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第30話 アンコウとケジメと
しおりを挟む俺の銃の強化なんだが難航している……嫌、強化は順調なんだ………
イキナリ何言ってんだ?と思うだろうが強化自体は上手くいっている。いき過ぎてどこまでも弄れて際限がない
ミスリルになった事で魔力回路の効率が良くなり、まずリロード時間が大幅に短縮した。発射効率も上がったので有効射程距離が50メートル迄上がった、其処までは順調だった
魔石自体も質の良い物に変わって魔玉石になっている
魔石は純度の高い物になっていくと魔玉石、魔宝石、魔結晶と名を変えていくと教えて貰った
容量が大きくなった事により、装弾数を上げるか威力を上げるか、まずそこで悩みが始まった。弾幕か一撃か、好みが別れる問題でもある
装弾数が同じ威力だと倍の12発になったので、一発の威力を倍にして6発のままにするか……どっちにするか悩む事小一時間
結局、装弾数9発・威力1.5倍というなんとも中間に着地する優柔不断を発揮して、その調整に四苦八苦
そして属性魔石があるのは知っていたのだが、魔石に魔力を通すだけなので俺にも魔法もどきがミスリル銃を使えば撃てるのだ
炎魔石だったら火炎弾、光魔石だったら回復弾などだ……
属性魔石は全部で炎・水・風・土・雷・氷・光・闇に無属性の9種類である
どれも一長一短があり、どれを装填するか非常に迷ってる内に朝が来て出発まで後二日となった
迷っていても仕方ないので、その日は無属性のままダンジョンに向かい43層で終了、帰ってきて思いついた事を試す
魔石をセレクタ式に選べる様にリボルバー式の回転弾倉を作ってみる事にした、弾倉の魔石が変わる事によって全属性を装填してみたが、これの調整にまた夜なべして、出発まで後一日となる
44層で2・3度戦った時点で気付いたのだが……というか、作る前の時点で気付いているべきだったのだが……9個も魔石をセットしていたらセレクタの調節が面倒くさい事この上なかった……
敵の弱点に併せて属性を変えれるのは便利なのだが、一回毎にカチカチカチカチ
敵が変わる度にカチカチカチカチ……嘘みたいだろ、作ってる最中は超名案じゃん!天才だな俺!とか思ってたんだぜ……
結局、その後9割を無属性のまま使っていたのだが、前日のどの属性魔石を使うか迷ってる間の手慰みに作っていた、俺の爪で作ったダガーを銃に付けるアタッチメントを試してみた
新たに銃剣となった俺のハンドガン……これは大成功だった
基本銃を撃ちながら突撃して格闘する俺に、銃剣突撃はすこぶる相性が良かった。なんせ射撃と格闘しかなかった俺に斬撃と刺突がついたので選択肢の幅が一気に広がった
重量もほぼ変わらず、接近戦の能力が倍化し、掛かった手間はリボルバーの10分の1程度……
銃に剣付けるとかwwwなんて半分洒落で作っていたのだが、凄いな銃剣……オールラウンド武器じゃん、舐めた口きいてスンマセンでした……
なんて悉く思惑を外した2日目が終わり出発当日
また色々と改良を施したので改悪になってない事を祈るばかりであるが、今は別れの時である
「それでは行ってきます、大姉さん」
「ああ、すまないね。本当は一緒に行きたいんだが、どこから聞きつけたか国の方から復帰の催促がしつこくてね……色々と手続きが面倒な事になりそうだよ……これも戦術級である事のしがらみさね」
「研究者にアヴェスタの事を聞くだけだから危険は無いと思うし大丈夫よ、心配しないで!」
「おばあちゃま、いってくるね……さみしくなあい?」
「凄く寂しい!アンリちゃん、おばあちゃん待ってるから早く無事に帰って来るんだよ!」
相変わらずスゲーなアンリ、恐ろしい子……大姉さんすら篭絡していたのか……俺とユウメへの別れもそこそこに抱き合う二人、孫と認めてくれて甘々の様だ
