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伝説の装備編
第十九話「マヨネーズの歴史は意外と浅い」
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「……話をするのはいいんじゃが、ちこぉっと気持ちというかチップというか……」
世の中結局、金!
「そうですよね、タダってわけにはいかないですよね。……これくらいしかないので申し訳ないのですが……」
「おぉ、すまんのう。そうそうこれじゃ。パリパリとして、ほどよい塩味で……って、これはチップスじゃ!」
ちっ、これじゃ誤魔化せないか。
「すみません、間違えました。あのボールが投げられなくなるという……」
「そうじゃそうじゃ、プレッシャーやエラーなどが原因の心理的な……って、それはイップスじゃ!」
なかなかやるな……!
「すみません、間違えました。あのドイツなどでよく飲まれている蒸留酒の……」
「そうじゃそうじゃ、寒い時にはこれをストレートでキュッと……って、それはシュナップスじゃ!」
酒に詳しいな……!
「すみません、間違えました。あの丈が短い洋服の……」
「そうじゃそうじゃ、韓国のアイドルが着てそうな……って、なんじゃそれは!?」
勝った……!!
ちなみに正解はクロップドトップスだ。
もはや全然チップと関係ない。
「……わしの負けじゃ。それでは話してやろうかのぅ。何を隠そう、わしはかの有名なドワーフ族でな」
はい。背が低くて、マッチョで、酒に詳しいのでそうじゃないかと思ってました。
装備といえばドワーフだしね。
剣を打ったり、金属の細工をしたり。
「では、シグルさんが伝説の装備を作ってくださると……?」
「まぁ、そう焦るでない。確かにわしも『全国ドワーフランキング1000』で496位に入ったこともある腕前だがの」
低……いのかどうかも判断できないランキングだが、少なくとも伝説の装備を作れるレベルではなさそうだ。
やっぱりハズレか……
「わが一族に代々伝わる伝説の装備があるのじゃが」
おっと、流れが変わったぞ。
「伝承にはこうある。『王都に光の柱立ち、東よりドラゴン飛び去る。その後、高速に動く箱よりメイドと犬を連れた勇者降り立つ。真の勇者ならば試練を突破し、わが一族に認められるだろう。その暁には、伝説の装備を授けるべし』と」
"王都に光の柱立ち"
これは俺が召喚された時に起きた現象だろう。
"東よりドラゴン飛び去る"
これはカジノの町で出合ったドラゴンだな。
"高速に動く箱"
これは魔導列車のことか。
"メイドと犬を連れた"
これはメイとカイだ。
ふむ。
完璧に俺の現在の状況と言い伝えが一致している。
今作ったかのような、なんというご都合主義な伝承だ。
「この試練というのは?」
「とても厳しく、とても危険で、誰も乗り越えた者はおらん。その試練とは……」
「その試練とは……?」
いや、そんな溜めなくていいですよ。
大体、こういうフリの時はそうでもない、くだらない内容なんだから。
もう何度も経験してますから、こっちも学習しますよ。
「……わしが認める酒と肴を用意することじゃ!」
ほらねー!!
「ただの酒飲みじゃねーか!?」
「いや、これは本当にドワーフ族の間で代々受け継がれてきた、神聖な試練なんじゃ!」
ドワーフの酒好きは有名だから、こんなことだろうと思った。
良い酒を飲むための口実に使われてるな。
金はあるから良い酒と肴買って、それでクリアだ。
「じゃあ、その辺の店で買ってきますので、少々お待ち下さい」
「待つのじゃ! この辺の店で買える酒はもう飽き……いや、ドワーフキュンキュンポイント、略してDKPが足りんのじゃ!」
「デーカーペー!?」
はっ! ついドイツ語が出てしまった。
てか、今完全に飽きたって言いそうでしたよね?
9割方言ってましたよね?
「酒は森にある妖精の泉で手に入るという妖精酒を」
また難しそうなものを。
手に入る"という"ってことは、実際手に入るかどうかわからないってことだろ?
酒好きのドワーフも飲んだことない酒だから、過去に成功者がいないんだな。
そりゃ評価が星1.8になるわ。
逆に1.8も付いてるのが優しすぎる。
「肴はここらには存在しない、わしが食べたことのない、激レアなやつを頼む」
存在しなかったら無理じゃん!!
……と思った?
これは現代知識チートの出番ですね!
知識チートといえば、定番のマヨネーズだよな。
「マサヨシ様、マヨネーズは存在します」
……あと定番といえばハンバーグだな!
「それもあります。肉をミンチにするくらい、思いつきますよ」
……じゃ、じゃあカレーだ!
これなら複雑だからいけるだろ。
「あ、それは私が広めました」
メイさん!? 何してくれてんの!?
「それでは頼んだのじゃ……じゅる……!」
シグルさん、もう酒と肴のこと考えてヨダレ垂らしてる!?
