あなたと過ごした時間

羽悠浬汰

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海珠(みこと)とぷりんの物語

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私は、部屋に入るとカバンを置き、そのまま優多の号室に向かった。

『お母さん、優多と遊んでくる』

『行ってらっしゃい。気をつけるのよ』

『はーい』

階段を上がり優多が住んでいる号室に着いた。

私はベルを鳴らした。すると中から優多が出てきた。

『あっ、いらっしゃい』

『お邪魔します。』

『あら、海珠ちゃんいらっしゃい』

私は優多のお母さんに挨拶をすると、そのままとある部屋にはいった。そこには可愛いゴールデンハムスターが五匹いた。

可愛らしい子どもハムスター。

優多はカゴの中から一匹のハムスターを出してくると私に渡した。

私は優多から受け取ると優しく抱いた。

フワフワしていて気持ちがいい。ずっと触っていたい肌触りだ。

『海珠、俺さ、海珠がハムスター好きなの前からずっと知ってた。話してただろ?ハムスターが好きだって。』

『うん。覚えててくれたんだね…優多ありがとう!』

覚えててくれたことにすごく嬉しかった。

私はしばらくほかのハムスターも見たり優多と会話をしたりとしばらく戻らずわいわいしていた。

優多といるのが一番落ち着いた。私には兄弟がいない。一人っ子なのだ。

優多は私にとってお兄ちゃんみたいな存在なのだ。

いつも心配してくれるしお勉強も教えてくれた。

習い事で水泳を習い始めた頃もまさかの優多も同じ所で水泳を習っていた。

私より先に行ってしまう彼を見ていてがんばろう、彼に追いつこう。と心のなかで思いながら日々を過ごしていた。

私は優多の部屋でお話をした後帰ることにした。

優多は手を振りながら『また』といった。

私も『また』と返した。

夕方、私は部屋に戻るとお母さんに挨拶をした。

私とぷりんの生活はまだまだ始まったのだばかりなのだ。

そうあの日が来るまでは…
 
部屋に戻るとぷりんに会いに隣の部屋にいった。

ぷりんはひまわりの種を食べながらこっちを向いた。ゲージの外から私は手を当てて今日のことを話した。

優多と話した事。ぷりんの兄弟が元気だということ。

ぷりんはひまわりの種をカジカジしながら話を聞いていた。

私にとって優多から貰った大切なハムスターでもあるし大切な家族でもある。

楽しい日々であるのが日常になっていた。

なっていたのだが、苦労することもたくさんある。脱走はするし、ひまわりの種は散らかすし、夜中のカタカタという音はうるさいし。

悩まされる事はたくさんあるが、それでも触れ合っていると愛らしくて憎めないのだ。

動物をかっている人はわかると思う。

私はぷりんのことが日に日に大好きになっていった。
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