【完結】RPGっぽい異世界に丸腰で!?~嫁のアニメが始まるまでに魔王を倒して帰ります~

後藤権左ェ門

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伝説の装備編

第二十三話「好きなタイプほど当てにならないものはない」

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 俺達はカラフル5人組と別れ、またまた一本道を歩いていた。
 流石にそろそろ疲れてきたんだが、あとどのくらいかかるのだろうか……

「なぁクヴァス、あとどれくらいかかるんだ?」
「あとちょっとだと思うわさ」

 "あとちょっと"は、大抵あとちょっとじゃない。
 逆に"まだまだ続く"は、まだまだ続かない。
 すぐ終わる。ホントにすぐ終わる。

 あと、"いい人なんだけど"は、全然いい人と思ってない。
 いい人だと思うなら、付き合ってくれよ!

 それと好きなタイプが"おもしろい人"とか"やさしい人"とか言うやつ。
 "顔が良くておもしろい人"と"顔が良くてやさしい人"の間違いだろうが!

 はぁはぁ……
 はっ! 素数を数えて落ち着かないと。
 2、3、5、7、11、13、17、19、23……
 あれ? 57って素数だっけ……?
 確か素数だよな。
 よし、落ち着いた。

「あっ、最後の選択が見えてきたわさ」
「なんで最後ってわかるんだ?」
「なんでって……」

 クヴァスは前方を指差す。

「あそこの看板に書いてあるわさ」
「とっても親切!?」

 クヴァスの指差す先を見ると、本当に『最後の選択』と看板に書いてあるのが見える。
 そこは行き止まりのようで、道はどこにも通じていない。
 今来た道も閉ざされてしまったようで、もう戻ることはできない。
 看板と魔法陣があるだけの空間に閉じ込められた形だ。

 長かった迷いの森も、ようやく最後か。
 俺、この最後の選択をクリアしたら、妖精の泉でお茶するんだ。
 しかし、最後の選択というからには、これまでより危険な選択を迫られる可能性が高いだろう。

「みんな、最後の選択だから気を引き締めていくぞ」

 俺はみんなを見回し、真剣に声を掛ける。
 俺、なんか勇者っぽい。

「はい。とてもためになるお言葉」

 うんうん。
 そうだろう、そうだろう。

「ですが、最後の選択は代表の1人が挑戦するみたいですよ」
「マジで!?」

 そんな話聞いてないよ!
 最初の選択はメイのおかげだし、さっきの選択はクヴァスにトロッコに押し込まれて、よくわからない内にクリアしてたし。
 それこそ俺1人だったら、迷いの森で迷死してたかもしれん。

 ……他の人に挑戦してもらう、という手もあるか……?

「ちなみに、誰が挑戦する?」
「それは」

 クヴァスが俺を見る。

「もちろん」

 メイが俺を見る。

「わふわふわん」

 カイが俺を見る。

「ですよねー」

 今日の星座占い何位だったかなー?
 あとラッキーカラーとラッキーアイテムも教えて欲しい。
 あ、でも異世界だから星の動きも違うかも。
 てか、結局へびつかい座ってどうなったんだ?
 俺、12星座だと獅子座だけど、13星座だと蟹座になっちゃうから死活問題なんだが。
 踏み潰されたカニは嫌だ、踏み潰されたカニは嫌だ……
 まぁ、獅子座のライオンも絞め殺されるんだけどね。 

「ほらほら、無駄な足掻きはやめて早くいくわさ」

 クヴァスが俺を押す。

「今回はどんな選択なんだ?」
「そこの魔法陣に代表が入るみたいですよ」

 メイも俺を押す。

「わふ!」

 カイも俺を押す。

「わ、わかったから、押すなって」

 結局、どんな選択が現れるのか事前情報無しか!?

 みんなに押され、魔法陣にじりじりと近付いていく。
 ジェットコースターが落ちる直前、じりじりとレールを登っている時のような、そんな緊張感だ。

「早く行くわさ!」

 ドンッ!

 クヴァスに思いっきり押され、たたらを踏む。

 ブゥンッ!

 魔法陣に片足が着いた瞬間、俺の見ていた景色は一変した。
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