とらたぬですよ!!
こうして酒と肴を探す強制イベントが始まった。
世の中結局、金!
「そうですよね、タダってわけにはいかないですよね。……これくらいしかないので申し訳ないのですが……」
「おぉ、すまんのう。そうそうこれじゃ。パリパリとして、ほどよい塩味で……って、これはチップスじゃ!」
ちっ、これじゃ誤魔化せないか。
「すみません、間違えました。あのボールが投げられなくなるという……」
「そうじゃそうじゃ、プレッシャーやエラーなどが原因の心理的な……って、それはイップスじゃ!」
なかなかやるな……!
「すみません、間違えました。あのドイツなどでよく飲まれている蒸留酒の……」
「そうじゃそうじゃ、寒い時にはこれをストレートでキュッと……って、それはシュナップスじゃ!」
酒に詳しいな……!
「すみません、間違えました。あの丈が短い洋服の……」
「そうじゃそうじゃ、韓国のアイドルが着てそうな……って、なんじゃそれは!?」
勝った……!!
ちなみに正解はクロップドトップスだ。
もはや全然チップと関係ない。
「……わしの負けじゃ。それでは話してやろうかのぅ。何を隠そう、わしはかの有名なドワーフ族でな」
はい。背が低くて、マッチョで、酒に詳しいのでそうじゃないかと思ってました。
装備といえばドワーフだしね。
剣を打ったり、金属の細工をしたり。
「では、シグルさんが伝説の装備を作ってくださると……?」
「まぁ、そう焦るでない。確かにわしも『全国ドワーフランキング1000』で496位に入ったこともある腕前だがの」
低……いのかどうかも判断できないランキングだが、少なくとも伝説の装備を作れるレベルではなさそうだ。
やっぱりハズレか……
「わが一族に代々伝わる伝説の装備があるのじゃが」
おっと、流れが変わったぞ。
「伝承にはこうある。『王都に光の柱立ち、東よりドラゴン飛び去る。その後、高速に動く箱よりメイドと犬を連れた勇者降り立つ。真の勇者ならば試練を突破し、わが一族に認められるだろう。その暁には、伝説の装備を授けるべし』と」
"王都に光の柱立ち"
これは俺が召喚された時に起きた現象だろう。
"東よりドラゴン飛び去る"
これはカジノの町で出合ったドラゴンだな。
"高速に動く箱"
これは魔導列車のことか。
"メイドと犬を連れた"
これはメイとカイだ。
ふむ。
完璧に俺の現在の状況と言い伝えが一致している。
今作ったかのような、なんというご都合主義な伝承だ。
「この試練というのは?」
「とても厳しく、とても危険で、誰も乗り越えた者はおらん。その試練とは……」
「その試練とは……?」
いや、そんな溜めなくていいですよ。
大体、こういうフリの時はそうでもない、くだらない内容なんだから。
もう何度も経験してますから、こっちも学習しますよ。
「……わしが認める酒と肴を用意することじゃ!」
ほらねー!!
「ただの酒飲みじゃねーか!?」
「いや、これは本当にドワーフ族の間で代々受け継がれてきた、神聖な試練なんじゃ!」
ドワーフの酒好きは有名だから、こんなことだろうと思った。
良い酒を飲むための口実に使われてるな。
金はあるから良い酒と肴買って、それでクリアだ。
「じゃあ、その辺の店で買ってきますので、少々お待ち下さい」
「待つのじゃ! この辺の店で買える酒はもう飽き……いや、ドワーフキュンキュンポイント、略してDKPが足りんのじゃ!」
「デーカーペー!?」
はっ! ついドイツ語が出てしまった。
てか、今完全に飽きたって言いそうでしたよね?
9割方言ってましたよね?
「酒は森にある妖精の泉で手に入るという妖精酒を」
また難しそうなものを。
手に入る"という"ってことは、実際手に入るかどうかわからないってことだろ?
酒好きのドワーフも飲んだことない酒だから、過去に成功者がいないんだな。
そりゃ評価が星1.8になるわ。
逆に1.8も付いてるのが優しすぎる。
「肴はここらには存在しない、わしが食べたことのない、激レアなやつを頼む」
存在しなかったら無理じゃん!!
……と思った?
これは現代知識チートの出番ですね!
知識チートといえば、定番のマヨネーズだよな。
「マサヨシ様、マヨネーズは存在します」
……あと定番といえばハンバーグだな!
「それもあります。肉をミンチにするくらい、思いつきますよ」
……じゃ、じゃあカレーだ!
これなら複雑だからいけるだろ。
「あ、それは私が広めました」
メイさん!? 何してくれてんの!?
「それでは頼んだのじゃ……じゅる……!」
シグルさん、もう酒と肴のこと考えてヨダレ垂らしてる!?
とらたぬですよ!!
こうして酒と肴を探す強制イベントが始まった。
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