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第五話 ドラゴンとオーク巫女と
しおりを挟むオークの集団が近づいて来るのを洞窟前の広場で待っている。
女勇者は洞窟からちょっと入った通路付近に退避させている、加勢する気満々だったが幼女がいるからオークが入って来ないように見張っててくれと説得済みだ。
周りで戦う女勇者を巻き込まない様に戦える自信がないし、手助けが必要な程自信がない訳がない。
暗黒龍さんのカッチョイイ所ば見せちゃるけんのう!
しかしオーク集団に妙な物が見える、武装したオークが5人づつ前後に別れて陣形を組んでいるのは昨日通りだが、中央には御輿を前後左右で1匹づつ担いだオークが合計4匹
担がれた御輿に座った、西洋修行僧のローブみたいな服を着てフードを目深に被っているおそらくオークであろう1匹・・・合計15匹だ
何匹かは頭に包帯の布を巻いていたり負傷していたりと昨日のオーク集団なのは間違いないようだ
それよりもこの光景が、生前テレビを見てた時に似ていたのだがこれじゃまるで・・・
「龍王よ!我等の話をどうか聞いて頂きたく申し上げます!」
広場の中央に陣取ると集団の代表者らしきオークが、敬礼らしきものをしながら、龍王らしき俺に話しかけてきた。
代表者の後ろでは御輿を下してその周りに背負って来た食料や宝石の入った籠を並べている
準備が整ったのか御輿に座っているオーク以外が全員下がって跪き始めた、見事な手際だ。
「御清聴感謝します!我等が王よ!この度は先日、王の所有物に手を出そうとした無礼をお許し頂こうと貢物を持参した所存に御座います!」
テキパキと動く集団に口が挟めなかっただけだが・・・
そう・・・これではまるで・・・・どこかの部族の結婚式のようだ・・・・
おそらく貢物ってのは今並べられている、あの籠の中身と顔の見えないオークの事なんだろう
俺はお前等の族長にも王にもなった覚えはないぞ・・・・
豚人間の嫁とかマジ勘弁!
案の定、自分達の事を許してね!奴隷にして煮ても焼いてもいいから忠誠の証にローブのオークをどうぞ!って事を言っている。
どうも、俺が幼女を助けた事がネジ曲がって解釈されてる件といい、イキナリ貢物で人身御供差し出して来る辺り、思い立ったら一直線らしい・・・猪かよ!
・・・豚だったわ・・・・
早く誤解を解かないと面倒な事になりそうだ・・・・
「あ~別に怒ってないし、貢物を貰う様な事じゃないから持って帰ってくれないか?」
「なっ!?なんと!お気に召しませんでしたか!?」
あれ?気に入る・入らないじゃなくて怒ってない事がスルーされてない?
仕方ない・・・ここは相手を刺激しない様に諭す様に声を掛けよう
俺はゆっくりと一歩づつ警戒させないよう近づいていく
「いやいや、お互いに不幸な勘違いがあったが貢がせて謝罪をされるような事じゃない」
「ひっ!?」
おかしい、凄い警戒されてる上に腰が引けててメチャクチャ顔が青ざめ始めている・・・・
近づいた分だけ離れていく、動かないのは御輿に座ったオークだけで、後ろのオーク達も震えながら後ずさりしている・・・・俺の話聞いてるよね・・・?