「婿殿、ウチのひよっ子を頼んだよ。ゴールドになってもまだ未熟者だ、足手まといなら三下り半突きつけて構わないよ」
「もう!大姉さんっ!」
「それは困ります、ユウメがいないと俺は何も出来ないんで」
「ふぁ!?///」
「おや?珍しい、婿殿が惚気かい?」
「ずっと思ってた事ですよ、ユウメがいてくれたから今の俺があるんですから」
そう、本心からそう言える……
ユウメと出会っていなければ、人と繋がる事なく俺は今でも森の中だ。ユウメがいなければ俺はアンリを連れて帰る事が出来なかった
ユウメが来てくれるから、俺に何度負けても来てくれるユウメがいたから、俺はアンリを巣穴まで運べた
ユウメがいなかったら、俺は安全地帯にアンリを運び、放り込む事も出来ないまま見捨てる事しか出来なかった
安全とは言えない中途半端な場所で、投げ出す勇気も持てずに後悔したまま見捨てる選択肢しか選べなかった
俺がユウメを女勇者だと呼んでいたのは、その容姿からだけじゃない
何度倒れても立ち上がる勇気なんて、普通の人間は持っていない。大きな困難に転んでも、また立ち上がれる奴は英雄だ。絶望を希望に替える事の出来る奴は勇者だ
俺が希望を捨てないでいられたのは勇者の存在だ
そんな俺が大姉さんから希望を奪うのだ、大姉さんには男としてのケジメを……俺が嫁を貰う事をもう一度言っておかねばならない
アンドンの俺だが、可愛い娘の行く末を照らせる行燈であり続けたいと思う男である事を
義母として、アンリを受け入れてくれた祖母として、俺達の家族として、人として尊敬出来る大姉さんに宣言せねば義理が立たない
「まだまだ未熟者の俺ですが、ユウメを守る力は持っているつもりです。必ずユウメやアンリやオミやエルナ……勿論、大姉さんも守れる男になりますよ!だから今は行ってきます、義母さん!」
「ははっ!そいつはいいねぇ!婿殿はモテモテだ、うかうかしてられないよ!ユウメ!私の娘は私に似て負けず嫌いなんだろ?」
「……うんっ!うん!勿論よ、母さん!大姉さんの妹、私の母親を思って自分を母と呼ばせないのは分かってる!でも今は……今だけは母さんって呼ぶからね!」
「しょうがないねぇ……可愛い孫の前で大泣きしてるんじゃないよ、あんたも母親になるんだからねぇ!」
「大姉さんこそ私の娘の前でボロ泣きじゃない!」
「ユウメちゃん、おばあちゃま。どこかいたいの?わたし、かいふくまほうもつかえるよ?」
皆、本当の家族ではないが本物の家族になった3人が抱き合ってる姿は俺も胸が熱くなる……爺様に斬りかかられて、なし崩しになっていた所にキッチリと責任も取れて肩の荷が下りホッとする
落ち着いた所で見渡すと、オミとエルナも貰い泣きしている
「素敵でしたよ、アンコウ様!」
「さすがです!親方様!」
二人からも祝福とようやく『さすおや』言って貰えた俺は合格点だったようだ
いずれ二人とはどうなるか分からないが、今考える事じゃない。勿論、皆を守る決意に変わりはないが、まだ嫁と娘で手一杯だからな!
「よし!それじゃ学術都市まで新婚旅行と行きますかァ!」
まだ先の見えない旅路じゃあるが、不発に終わっても問題ない!
転んでも、また立ち上がればいいだけだ!
世のお父さんは泣きながらでも歯ぁ食いしばって戦わなきゃいけないしな!
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これにて第二部完
連載開始から1か月経ちました、皆さまからの反応が何よりも励みになります
ご意見・ご感想・お気に入り、常にお待ちしています
最初の思いつきよりも長引いて、やたら設定が増えてますがもうしばらくお付き合いお願いします
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