アクト!!!!〜異能を持たない人間でも、嘘と知略だけで人外種族と対等に渡り合おうと思います〜

ディメンションキャット

文字の大きさ
35 / 47
第二章 『トリプルナイン』

CHAPTER.35 『ほんの少しの水漏れから、大きな船は沈んでしまう』

しおりを挟む
惣一はやわらかい土に直接、座り込んでいた。

「……凄いなあ」

手に持つ書類に書いてある膨大な情報に瞬時に目を通しながら惣一は呟く。
流し読みに見えるかもしれないが、惣一は全ての文字にきちんと目を通していた。

「これが、答え。此処には未来で起きるはずだった全ての犯罪の記録が保管されている。ホントは来ちゃダメだから、私も初めて来たけどね」

隣に立つプロ子も真剣にファイルを捲り、目的の事件について書かれた紙を探していく。
二人は再び森の中へ来ていた。
惣一は以前から、不思議に思っていたことがあった。未来で犯罪を起こす犯人を捕まえると、その犯人は未来に送られた時点で犯罪行為に及ぶことがなくなり犯罪者ではなくなる。つまり証拠が無くなるのだ。
惣一がそのことを聞くとプロ子は目を見開いた。

「あ、その手があった!エルフ族の目的が分かるかも!」

そう言って、直ぐに惣一をここに連れてきた。
未来で起きた事件のデータは全て、犯人が捕まえられるであろう時間より前の過去に来てタイムカプセルに埋めるらしい。そうすることで、犯罪を未然に防いでも過去のタイムカプセル内に保存された記録は無くならない。つまり、未来でこのカプセルを掘り起こせば証拠となる、らしい。
プロ子のその説明を聞いて、惣一は素直に感心した。

「でも、なんで紙媒体なん。探すん大変やねんけど」
「それは万が一、この時代の人間に見つかっても、大丈夫なように」
「ふーん……ってこれちゃう!?」

惣一が開いたページ、大きく書かれたタイトルは『森林東京事件』。

「それだ!今から五十年後に起きた事件みたいだね」
「うん、犯人はエルフ族の四人。ボスと呼ばれる男の能力は不明……って大丈夫かいな」

自分たちが知っていたから良いものの、ボスの能力が載っていないことに惣一は一抹の不安を抱く。

「待って、ほら残り三人の能力は書いてある。それに事件の概要も」

プロ子に言われ惣一も、紙に目を落とした。



他の三人の能力は判明している。
『成長加速』、対象の成長を促進する。人間に使用すると、瞬時に老衰させることも可能。
『植物改造』、任意の存在する植物の特性を掛け合わせた品種を自在に作れる。
『蓄積』、あらゆるエネルギーを蓄積、開放することが出来る。
これらの能力を駆使して、ボスと呼ばれる男は計画を実行した。

『植物改造』によって、予め成長限界、繁茂力が異常に引き上げられた品種の種子を東京中に散布。それらに『成長加速』と『蓄積』を掛けたのち、四人は時軸によって五十年後へと移動した。
移動先の未来で同時多発的に東京中の種子に『蓄積』された五十年分の『成長加速』を解除することで、東京を一夜にして森林へと変貌させた。
さらに当時、いくつかの国を滅ぼしていた『笛の男』がエルフ族に協力する。
エルフ族は、『自然崇国』を建国、滅ぼされた国の民衆を保護し、土地を与えた。また、手段は不明だが『異世界ゲート』を人工的に再現し、エルフ族の軍を作っていたという情報もある。
各国に文明機器を放棄することを要求し、真偽は不明だが、東京の他にも既に先進国に種は埋めてあると脅迫した。


「うーん、なかなかの大事件やなぁ」

先に読み終えた惣一は思わずそうこぼした。
世界規模の事件の結末が自分たちにかかっている、その事実に惣一は憂鬱になった。

「でも、既に『笛の男』の方は阻止したし?あとは、私が時軸を奪われなければ良いだけだから」

溜息をつく惣一をプロ子はそう言って励ます。

「ま、とりあえず片付け、やな」

地面に散らばっているファイルを丁寧に、カプセルに戻していく。少しでもこれを掘り起こしたのがバレると証拠としての効力を失ってしまう。
それを分かっているプロ子が、慎重に、カプセルにスコップで土を被せるのを見ながら惣一は、一枚の紙をポケットにそっと入れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...