パウー掌編集

さく

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美咲(私)とオタク彼女シリーズ(GL)

お題「割烹着」

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街が赤と緑のイルミネーション二彩られる。
11月も終わり、イベントらしいイベントもなくなって街はすっかりクリスマスムードだ。
手をつないで歩く彼女が、こちらを覗いてくる。
「クリスマスってどうするの?」
「どうも何も、家族と過ごすよ」
「そうなんだ。今年はイブが日曜日だし、どこか出かけない?」
「あー……」
そう言って私は頭をポリポリと掻く。
「クリスマスはねぇ。家でケーキ焼くんだ。だから前日は母親と買い出しで、ちょっと難しいかも」
私の唯一出来る料理が「おかし作り」だったりする。
まぁ、出来合いのスポンジミックスを使うだけなんだけど。スパチュラで綺麗に生クリームを整えるとだんだんテンションが上がってくるんだよね。
「え、うそ。手作り?……食べたいかも」
最後の言葉はぼそっと言ったみたいだけど、私は聞き逃さなかった。
「そんなわけでごめんね」
彼女はとてもがっかりしたようだったけど、こればかりは仕方がないよね。
「そっちはクリスマスケーキは買うの?」
「家は両親と私の3人だけだからねぇ。お父さんが帰りに買うかどうかって感じ」
なるほど。
「それなら、一緒にケーキつくらない?」
私の申し出に驚いたのは彼女だ。
「24日に作りに来れば、夜に家で食べられるし、私もどうせ作るし」
少し驚いた表情を見せたものの、彼女はすぐに了承した。
十二月二十四日。
母に頼んで、前日に買い物を済ませ今日はケーキ作りだ。
玄関の呼び鈴がなって彼女も到着した。
私は普通のエプロンだが、彼女は可愛らしい水玉の割烹着に身を包んでハンドミキサーを片手に生地を攪拌していく。
「そんな割烹着あるんだ」
「自作だからね」
「いいなぁ、私のエプロンも大分へたってきちゃったから」
そうこうしているうちに、ケーキはできあがる。
元々女子力が高い彼女に殆ど教える事は無く、せいぜい慣れてないスパチュラのサポートや、デコレーションを手伝うだけだった。
それでも、彼女は嬉しそうにそれを包んで自宅に帰っていった。
翌日、学校で目を合わせた彼女はちょっと眠たそうだった。
「昨日は有難う。で、これ!クリスマスプレゼント」
袋の中を覗くと、あの割烹着が入ってた。
「あ、ちょっと」
うれしさの余り彼女をつい抱きしめてしまった。
周りは怪訝そうに見てたけど、別にいいや。
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