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伝説の装備編
第十八話「しつこい営業は違法です」
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「快適な旅だったな」
魔導列車の窓からは様々な景色が見えた。
山あり谷あり川あり森あり。
これが徒歩だったらと思うとゾッとする。
「ここはカジノの町と比べると、かなり田舎だな」
町の規模は小さく、周辺を山や森に囲まれている。
「遠くまで来ましたからね。東京から愛知に来たようなものです」
これはメイ個人の感想です。
俺は愛知いいと思います。
……新幹線で通過したことしかないけど。
「そういや、ここの口コミの3件ってどんなこと言われてたんだ?」
目的地をここに決める前に聞いとくべきだったか?
今ごろになって気になったんだからしょうがない。
「こんな感じです」
そう言うと、メイはメモを見せてくれる。
『変な爺さんが話しかけてきた』
『孫に頼まれて行ってみましたが、よくわかりませんでした』
『行ったことないけど、あまりよくなかった』
ホントに、ここか『ぶぶる』しか選択肢無かったの!?
「ちなみにこれしか情報はないので、装備が武器なのか防具なのか、はたまたアクセサリーなのかわかりません。あとどうすれば入手できるかもわからないので、村人にインタビューしてみましょう」
第一村人発見!?
これならもう一つの装備の方が、情報も多くて楽だったかもな……
「ふぉふぉふぉ。お二人さん、お困りかな?」
突然、背は低いがガッシリとした体つきの爺さんが話しかけてきた。
「いえ、必要ありません」
こういう勧誘や押し売りは、しっかりと否定しないとつけ込まれる。
"結構です"
"大丈夫です"
"いいです"
こういった曖昧な言葉は、肯定の意味に受け取られ、『あっ、お時間大丈夫ですか、ありがとうございます!』なんて言われてしまう。
俺はメイとカイを連れて、その場を離れようとする。
「伝説の装備について……じゃろ?」
「あんたは……」
不敵に笑う爺さん。
「……口コミにあった変な爺さんだな!?」
俺の指摘に、爺さんは口をあんぐりと開け、驚愕の表情を見せる。
当たりか。
「なんじゃと!? 運営に金を積んで削除要請したのに、まだ消えておらんのか!」
「そんな不正してるから、口コミ数が極端に少なかったんだな!?」
ネット社会の闇を垣間見てしまった。
「口コミと低評価のせいで、全然客が来なくなってしまったのじゃ。じゃからこうして駅前で勧誘してるんじゃが、変な爺さんとか言われてさらに低評価がついてしまってのぅ」
こっちに来たのはハズレだったのでは……?
「だから私は初めから『ぶぶる』の方をおすすめしていましたのに……」
「わふ……」
「カイ様も『ぼくもぶぶるの方がいいと思ってたわん……』と申しております」
くっ……確かにメイは初めから、そっちをめちゃくちゃおすすめしてくれていた。
だがカイ、お前は飯抜きだ。
「ですが、情報がなくて困っていたところに、このお爺様は渡りに船。第一村人から当たりを引きましたね」
当たり……なのか……?
チラッと爺さんの方を見ると、白い歯を見せこちらに向けてサムズアップしていた。
メイに目を戻すと、こちらは無表情でサムズアップしていた。
カイに視線を落とすと……カイに親指ってあるのか?
……カイは自分のしっぽを追いかけ、ぐるぐる回っていた。
爺さんの親指が1、メイの親指も1、カイはぐるぐる回ってるのを上から見ると0。
「つまりこの暗号は、警察を呼べってことか……!」
「いえ、『い(1)い(1)お(0)じいさま』です」
「語呂合わせヘタか!?」
はぁ……そもそもは俺の決断が招いた事態だ、仕方ない。
さっさと爺さんから話を聞いて、ダメそうだったら次に行こう。
「失礼しました。お話を聞かせてもらってもいいですか? 爺さん、いやえっと……」
「シグルじゃ」
「シグルさん。俺はマサヨシ、こっちはメイで、こっちはカイ」
俺は仲間を軽く紹介する。
「話をするのはいいのじゃが……」
すると、シグルさんは何か言いづらそうに、口をもごもごし始める。
やはり重い事情があるのだろうか。
シグルさんの可愛い孫が、評判の悪いお偉いさんに見初められてしまい、縁談を断ったところ嫌がらせを受け、口コミも悪評をつけられてしまっている、とか。
しばらくするとその重い口を開く。
魔導列車の窓からは様々な景色が見えた。
山あり谷あり川あり森あり。
これが徒歩だったらと思うとゾッとする。
「ここはカジノの町と比べると、かなり田舎だな」
町の規模は小さく、周辺を山や森に囲まれている。
「遠くまで来ましたからね。東京から愛知に来たようなものです」
これはメイ個人の感想です。
俺は愛知いいと思います。
……新幹線で通過したことしかないけど。
「そういや、ここの口コミの3件ってどんなこと言われてたんだ?」
目的地をここに決める前に聞いとくべきだったか?
