あなたと過ごした時間

羽悠浬汰

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海珠(みこと)とぷりんの物語

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母親はぷりんを助けると海珠に見てるように言い洗濯物を洗い出した。

私は、ぷりんとリビングのソファーで遊んでいた。

ソファーの上の隅っこでひまわりの種を食べている姿は、鼻血が出るほど可愛かった。

私とぷりんは毎日のようにずっとずっと側にいて遊んだりお世話をしていた。

学校に行って授業を受けているあいだはお母さんにぷりんのことを預けかわりにお世話をしてもらっていた。

ある日の放課後…

私たちの掃除班は廊下を掃除していた。

すると奥の方の教室の廊下から大人数の叫び声が私たちの耳の中にまで聞こえてきた。

何事かと思い奥の方の教室に行くとそこには大勢の生徒がいた。

話を聞くと、箒をしまうロッカーの中の隅っこでどこかの教室から脱走したゴールデンハムスターが大量のひまわりの種を蒔き、それを食べていたのだ。

私は、一瞬自分のハムスターなのではないかと思ったがそれは絶対に違うのだ。

なぜか、それはぷりんは自宅でお母さんがお世話をしているからだ。

私は自然と前に出ていき、みんなの前でハムスターに手を伸ばし静かに手のひらの上に乗せるとその場を離れた。

とりあえず近くの教室を歩き回り、このハムスターはどこの教室の子なのかを探し始めた。

友達も探すことに手伝ってくれた。

しばらく歩いて教室を転々としていくと、とある教室でハムスターの持ち主が見つかったのだ。

そこの教室の飼育係は目をまん丸にしありがとうと私たちにゆった。

私たちもいいえ。見つかってよかったと相手に話した。

ハムスターを届けるのを終えると持ち場に戻り掃除を始めた。

掃除が終了すると私は校門の前で幼なじみと合流した。

『優多聞いて!』

『何?』

『あのね、放課後どこかの教室からハムスターが脱走したみたいでみんなで大騒ぎしてたの笑』

『ハムスターが!?』

『そうそう笑』

ハムスターの話で二人は盛り上がった。

優多もハムスターを飼っているためお世話をする大変さを知っている。

もちろん脱走したあとのことも。

ちなみに話はずれてしまうけど、優多は私の初恋の人。

優しくて勉強もできて運動もできて完璧者だった。

毎日のように一緒に帰っていた。

私がどんなに部活で遅れようが待っていてくれた。

お兄ちゃんみたいな存在でよくみんなに『お兄ちゃん』と呼ばれていた。

彼は今何をしているのだろうか…。

すごく会いたい。

ずれてしまった。

私は家の中に入るとぷりんがカタカタと鳴らしながら遊んでいた。

ぷりんに『ただいま』と言うとそのままリビングへ向かいお母さんにも挨拶をした。

『ただいま』

『おかえりなさい。海珠』

挨拶を済ますと私はそのまま自分の部屋に行った。
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