パウー掌編集

美咲（私）とオタク彼女シリーズ（GL）

お題「侍」

彼女が鼻息荒くして私話しかけてくる。
「凄いことを発見してしまった」
ああ、だめだ、こういう時はきっとダメな新発見だ。
「侍って漢字ってさ、『はべらす』って漢字と同じなのだよ」
……それがどうしたのだろう。
私が興味なさそうな仕草を見せると、彼女はぼそっと呟く。
「BLはお嫌い？」
「……詳しく話を聞こうか」
彼女と付き合ってはいるが、BLはそりゃもう、別腹である。
あれは尊いものなので、問題ない。
そもそも、遠目で彼らを愛でるだけなので浮気にもならない。
「良く小説とかであるじゃない。王とか身分の高い人が、周りにはべらすの」
「あるね」
「高貴な身分の身を守るボディーガードとしての役割が侍にあったわけよ。だから『侍らす』の漢字を当てたと」
「なるほど」
「そこで私は考えた。こういうシチュはどうなのかと」
そこからはお互いの萌えシチュの言い合いである。
王道の殿様と侍の話から始まって、ＳＰの夜の仕事だの、政治家と秘書の話だの。やりたい放題、曲解し放題だった。
「中々、やるわね」
「あなたこそ」
息をきらし、尊い……と二人で呟くのだ。