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第34話 思いと覚悟と進展?と
しおりを挟む「アンコウちゃん、おきて!あさだよ~」
「……んんっ……おお……」
二度寝したら寝すぎた様だ、ユウメもアンリもすっかり着替えて準備完了している
「まだ寝坊助さんですね。はい、これをどうぞ」
ユウメが微笑みながら俺に洗面道具一式を渡してくる……このやり取りは新婚夫婦っぽいなと、昨晩の失態を忘れる様な気恥ずかしさがある
まだ頭がハッキリしないが、受け取って水道のある部屋迄行き、朝の身だしなみ一式の作業を行う
お湯の出ない生活にもすっかり慣れたもんだ、冷たい水で歯磨き・洗顔をする内に目も覚めてくる
「ユウメ、アンリ」
俺は戻って二人に声を掛ける、まだおはようすら言って無かったな
挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてある
挨拶をしないのはタイヘンシツレイな事なのである
「はい?」
「はいっ!」
アンリの上着を着せていたユウメがこちらを向いて、アンリは元気良くお返事をする……油断しおったな!
―――照準、合わせ。撃ち方、用意。撃て!―――
俺は素早く身を屈め膝を付いて、アンリと同じ高さになっていたユウメの唇に照準をセットして一気に上空からユウメに迫る!……触れ合う、唇と唇……まだ軽くに留めておくけどな
「おはよう!」
ニッと俺の凶悪なスマイルが披露されるが、ユウメは一瞬の出来事に呆気に取られている……が、状況を理解し始めたのか顔が真っ赤になっていく
「あ、あ、あ///……うわああぁぁぁぁぁんッ!!//////」
昨日の盗賊の3倍以上の速さで部屋から脱兎の如く出ていく赤いほっぺのユウメ……一緒に寝ても、まだこの距離感だと近すぎたらしい
まぁ、慌てる事じゃない。昨日は無敵の武将且つ軍師アンリの策で必要以上に狼狽えてしまった俺だが、いい年したオッサンだった。当然、童貞でもない。ガッツイて醜態晒す様な事はしないのだ
今はこのもどかしいやり取りを楽しむとしよう……まだもうちょい我慢出来るだろ、多分……
アンリにはデコチュー爆撃を行ったら、地対空からの頬に反撃を倍返しされてしまった
一撃で戦線崩壊したユウメ軍と違って、アンリ戦線は難攻不落である。やはり、子供は無敵だ
その後は朝食を取り、亡くなった人達の別れの儀式を済ませ、俺達は出発の運びとなった
その間、真っ赤なユウメが目を合わせようとしないのは制空権を取った代償という事にしておいた……今も、にいさんの御者する一番大きな馬車でアンリと乗っている
そして俺はというと、丁稚の少女が御者する最後尾の馬車でオミとエルナに戦後裁判にかけられている所である。勿論、そんな大げさなモンじゃないが……
「なるほど……思っていた程ではありませんが、前進はしたのですね……」
「あ、あ、朝から接吻ですか///すごく恋人同士ですね、羨ましいですユウメ姉様//////」
一応夫婦同士なんだが、この世界に戸籍は無く籍に入る云々はないので、お互いが認めてしまえば夫婦なのである。恋人同士との境目は曖昧だが、エルナには刺激が強かった様だ……揺れている耳が真っ赤である
「まぁな、これ以上進むと近づく事すら出来なくなりそうだから今はこんなもんだ……それよりも、二人はいいのか?俺達がこんなんだから待ってる必要はないぞ?」
恥ずかしい話を暴露するついでに、思っていた事を聞いておく。ユウメとアンリで手一杯の俺でも慕ってくれる二人に対して申し訳ない気持ちがあり、二人からも現在の気持ちを聞いておかねばならないとユウメに思いを告げた時から思っていたからだ
「私の事は気にしないで下さい。巫女として生きて来た以上、自分から異性を求めるのは今までの生き様を否定してしまいますし……やはり、どうせなら生き方を変えてくれる様な強い殿方に奪われたいんですよね……」
「ですね、私も同じです。強さを尊ぶダークエルフは強き者に奪われるか、強き者となって望むものを手に入れるかが矜持ですから……どちらにしろ未熟な私では弱き相手に負けない様、修練あるのみです!」
「それにした事がないからもありますが、恋愛という感情がよく分からないと言いますか……人生の伴侶を選ぶのにその時の感情で選んでしまっては後悔してしまいそうな気がするんですよね」