結局、距離の埋まらないまま貢物の置いてある場所まで来てしまった
「皆この森に棲む仲間じゃないか!」
「ヒイイィィィーーー!!」
「う、うわーーーーー!!」
「た・・・・・助けてッ!」
「ギャース!ギャース!!」
ついにはパニックを起こし始めるオーク達・・・・
俺の話を聞け・・・聞けばわかる・・・・
「あの「キィィヤアアァァァーー!!」「死にたくない!死にたくなーい!」「おがーざーん!おがぁーざぁーん!」「ギャース!ギャース!ギャース!!」」
「話を「Aieeeeeeeee!!!」「アイエエエェェェ!ドラゴン!?ドラゴンナンデ!?」「アババババババババ」「ギャース!ギャース!ギャース!ギャース!!」」
「話を聞けえええええええええええぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーー!!」
・・・叫びが咆哮となってオーク14匹を森の彼方へブッ飛ばした・・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オーク達が消えていった方角に目眩を覚えつつ、ゼーハーと息を整えて後ろを振り向くとフードを被ったオークは相変わらず動いていない、洞窟の方から女勇者が走ってくる
「なぁ、そのオーク生きてるのかな?」
「・・・寝ているようですね・・・・」
不安で尋ねる俺に、オークのフードの中を覗き込んだ女勇者が答える。
寝てるのかよ!フード被った奴は全員寝てる異世界なのかココは!?
「どうやら魔法で眠らされているようです、解除してみますね」
女勇者が多才で助かった、眠り姫の次は眠り豚を抱え込む羽目になる所だった
呪文の様なモノを唱え始めた後、女勇者の手が光り出し、フードの中の額へと手をかざす
「ん・・・ん~~~・・・・」
先程の騒動でも動かなかった小山が動き出す
身体をほぐす様に伸びをすると被っていたフードが背中へと落ちる
赤い長髪を三つ編みにした、先ほどのオーク達とは明らかに違う丸みを持ったオークだった
鼻も豚鼻ではなく、人間の鼻がちょっと上に向いている位でオークよりも人間に近い顔立ちだ。
「ここは・・・?あっ・・・あ~」
目を開けキョロキョロと辺りを見渡す仕草が可愛い、女勇者から俺の順で見て状況を判断したのだろう
居住まいを正して俺に頭を下げてくる
「初めまして、暗黒龍様。村の奴等がどうなろうと知った事じゃありませんが、私を食べるなら苦しまない様一思いにお願いします」
深々と頭を下げてるのにトゲと物騒な事を一片にぶっこんで来る・・・食べないから!
頭を上げさせて楽にする様に言ってから説明を促すとこの状況を説明してくれた
どうやら、オークの村で巫女をしている彼女は「西から赤い災厄が接近しているので排除せよ」という宣託を受けた
お告げの通り向かってみると赤い本を持った人間が一人いたので、この事なのかと審議してる所に俺、参上!
けが人が出る始末に暗黒龍が関係していた、宣託の解釈ミスなんじゃないか、赤い災厄はお前の赤毛じゃないのかと言い掛かりを掛けられ
終いには責任問題に発展し、詰め腹を切らされる形で生贄にさせられて自暴自棄になった彼女は自分で睡眠魔法を掛け今に至るらしい
彼女としては、解釈ミスなんかはないらしいし、
周りと違う容姿を散々馬鹿にしてきた上に、巫女なんて役職を推し付けてきて失敗したら死んでも構わないと言い出す村に最後の愛想も尽きたので戻る気はないそうだ
社畜だった俺でもドン引きのブラック社会だ、彼女に同情すら覚えるが厄介ごとに首を突っ込んだら向こうからもやって来た事実に眉間を押さえる
大丈夫だ・・・問題ないとか言った奴誰だよ!?俺だよ!!
大丈夫じゃなかった!問題だった!フラグ回収乙!
「巫女なら回復魔法のエキスパートですから、彼女にあの子を診てもらってはいかがでしょうか?」
へこんでいた所に女勇者の建設的な意見で前向きになる
全く、美人で・気立てが良くて、おっかさんが病気とか三種の神器を兼ね備えた女勇者の帯をクルクルしたいのう、ホッホッホよいではないかよいではないか
「私に出来ることなら何でも・・・あの、私を食べないなら村の奴等全員食べませんか?何なら滅ぼしてくれても・・・・」
やだ・・・このオーク巫女コワイ、可愛い顔して目がマジだわ・・・・
一緒に来た連中は俺が吹き飛ばした事を伝えるとすこし溜飲が下がったのか
「フフッ・・・ザマァ・・・・」と冷たく笑っていた・・・・・・
慈悲はないね!ナムアミダブツ!
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