今ごろになって気になったんだからしょうがない。
「こんな感じです」
そう言うと、メイはメモを見せてくれる。
『変な爺さんが話しかけてきた』
『孫に頼まれて行ってみましたが、よくわかりませんでした』
『行ったことないけど、あまりよくなかった』
ホントに、ここか『ぶぶる』しか選択肢無かったの!?
「ちなみにこれしか情報はないので、装備が武器なのか防具なのか、はたまたアクセサリーなのかわかりません。あとどうすれば入手できるかもわからないので、村人にインタビューしてみましょう」
第一村人発見!?
これならもう一つの装備の方が、情報も多くて楽だったかもな……
「ふぉふぉふぉ。お二人さん、お困りかな?」
突然、背は低いがガッシリとした体つきの爺さんが話しかけてきた。
「いえ、必要ありません」
こういう勧誘や押し売りは、しっかりと否定しないとつけ込まれる。
"結構です"
"大丈夫です"
"いいです"
こういった曖昧な言葉は、肯定の意味に受け取られ、『あっ、お時間大丈夫ですか、ありがとうございます!』なんて言われてしまう。
俺はメイとカイを連れて、その場を離れようとする。
「伝説の装備について……じゃろ?」
「あんたは……」
不敵に笑う爺さん。
「……口コミにあった変な爺さんだな!?」
俺の指摘に、爺さんは口をあんぐりと開け、驚愕の表情を見せる。
当たりか。
「なんじゃと!? 運営に金を積んで削除要請したのに、まだ消えておらんのか!」
「そんな不正してるから、口コミ数が極端に少なかったんだな!?」
ネット社会の闇を垣間見てしまった。
「口コミと低評価のせいで、全然客が来なくなってしまったのじゃ。じゃからこうして駅前で勧誘してるんじゃが、変な爺さんとか言われてさらに低評価がついてしまってのぅ」
こっちに来たのはハズレだったのでは……?
「だから私は初めから『ぶぶる』の方をおすすめしていましたのに……」
「わふ……」
「カイ様も『ぼくもぶぶるの方がいいと思ってたわん……』と申しております」
くっ……確かにメイは初めから、そっちをめちゃくちゃおすすめしてくれていた。
だがカイ、お前は飯抜きだ。
「ですが、情報がなくて困っていたところに、このお爺様は渡りに船。第一村人から当たりを引きましたね」
当たり……なのか……?
チラッと爺さんの方を見ると、白い歯を見せこちらに向けてサムズアップしていた。
メイに目を戻すと、こちらは無表情でサムズアップしていた。
カイに視線を落とすと……カイに親指ってあるのか?
……カイは自分のしっぽを追いかけ、ぐるぐる回っていた。
爺さんの親指が1、メイの親指も1、カイはぐるぐる回ってるのを上から見ると0。
「つまりこの暗号は、警察を呼べってことか……!」
「いえ、『い(1)い(1)お(0)じいさま』です」
「語呂合わせヘタか!?」
はぁ……そもそもは俺の決断が招いた事態だ、仕方ない。
さっさと爺さんから話を聞いて、ダメそうだったら次に行こう。
「失礼しました。お話を聞かせてもらってもいいですか? 爺さん、いやえっと……」
「シグルじゃ」
「シグルさん。俺はマサヨシ、こっちはメイで、こっちはカイ」
俺は仲間を軽く紹介する。
「話をするのはいいのじゃが……」
すると、シグルさんは何か言いづらそうに、口をもごもごし始める。
やはり重い事情があるのだろうか。
シグルさんの可愛い孫が、評判の悪いお偉いさんに見初められてしまい、縁談を断ったところ嫌がらせを受け、口コミも悪評をつけられてしまっている、とか。
しばらくするとその重い口を開く。
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