「それ分かります。悠久の時を生きるエルフ種は気まぐれで相手を選ぶ時もありますが、同じ時を生きる者同士でないと悲しい別れを繰り返す事になると教えられました……」
う~む、二人とも独自の結婚観を持っているが言いたい事は分かる。一時の感情よりも明確な強さを基準にしたいという事か
一夫多妻も多夫一妻も認められている、この世界。強い物がより多くを得るは真理のようだ
結婚してる者同士の重婚はご法度の様だが、国によっては同性婚も認められていると聞いて戸籍のないアバウトさを痛感する
確かにダークエルフは寿命も長いし、ハイオークもエルフ種なので本家程ではないが長命種だそうだ
100年位、待っても気にならないと言われたがスケールの違いに圧倒される
お前等ホントに10代なのか?っていう自立っぷりだが人間の価値観で他種族を見てはヅレも生じてしまうのだろう
「その点アンコウ様はドラゴン種ですし、強さも申し分ありませんからいつでもお待ちしていますよ」
「わ、私は皆様の足手まといにならない様に修練あるのみですので……いつの日か艶のある女性になれた時は……いえ!なんでもありません忘れて下さい//////」
オミはニッコリと、エルナは赤面しながらだが二人からの想いを伝えられた……
俺としては待たせてしまう以上は、好きにしてくれと言いたかったのだがやんわり否定された形だ
勿論、彼女達を嫌っている訳じゃない、いい人が見つかったなら遠慮なく乗り換えてくれて構わないと言いたかっただけだ
俺も別に処女だなんだに拘りがある訳じゃないので、例えそれで駄目だったとしても受け入れるつもりもある
オミは自分から求める事はしないなら、俺かオミより強い奴って事になる
そうそうそんな奴がいないからこその戦術級なんだろうし、エルナは色恋にかまけてる場合じゃないと言うなら強制する事じゃないからこれ以上は言えないな
特にエルナには青春時代のキラキラした思い出なんて、オッサンの俺には到底作ってやる事は出来ない。手と手が触れ合うだけでいいなんて満足感はないからなオッサンには!
当然、ユウメにはこれからもどんどん攻勢を仕掛けていくつもりだしな……我慢すると言ったな、あれは嘘だ!いや、大切にしたいってのは本当だが
まぁまだ猶予はオミで1年、エルナは3年もある。二人が18歳で成人を迎えるまたその時に考えよう……
俺が成人してないと手を出す気にならないってのは完全に俺の嗜好だしな……単純に、嫌なのである
トラウマと呼べる事の程ではないのだろうが、一度転生前の人生の時に女子高生と付き合った事があるのだ
その時はお互い本気だったと思っているのだが、社畜は繁盛期に入ると休みなんて月に1度あるかないかの状態になる
学生の相手とすれ違いが発生するのに、そう時間は掛からなかった
当然、別れるだの別れないだのの話になるのだが……なんと、その時に親が出て来たのだ……ガキかよ!?ガキだったよ、未成年者だしな!
以降、俺は未成年者といい感じの空気になると……40代のオッサンの顔が頭をチラつく様になってしまい、萎えてしまうのである……
俺の俺は40代のオッサンをフラッシュバックしながら雄々しく立っていられる程、図太くも強靭でもホモでもないので相手をするなら成人済の女性であって欲しいという俺の我が儘だ
それも二人なら大丈夫だとは思うが、彼女達が待ってると言ってくれるなら甘えさせて貰おう
半端な覚悟でだけは、大好きな二人を穢したくない!俺の強さと覚悟が決まるまで俺も修練あるのみだ!……特に俺は人間時でオミに勝てるかどうか怪しいしな……
まだ1年あるんだ、美人で医者で裁縫もプロ級でオマケに強いっていう三拍子も四拍子も……トドメはおっぱいもデカイっていう五拍子揃ったオミに相応しい男にならないとな!
そんな話を繰り返している内に日は過ぎていき、残りの日程は何事もなく学術都市へと到着した
途中あった進展と言っていいのだろうか?馬車で寝る時もアンリを挟んでユウメと3人で寝る様になった
起きた時もデコチュー迄なら逃げないみたいだ
朝からアンリにデコチューされるユウメを見るのは、小さな姫に祝福を受ける女騎士さながらで毎朝俺の眼福になっている
俺も二人の姫から頬に祝福を受けて朝からやる気が漲っている!
さぁ!後はお姫様の安全を守れるような手掛かりがあってくれよ学術都市!!
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