を持ってんだ。何やらかすかわかったもんじゃねぇ。アダルトグッズが人を襲ったなんて事件があった日にゃあ、会社は終わりだからな。だからこの不祥事は、社員たちの中でもみ消されたらしいぜ。絶対に口外しないよう全員に口止めをしてな。
ただ、噂が噂を呼んでこんな体を売りもんにしてる俺たちのところまで流れてきたらしい。まあ結局俺たちアダルトグッズに近い部分もあるからな。まあそんなことはどうでもいいんだが、俺は近々おもしれぇもんが見れるんじゃねえかって、ガラにもなくわくわくしてんだ。 」
あの当時は、何を馬鹿な事を言っているんだ。所詮は噂。現実はもっと単純な話にすぎない、そう思っていたのに、本当の現実は噂のさらに上をいっていた。
なんと皮肉なことか。アダルトグッズ達は、「 精子を絞り尽くせ 」 の命令をなにをはき違えたのか、あの、大女優のような容姿や香りを手にし、男性に妖艶な魅力で迫り来る究極の娼婦の様な存在になるのではなく、
または極上の締まり心地で人々を快楽の頂点へ誘うわけでもなく、ただひたすらに、人々の精魂尽きるまで精液を貪り尽くす殺人兵器へと変貌を遂げていたのだ。
彼はおぞましいほどの恐怖を感じでいた。それはこの地獄としか言い表しようのない悲惨なこの現状を見てではなく、また、これから起こるであろう結末。このまま国がこの物体がを止められない場合、迎えるであろう最悪の可能性、
日本の男性の消滅。
その未来を想像してのことでもなく、彼は彼自身に恐怖をしていたのだった。
彼は、その物体をみて、その歪で常人なら見ただけで嗚咽を漏らす様なその奇怪極まりないそのフォルムをみて………
彼は勃起をしていた。
ひとまず、そこに何が映し出されていたか簡潔に書くとするならば、こうだ。
「身長2メートルを超える巨大なオナホールが街の男性を襲い精液を絞り尽くしている。」
無論、この説明でこの状況を理解できる人間は一握りにも満たないだろう。なので、詳しい状況を執筆させて頂くことにする。
彼がモニターを眺めていた時、突如画面が切り替わったかと思うと、
「 突然ですが緊急ニュースをお伝えします。 」
アナウンサーが淡々とそう告げると、青ざめた表情でこう続けた。
「 ◯◯街で、巨大なアダルトグッズが通行人を襲っています。尚、このアダルトグッズの正体は不明、狙われているのは主に男性とのこと。近くを歩行中の皆様は今すぐに安全な場所へ避難してください。繰り返します… 」
彼は状況が理解できずぽかんとしていると、映像が切り替わった。
そこに映し出されていたのは、職業柄、彼のよく見慣れた物体が、男性の快楽を求めるためだけに作られたフォルムに、あろうことか歪極まりない手足を生やし、時速160キロを越えるかとおもわれるほどの速度で、通行人に襲いかかっている姿であった。
その物体は一人の20代半ばだと思われる痩せ型の青年を捉えたかと思うと、その体の頭部と思われる部分を青年の陰部に突き刺した。そしてそのまま激しく振動をした。
青年はまるで鶏を絞めたかのような悲痛な叫び声を上げたかと思うと、ガクッと首を下ろし、そのまま動かなくなった。
その物体は対象の獲物が動かなくなったのを確認すると、
「 タイショウノ、セイメイキノウノテイシヲカクニン。ツギノターゲットヲロックオンシマス。 」
と機械的な声で呟いた。そして次の瞬間、目にも留まらぬ速さで動いたかと思うと、全速力で逃走していた別の男性を捉えた。そして先ほどと同じ悍ましい行為をその男性にも繰り返すと、また別の標的を見つけて走り出した。
彼には、この物体の正体がうっすらとわかっていた。
せいしっ子政策が実施されて2年ほど経ったある日、彼がこの業界の重鎮と呼ばれ出し、彼自身も自分の悲劇の人生を受け入れた頃、
ある男優が、こんな噂をしていた。
「 なぁ、知ってるか。最近莫大な研究費用を得て異様なまでの勢いで開発を進めているアダルト会社があるだろ。あぁそうだ。そのオーガニズム社なんだが…、風の噂だが何やら妙な実験を行ったらしい。
確か、アダルトグッズに人工知能を植え付けて究極の性処理道具にするとかなんとか…。そこで、国からもらった研究費用の6割を消費して人工知能の発明に成功したらしいんだか…。そこまではいいんだ。ただ、最近そのアダルトグッズが研究所からこぞって逃げ出したらしい………。
そりゃもう社員たちは大慌てよ。なんせ、まだ、完成した人工知能に与えた大きな命令は、男性の精子を絞り尽くせ、くらいのもんだったらしい。奴ら人工知能を持ってんだ。何やらかすかわかったもんじゃねぇ。アダルトグッズが人を襲ったなんて事件があった日にゃあ、会社は終わりだからな。だからこの不祥事は、社員たちの中でもみ消されたらしいぜ。絶対に口外しないよう全員に口止めをしてな。
ただ、噂が噂を呼んでこんな体を売りもんにしてる俺たちのところまで流れてきたらしい。まあ結局俺たちアダルトグッズに近い部分もあるからな。まあそんなことはどうでもいいんだが、俺は近々おもしれぇもんが見れるんじゃねえかって、ガラにもなくわくわくしてんだ。 」
あの当時は、何を馬鹿な事を言っているんだ。所詮は噂。現実はもっと単純な話にすぎない、そう思っていたのに、本当の現実は噂のさらに上をいっていた。
なんと皮肉なことか。アダルトグッズ達は、「 精子を絞り尽くせ 」 の命令をなにをはき違えたのか、あの、大女優のような容姿や香りを手にし、男性に妖艶な魅力で迫り来る究極の娼婦の様な存在になるのではなく、
または極上の締まり心地で人々を快楽の頂点へ誘うわけでもなく、ただひたすらに、人々の精魂尽きるまで精液を貪り尽くす殺人兵器へと変貌を遂げていたのだ。
彼はおぞましいほどの恐怖を感じでいた。それはこの地獄としか言い表しようのない悲惨なこの現状を見てではなく、また、これから起こるであろう結末。このまま国がこの物体がを止められない場合、迎えるであろう最悪の可能性、
日本の男性の消滅。
その未来を想像してのことでもなく、彼は彼自身に恐怖をしていたのだった。
彼は、その物体をみて、その歪で常人なら見ただけで嗚咽を漏らす様なその奇怪極まりないそのフォルムをみて………
彼は勃起をしていた。
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