【完結】RPGっぽい異世界に丸腰で!?~嫁のアニメが始まるまでに魔王を倒して帰ります~

後藤権左ェ門

文字の大きさ
19 / 50
伝説の装備編

第十九話「マヨネーズの歴史は意外と浅い」

しおりを挟む
「……話をするのはいいんじゃが、ちこぉっと気持ちというかチップというか……」

 世の中結局、金!

「そうですよね、タダってわけにはいかないですよね。……これくらいしかないので申し訳ないのですが……」
「おぉ、すまんのう。そうそうこれじゃ。パリパリとして、ほどよい塩味で……って、これはチップスじゃ!」

 ちっ、これじゃ誤魔化せないか。

「すみません、間違えました。あのボールが投げられなくなるという……」
「そうじゃそうじゃ、プレッシャーやエラーなどが原因の心理的な……って、それはイップスじゃ!」

 なかなかやるな……!

「すみません、間違えました。あのドイツなどでよく飲まれている蒸留酒の……」
「そうじゃそうじゃ、寒い時にはこれをストレートでキュッと……って、それはシュナップスじゃ!」

 酒に詳しいな……!

「すみません、間違えました。あの丈が短い洋服の……」
「そうじゃそうじゃ、韓国のアイドルが着てそうな……って、なんじゃそれは!?」

 勝った……!!
 ちなみに正解はクロップドトップスだ。
 もはや全然チップと関係ない。

「……わしの負けじゃ。それでは話してやろうかのぅ。何を隠そう、わしはかの有名なドワーフ族でな」

 はい。背が低くて、マッチョで、酒に詳しいのでそうじゃないかと思ってました。
 装備といえばドワーフだしね。
 剣を打ったり、金属の細工をしたり。

「では、シグルさんが伝説の装備を作ってくださると……?」
「まぁ、そう焦るでない。確かにわしも『全国ドワーフランキング1000』で496位に入ったこともある腕前だがの」

 低……いのかどうかも判断できないランキングだが、少なくとも伝説の装備を作れるレベルではなさそうだ。
 やっぱりハズレか……

「わが一族に代々伝わる伝説の装備があるのじゃが」

 おっと、流れが変わったぞ。

「伝承にはこうある。『王都に光の柱立ち、東よりドラゴン飛び去る。その後、高速に動く箱よりメイドと犬を連れた勇者降り立つ。真の勇者ならば試練を突破し、わが一族に認められるだろう。その暁には、伝説の装備を授けるべし』と」

 "王都に光の柱立ち"
 これは俺が召喚された時に起きた現象だろう。

 "東よりドラゴン飛び去る"
 これはカジノの町で出合ったドラゴンだな。

 "高速に動く箱"
 これは魔導列車のことか。

 "メイドと犬を連れた"
 これはメイとカイだ。

 ふむ。
 完璧に俺の現在の状況と言い伝えが一致している。
 今作ったかのような、なんというご都合主義な伝承だ。

「この試練というのは?」
「とても厳しく、とても危険で、誰も乗り越えた者はおらん。その試練とは……」
「その試練とは……?」

 いや、そんな溜めなくていいですよ。
 大体、こういうフリの時はそうでもない、くだらない内容なんだから。
 もう何度も経験してますから、こっちも学習しますよ。

「……わしが認める酒と肴を用意することじゃ!」

 ほらねー!!

「ただの酒飲みじゃねーか!?」
「いや、これは本当にドワーフ族の間で代々受け継がれてきた、神聖な試練なんじゃ!」

 ドワーフの酒好きは有名だから、こんなことだろうと思った。
 良い酒を飲むための口実に使われてるな。
 金はあるから良い酒と肴買って、それでクリアだ。

「じゃあ、その辺の店で買ってきますので、少々お待ち下さい」
「待つのじゃ! この辺の店で買える酒はもう飽き……いや、ドワーフキュンキュンポイント、略してDKPが足りんのじゃ!」
「デーカーペー!?」

 はっ! ついドイツ語が出てしまった。
 てか、今完全に飽きたって言いそうでしたよね?
 9割方言ってましたよね?

「酒は森にある妖精の泉で手に入るという妖精酒を」

 また難しそうなものを。
 手に入る"という"ってことは、実際手に入るかどうかわからないってことだろ?
 酒好きのドワーフも飲んだことない酒だから、過去に成功者がいないんだな。

 そりゃ評価が星1.8になるわ。
 逆に1.8も付いてるのが優しすぎる。

「肴はここらには存在しない、わしが食べたことのない、激レアなやつを頼む」

 存在しなかったら無理じゃん!!
 
 ……と思った?
 これは現代知識チートの出番ですね!

 知識チートといえば、定番のマヨネーズだよな。

「マサヨシ様、マヨネーズは存在します」

 ……あと定番といえばハンバーグだな!

「それもあります。肉をミンチにするくらい、思いつきますよ」

 ……じゃ、じゃあカレーだ!
 これなら複雑だからいけるだろ。

「あ、それは私が広めました」

 メイさん!? 何してくれてんの!?

「それでは頼んだのじゃ……じゅる……!」

 シグルさん、もう酒と肴のこと考えてヨダレ垂らしてる!?
 とらたぬですよ!!

 こうして酒と肴を探す強制イベントが始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~

鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。 そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。 母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。 双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた── 前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

処理中です...